
プラスチック汚染はもはや、遠くの海で渦巻く非現実的な問題などではない。私たちの日々の消費習慣と連動して人体に忍び寄ってくる健康の危機でもある。こうした状況を受け、世界では今、マイクロプラスチックと内分泌かく乱物質(環境ホルモン)にさらされている人間の健康を取り戻そうというムーブメントが起きている。
その一環として、脱プラスチック生活を推進するマーケットプレイス「The Unplastic Shop」が米国で誕生した。環境に優しい消費財通販サイトのグローブ・コラボラティブと米非営利団体の海洋保護協会(OPS)が手を結んだ取り組みで、機能性に優れた選りすぐりの商品約500点が取りそろえられている。目指すは、便利だけれども有害なプラスチックに囲まれた生活から抜け出せるよう、消費者を後押しすることだ。(翻訳・編集=遠藤康子)
厳しい基準をパスした商品
The Unplastic Shopが販売しているのは、グローブ・コラボラティブの商品選定部門と海洋保護協会が共同で策定した広範かつ厳格な基準を満たしたものばかりだ。とりわけ重視したのは以下の点だという。
| ・食品やお茶、サプリなど人間が口にするものがプラスチックとじかに接触していないこと。 ・ビスフェノールA(BPA)とビスフェノール(BP)代替物質(BPSとBPFを含む)が一切含まれないこと。 ・有機フッ素化合物(PFAS)などの「永遠の化学物質」が一切含まれないこと。 ・内分泌かく乱物質とホルモンを乱す可能性のある物質が含まれない商品であること。 ・プラスチック包装材をできるだけ減らし、プラスチックフリーの代替包装材を使用すること。 |
プラスチックに対する消費者意識の変化に応じてこのような基準を設けることは、賢明であり不可欠でもある。グローブ・コラボラティブCEOのジェフ・ユーカシン氏は、「プラスチックは単なる環境問題ではなく、ますます個人的な問題になりつつあることに、人々は気付き始めています」と話す。
「グローブ・コラボラティブの利用者の望みは、信頼に足る明確な指針と選択肢です。そこでThe Unplastic Shopでは、使い勝手や品質について妥協することなくプラスチックへの接触を減らせる家庭用品の代替品を厳選しています。プラスチックフリーの商品と情報が1カ所で手に入る場を海洋保護協会と共に立ち上げられたことは大きな誇りです」
日常に潜むプラスチック暴露
The Unplastic Shop立ち上げの背景にある科学的知見によると、私たちは主に呼吸や飲食、洗濯といったごく日常的な行動を通して、望ましくない化学物質を体内に取り込んでいる。例えば、プラスチックを柔らかく加工するためのフタル酸エステルや、はっ水性や耐熱性があることからプラスチック包装材などに使用されているPFASは内分泌かく乱物質であり、地球規模で広がる不妊やがん罹患率の上昇、若年性の心不全や脳卒中といった心血管疾患との関連性が指摘されている。
グローブ・コラボラティブと海洋保護協会は、プラスチックフリーの代替品への切り替えを急ぐべき日常的な行動を挙げている。とりわけ注目すべきは以下のリスクだ。
| ・乳幼児リスク: プラスチック製の哺乳瓶を温めたり消毒したりすると、大量のマイクロプラスチックが溶け出す。実際、哺乳瓶でミルクを飲む赤ちゃんが摂取するマイクロプラスチックは成人平均の160倍に上る可能性がある。 ・ティーバッグからの溶出: プラスチック繊維製のティーバッグ1つで入れたお茶には、1ミリリットルあたり最大で12億個のナノプラスチックが含まれる可能性がある。 ・危険な黒いプラスチック: 持ち帰り用コーヒーカップに黒いプラスチック製のふたがついていたら要注意だ。黒いプラスチック製品には、食品に接触すべきではない電子機器由来のリサイクル素材が含まれている可能性がある。 |
「いまや、私たちの脳や心臓、胎盤だけでなく、母乳からもプラスチックが検出されています」と話すのは、海洋保護協会の創設者であるルイ・シホヨス氏だ。「そうしたプラスチックの多くは、日常的に使用する製品に由来するものです。日用品にどれほど多くのプラスチック関連物質が含まれるかを知ると、『どうしたらプラスチックとの接触を減らせるだろうか』と思うようになります。だからこそ、私たちはThe Unplastic Shopを立ち上げたのです」
今すぐ始められる脱プラスチック生活
では、暮らしに潜むプラスチック摂取をできるだけ減らすためには、何から手を付ければいいのだろうか。海洋保護協会とグローブ・コラボラティブは、脱プラスチック生活を始めたい消費者のために今すぐできる対策をまとめているので、いくつか紹介しよう。
- 食品を保存する時は、ガラス製、ステンレス製、陶製の容器に入れ、プラスチック容器は使用しない。また、プラスチックラップの代わりにみつろうラップや布製カバーを取り入れてみよう。
- まな板や調理器具は、プラスチック製をやめて木製、竹製、ステンレス製にする。鍋やフライパンなどは、食材がこびりつかない素材でできたものから、ガラス製、ステンレス製、セラミック製、鋳鉄製に取り換える。
- 電子レンジで加熱したり食品を保存したりする容器は、ガラス製やセラミック製を選ぶ。プラスチック製の容器に熱い液体を入れたまま放置しない。
- 水道水は浄水器を通してからガラス製やステンレス製のボトルに入れる。ペットボトルに入った状態で加熱されたり長期保存されたりした水は飲まない。
- レシートはできるだけ電子レシートを選び、紙のレシートに触れた後は手を洗う(感熱紙の多くには皮膚から吸収される恐れのある化学物質が含まれているため)。
- ヘアケア・パーソナルケア製品は安全性に優れたものを選ぶ。含有成分が少なく、香料が明記され、プラスチック包装があまり使われていないものを探してみる。
- 洗剤は、プラスチック成分の少ないものを選ぶ。乾燥機を使用する時は、何度も使えるウール製ドライヤーボールなどを使う。
- 衣類や寝具は、コットン、リネン、ヘンプ、ウールといった天然繊維のものを選ぶ。
- 部屋はこまめに換気し、掃除機を頻繁にかける。低香料か香料不使用の家庭用品をできる限り選ぶ。
詳しくは、海洋保護協会の脱プラスチック生活の手引き「The Plastic Playbook」と、グローブ・コラボラティブの「10 Things You Can Do Now」をご覧いただきたい。
| 参照サイト The Unplastic Shop https://www.grove.co/pages/unplastic-shop |













