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広告で社会変革、カギは「ジェンダー」――マーク・プリチャード・P&G 最高ブランド責任者

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世界最大の広告主である日用品大手のプロクター&ギャンブル(P&G)のマーク・プリチャード・チーフブランドオフィサーは「サステナブル・ブランド国際会議2019東京」に登壇した。同社の最高ブランド責任者であるマーク氏は、「広告で平等を示しているブランドは消費者に信頼されやすく、成長する」と断言。男女格差などが起きる要因としてメディアの不正確な描写があると指摘し、正確な広告で社会を変えていく戦略を語った。(オルタナS編集長=池田 真隆)

P&Gが2017年度に広告宣伝費に投じた額は約7900億円で、世界最大規模を誇る。そんな同社が力を入れているのが、「ジェンダー」だ。男女間の経済格差や社会進出の差に照準を合わせている。

同社のスキンケアブランド「SK―Ⅱ」の中国で放送されているCMで訴えていることは、未婚女性が感じる結婚へのプレッシャーからの解放だ。生理用品ブランドの「ウィスパー」は、生理が不浄のものと見なされているインドで生理への正しい理解を訴求し、洗剤ブランド「アリエール」では同国で男性に洗濯することを促している。

マーク氏は、「男女の経済格差をなくすだけで、世界経済に28兆ドルの効果が出る」と語気を強めた。マーク氏が会長を務める全米広告主協会の調査では、全米の広告のうち29%が、女性に対して偏見を持って描いていることが分かり、男性優位の広告業界の問題点を指摘した。

一方で、ジェンダー平等を推進する広告に関しては、信頼度が10%高く、売上高の成長率は26%高いことも同協会の調査で明らかになった。

同社では、同協会がホワイトハウスからの要請で立ち上げた、女性への偏見を排除するプロジェクト「#Seeher」や国連女性機関の「アンステレオタイプ・アライアンス」というイニシアチブなどと連携して、クリエイティブ職の女性を増やすなど広告業界のジェンダー化を推進していく。

マーク氏は、「2020年までに、これらのアライアンスに参画するブランドを倍増させて、広告が描くすべての人の描写を正確なものにしたい」と主張した。

男女格差だけでなく、宗教、教育、健康などあらゆる格差を是正していく考えを持つ。マーク氏は、「悪い行動を否定するのではなく、ポジティブな行動を奨励していきたい」として、「広告を打つ企業は次の世代に見られていることを忘れてはいけない」と訴えた。

池田 真隆 (いけだ・まさたか)

株式会社オルタナ オルタナ編集部 オルタナS編集長
1989年東京都生まれ。立教大学文学部文芸思想学科卒業。大学3年から「オルタナS」に特派員・インターンとして参画する。その後、編集長に就任し現在に至る。オルタナSの編集及び執筆、管理全般を担当。企業やNPOなどとの共同企画などを担当している。
「オルタナ」は2007年に創刊したソーシャル・イノベーション・マガジン。主な取材対象は、企業の環境・CSR/CSV活動、第一次産業、自然エネルギー、ESG(環境・社会・ガバナンス)領域、ダイバーシティ、障がい者雇用、LGBTなど。編集長は森 摂(元日本経済新聞ロサンゼルス支局長)。季刊誌を全国の書店で発売するほか、オルタナ・オンライン、オルタナS(若者とソーシャルを結ぶウェブサイト)、CSRtoday(CSR担当者向けCSRサイト)などのウェブサイトを運営。サステナブル・ブランドジャパンのコンテンツ制作を行う。このほかCSR部員塾、CSR検定を運営。