• 公開日:2026.06.19
「Pride Action30」賛同が100社を突破 LGBTQ+支援で企業が連帯
  • 眞崎 裕史

LGBTQ+をはじめとする多様な性の在り方への理解を広げる企業連合プロジェクト「Pride Action30」が発足から3年目を迎え、賛同するパートナー企業が100社を突破した。同プロジェクトは、パナソニック コネクトとLGBTQ+の支援に取り組むNPO法人プライドハウス東京が共同で企画・運営。米国で反DEI(多様性・公平性・包括性)の逆風が強まる中でも参画企業は増え続けており、プライド月間に合わせた取り組みが着実に広がりを見せている。

「できることから始めよう」を合言葉に

Pride Action30は、LGBTQ+をはじめとするマイノリティにとって働きやすい環境づくりを前進させようと、2024年に立ち上がった。毎年6月のプライド月間に合わせて、「今すぐできる30個のアクション」を提示。パートナー企業が社内外で実践することで、アライ(LGBTQ+の理解者・支援者)の輪を広げていく取り組みだ。

30のアクションには「(LGBTQが)何の頭文字か調べてみる」「恋人や配偶者を『パートナー』と呼んでみる」「職場の人を『○○ちゃん・くん』ではなく、『○○さん』と呼んでみる」など、日常の小さな一歩から始められる内容が並ぶ。

初年度は有償パートナー18社でスタートしたが、より多くの企業に門戸を開くため2年目に無償枠を設け、63社(有償15社、無償48社)へと拡大。3年目の今年は有償13社、無償93社の計106社となった。あおぞら銀行、EY Japan、JTB、資生堂、LVMH、ルネサス エレクトロニクスなどが有償パートナーに名を連ね、無償枠には味の素、NTT、京セラ、キリンホールディングス、サントリーホールディングス、日本航空、富士通など業種も規模も多様な企業が参画している。

「企業の取り組みが国を引っ張る」

6月8日、都内のパナソニック コネクト本社で有償パートナーを対象とした交流会(カジュアル・ミーティング)が開かれ、7社12人を含む計25人が参加した。前日と前々日には「Tokyo Pride 2026」が開催されたばかりで、熱気を帯びた雰囲気の中で交流会は始まった。

冒頭、パナソニック コネクト取締役CMOでDEI推進担当の山口有希子氏が「いろんな逆風がある中、DEIの領域で予算を獲得するのは大変だと思う。そんな中で有償パートナーとして参画してくださっていることは本当にありがたい」と感謝を述べた上で、「あらためて企業が連携し、このような活動を広めていくことが大切だ」と語った。

五十嵐ゆり氏(左)と鈴木茂義氏

続いて、プライドハウス東京の五十嵐ゆり代表理事と鈴木茂義理事が登壇し、LGBTQ+を取り巻く最新動向を共有した。テーマは3つ。1つ目は婚姻の平等を巡る動向で、高裁判決が全て出そろい最高裁に上告された現在、年内にも大法廷の判断が見込まれること。婚姻の平等の法制化を後押しするキャンペーン「Business for Marriage Equality」は、6月13日時点で賛同企業・団体が700となった。鈴木氏は「賛同の数が可視化されることが、いろんな人を動かす力になる」と強調した。

2つ目はLGBT理解増進法の基本計画の動向で、鈴木氏は「私たちがこれまでやってきたことの方が先を行っている。企業の取り組みが国を引っ張ることもできるのではないか」と指摘。3つ目は現在の企業課題として、個人レベルの「心理的安全性の向上」、組織レベルの「管理職の理解促進」、制度レベルの「制度と運用の整合」、経営レベルの「企業全体・サプライチェーンへの浸透」の4段階に整理した。五十嵐氏は「うまくいかなかった事例にヒントが隠されている」とし、企業間の率直な情報共有やコミュニケーションに期待した。

「他社の良い実践をまねたい」

後半はグループディスカッションに移り、まずは各社のプライド月間の取り組みや成果を共有。続いて「当事者の声をどう把握するか」「声が集まらない場合にどうするか」「アライをどう巻き込むか」の3つのテーマを軸に、課題と解決策を議論した。

グループ発表では、業種や規模を超えた多様な気づきが報告された。アライ研修を実施して組織カルチャーを変えようとしている企業の事例や、顧客ではなく「社員ファースト」の姿勢でDEI推進に臨む企業の取り組みが紹介された。サービス業の参加者からは、同性パートナーも同様の福利厚生を受けられることが日常的に目に入る環境では「そもそも違和感が生まれない」との指摘があり、制度の「見える化」の意義があらためて共有された。

また、DEI推進担当者の地道な取り組みが、当事者にとっての「お守り」になっているという言葉もあった。仲間を社内外でどう増やすかという問いは全グループに共通しており、役員の巻き込みや各拠点での発信体制づくりなど、具体策が活発に議論された。ある参加者は「明日からできるアクションは、他社の良い実践をまねすることだ」と述べ、会場の共感を集めた。

社会変容へ、企業の力が鍵に

6月16日、LGBT理解増進法に基づく初の基本計画が閣議決定された。しかし、法律施行から策定まで約3年を要し、内容も啓発や相談体制の整備など既存施策の延長にとどまるとの指摘が相次いでいる。そうした中、企業が現場で具体的なアクションを積み重ね、社会のムードを変えていく役割はますます大きくなっている。

プライドハウス東京の五十嵐氏は「一人の100歩より、100人の一歩」という言葉を大切にしていると言う。100社を超えるパートナーが、それぞれの職場で小さな一歩を踏み出す。その積み重ねこそが、誰もが自分らしく生きられる社会につながると信じる、というメッセージだ。100社を超える企業の連帯は、その一歩を着実に広げつつある。

30のアクションについてはこちらから

written by

眞崎 裕史 (まっさき・ひろし)

サステナブル・ブランド ジャパン編集局 デスク・記者

地方紙記者として12年間、地域の話題などを取材。フリーランスのライター・編集者を経て、2025年春からサステナブル・ブランド ジャパン編集局に所属。「誰もが生きやすい社会へ」のテーマを胸に、幅広く取材活動を行う。

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