
サステナブルな未来の担い手となる若者が集うサステナブル・ブランド ジャパンのユースコミュニティ「nest」が、第5期の活動をスタートさせた。今年度は「等身大」をコンセプトに、24人のメンバーが「四季が揺らぐ時代のライフデザイン」を探究する。
2026年4月に行われたキックオフミーティングでは、ゲストにEY Japanを招き、気候変動の実態と企業の取り組みに関するレクチャーと、熱のこもった質疑応答が行われた。次世代のチェンジメーカーたちが、等身大の視点で社会課題に挑む1年の幕開けをレポートする。
企業とのタッグで、在りたい未来を提案
気候変動によって、当たり前だった「四季」が変容しつつある今、その変化をどう捉え、どのような未来を描くのか。今期のnestでは、メンバーが自身の生活に根差した視点から、来たる将来を探究する。
活動のプロセスは、企業からのインプットやメンバー間のワークショップで学ぶ「テーマ探究」から、ビジネスアイデアを企業・団体に提案する「アイデア創造」、そして次世代起点で考えた未来の姿を発信する「価値発信」へと進む。
パートナー企業との連携も強化し、都内各地での活動だけでなく、中部・北陸地方でのフィールドワークも予定される。現場での体験を通じて企業の技術や知見に触れながら、メンバーそれぞれの「問い」を磨き上げ、気候変動に適応する実践的なアイデアを企業とともに練り上げる。そうした年間活動の集大成として、2027年2月に開催されるサステナブル・ブランド国際会議で成果を報告する予定だ。
等身大でぶつかり合う、新たな「巣」の始まり

キックオフミーティングは、対面とオンラインのハイブリッドで開催された。冒頭、プロデューサーの岡田羽湖氏が「ありのままの状態で、今の全てをぶつけて」と今期のコンセプトである「等身大」への思いを語り、開会を宣言。
「nestはたくさん迷ってもいいし、悩んでもいい場所。答えを急ぐのではなく、ここでの試行錯誤を楽しみながら、自分なりの探究を深めていってほしい」と語り、これから1年を共にする仲間たちへ温かいエールを送った。
新メンバーを迎えた中、空気が一気に和んだのは、一人ひとりの価値観を共有するアイスブレイクだ。オンラインと対面を交えた5つのチームに分かれ、それぞれが大切にしたいキーワードを交換しながらチーム名を考案した。
メンバーの好きな色に由来する「いろどりみどり」や、一つの目標に向かう仲間を意味する「crew」のほか、「Make Nippon Beautiful」という思いも込めた「MNB」、パッション・チャレンジ・コネクション・ディスカバーの頭文字をつなげた「Pachacodis」、そして自己成長をテーマに全員で花丸を目指す5人組「はなまる5」など、若者らしいユニークで思いのこもったチーム名が次々と発表され、会場は活気に包まれた。
気候変動の現在地と「死」の危機感
後半では、EY Japanの気候変動・サステナビリティ・サービス(CCaSS)から、木内志香氏、Mathijs Groenink氏、大宮萌氏、治川可南子氏が登壇し、キックオフレクチャーが行われた。レクチャーでは、温室効果ガスによる温暖化メカニズムの基礎から、将来の社会シナリオである「Four Futures」の概念に至るまで、気候変動がもたらす今後10年から30年の社会変化について俯瞰的な視点が示された。専門的なデータや国内外の動向を交えつつも、「未来は予測するものではなく、今の意思決定と行動によって形作られる」という、次世代の行動を促す力強いメッセージが投げかけられた。

レクチャー内では「自分たちの生活は今後どのように変わっていくか」をテーマにしたグループディスカッションも行われ、学生たちからは等身大でリアルな視点での意見が相次いだ。北海道出身のメンバーからは「雪が減ることでスキー学習自体が行えなくなるのでは」といった懸念も。また、「暑さをしのぐために冷房を使ってさらにエネルギーを消費するという悪循環」への問題意識や、「外に出られなくなり、室内にいる時間が増えてメンタル面でストレスを感じるようになる」といった精神的な影響にまで議論は及んだ。
こうした学生たちのリアルな想像を受け、木内氏は「私自身も想像してみると、『死』が身近になるかもしれないと思っている」と気候変動による健康リスクに警鐘を鳴らした。そして「今後1年間、自分を、今日想像した未来の中に置いて考えてみて」と語りかけ、気候変動をどこか遠くの出来事ではなく、まさに自分自身の命や生活に関わる問題として捉え直すよう、力強いメッセージを投げかけた。
活発な質疑応答 メンバーの課題意識は

講義の最後に行われたEY Japanの専門家陣とメンバーとの質疑応答は、この日のハイライトとなった。例えばある学生から「資本主義が環境破壊の要因なのか」と鋭い質問が飛び出すと、木内氏は悩みつつも「今の資本主義は続かないだろう。物を循環させて今ある資源で生きていくサーキュラーエコノミーが重要になる」と応答。
また、「消費者の行動変容にはどのようなアプローチが有効か」という問いに対しては、大宮氏が「サステナブルであることをブランドとしてアピールし、それを選ぶことが『かっこいい』となれば、消費者の行動は変わっていく」と説いた。企業と若者、双方の視点が正面から交差するセッションとなった。
熱を帯びた議論の熱気そのままに、第5期の年間スケジュールが共有され、キックオフミーティングは終了した。次世代のチェンジメーカーたちが、社会の課題を自らの問いとして引き受け、企業とともに具体的なアクションへつなげていく。そんな1年が、ここから始まった。
横田 伸治(よこた・しんじ)
サステナブル・ブランド ジャパン編集局 デスク・記者
東京都練馬区出身。毎日新聞社記者、認定NPO法人カタリバ職員を経て、現職。 関心領域は子どもの権利、若者の居場所づくり・社会参画、まちづくりなど。














