「生きとし生けるものすべてにとって豊かな未来を実現する経済へ」 SB創業者コーアン・スカジニア
2020年のサステナブル・ブランド国際会議
|
「サステナブル・ブランド国際会議2022横浜」 が24日に開幕した。今年のテーマは「リジェネレーション (再生)」。日本での開催は2017年から6度目を迎える。サステナブル・ブランド(以下、SB)を2006年に設立したコーアン・スカジニアは米国からオンラインで登壇した。挨拶の一部を紹介する。
サステナブル・ブランド国際会議2022横浜およびSBアジアパシフィックへようこそ。
ご参加の皆様に心より御礼申し上げます。それぞれのポジションを生かし、自社をさらに強化することを目指し、持続可能かつ再生可能な未来を切り拓こうとしてくださる皆様が大切な学びの場として進んでご参加くださったことに感謝します。
先行きが不透明な中、本イベントにご支援・ご協力くださいましたスポンサーの皆様、そして、多様な視点に加え、創造力と進取の精神に富んだお話で、私たちを後押しし、前進する力をくださるご講演者の皆様にも感謝いたします。
2年前にコロナ禍が始まって以来、世界中のサステナブル・ブランドのコミュニティメンバーが直接、顔を合わせることができない日々が長く続いています。そうした中でも、オンラインでのご参加を続けてくださり、広く経済社会や環境に役立つイノベーションでビジネスやブランドの価値をつくり上げる新たなソリューションを生み出し続けてきた世界各地の方々の存在が私たちの励みになっています。
サステナブル・ブランドの使命は、従来のビジネスでは持続可能性を実現できないという真実を伝え、より良い未来への道を示し、人々がビジョンの実現に向けて行動を起こす大きな契機を提供することです。
本イベントを実用的かつ時宜に合った、皆様の背中を後押しするものとなるよう努めます。目指すべき方向を示し、誰もが学びを得られる機会となるでしょう。身の回りの世界に新たな目を向け、新たな方法で関わっていくことができるシステムについて議論し、改革を生み出すつながりをつくる中で、私たちは成長していきます。
サステナブル・ブランドが志すのは、既存のルールをつくり替え、将来の市場を勝ち抜くブランドの価値が未来へ向けて高まるように進展させることです。
2年半前の2019年春に、今後を見据え、議論のテーマを「リジェネレーション」と定めたとき、行く手に待ち受けるものを知りませんでした。当時は、より持続的な生活や働き方の必要性が世界でようやく認識され、潮流となりつつあることを喜び、慎重ながらも楽観的に考えておりました。
以来、リジェネラティブ・ソリューション(再生型ソリューション)というテーマは非常に大きな関心を集めています。リジェネラティブ思考とリジェネラティブシステムという概念は、私たちの活動で生じる負の影響を減らし、課題に対処する方法を自問すること以上に、目の前の現実の中にある可能性を探り、私たちが依存する社会やさまざまな生態系が時とともに持続的に回復していける状況をどうしたらつくり出すことができるのか、そうした次の一歩を踏み出すことにつながります。
実際、負の影響を軽減するだけでなくゼロにすることは今後いずれ実現させることではなく、今まさに実現すべき急務となっています。
今日・明日と、議論を始めるにあたって私の中にはさまざまな思いがあります。新型コロナウイルスがもたらしたものか否かに関わらず、予想されたあるいは予期しなかった多くの混乱を経て直面してきた課題を前に、私たちはさまざまな意味で疲弊しています。
異常気象の猛威はもちろん、社会的不安に政治的不和、不平等などが世界各地で絶えず問題となっています。全てに答えが出せるわけではないという謙虚さはあれども、次善の策は何かと問い続けることに本当の価値と力が宿るのではないでしょうか。
また同時に、希望を抱いてもいます。自然との調和を図りつつ、ビジネスと社会の発展を可能にするために継続的に行動する先駆的なブランドが存在するからです。
新型コロナウイルスの影響からほぼ世界中でサステナブル・ブランド国際会議が開催できなくなりました。しかし、サステナブル・ブランドの活動は衰えることなく、ますます多くのCMO(チーフ・マーケティング・オフィサー)を私たちのネットワークにお迎えしています。
サステナブル・ブランドは、市場全体の変革をサポートする形で、グローバルブランドの関係者との協業をさらに強化してきました。それは、より多くの優れた知見やツール、フレームワークをともに作り出し、ご参加くださっている本当に多くのマーケティングリーダーの皆さまにお届けするためなのです。
目指すゴールは変わりません。それは、地球上に生きとし生けるものすべてにとって豊かな未来を実現するグローバルな経済規範への移行です。そのためには、CSO(チーフ・サステナビリティ・オフィサー)やCMOをはじめとする経営陣の協力がかつてないほど重要となっています。また、そうしたブランドやビジネスの内部だけでなく、企業の垣根や官民の垣根を越えて、システムのあらゆる部門から関与と協力を得ることが必要です。
循環型の市場変革の枠組みに沿って協働することで、私たちが望む世界はつくることができると信じています。子や孫の代に自信を持って継承できるものとして、今回のサステナブル・ブランド国際会議のゴールはこれまで同様、アジア、そして世界のコミュニティの中にある知恵、勇気、好奇心、創造力、そして問題解決のヒントを提供することです。
本日はその素晴らしいスタートになります。私たちに必要なソリューションをつくり上げ、それを経済社会に実装し、命あるすべてのものにふさわしい未来をもたらすよう果敢に取り組んでおられる皆様に深く感謝いたします。
