• 公開日:2022.11.02
フィンランドの木材大手が低炭素建築を可能にする大規模木材キット開発
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木材建設キット「Sylva」

建築や建築物から排出される二酸化炭素(CO2)は世界の排出総量の37%を占める。このうち約10%が、建材や建築過程からの排出分だ。こうした建築にまつわる膨大なCO2排出量を削減するために、フィンランドの製紙・木材大手のストラ・エンソはこのほど、建築現場にジャスト・イン・タイム(必要なものを、必要なときに、必要な数)で届けることができるプレハブ工法の大規模木材建築キット「Sylva(シルバ)」を発売した。欧米の教育現場では教室の過密化が問題となっており、同社はまず教育機関向けにキットを販売したい考えだ。

木材は、建築業を温室効果ガスの排出源から吸収源へと転換させる素材として期待されている。非再生建材に代わり木材を使用した場合、1立法メートルの木材あたり平均1.5トンのCO2が削減できる。さらに、木造の建築物は数世代にわたりCO2を貯蔵することも可能だ。

その一例が、持続可能性を考慮した開発が行われている英ケンブリッジのニュータウン「ノースストー」にある木造建築の学校だ。2000トンのCO2を貯蔵するという。やがて校舎がライフサイクルを終えたら、簡単に分解することができ、木材はリユース、リサイクルすることが可能で、発電にも使用できる。

ストラ・エンソは、包装材やバイオマテリアル、木造建築、製紙のリーディングカンパニーであり、FSC認証を取得した持続可能な森林を所有する世界最大の民間企業の一社だ。同社は、建築資材の木材への大規模な転換によりプロジェクトごとのCO2排出量を70%削減することが可能だとし、建築業が地球温暖化を止める解決策になりうると説明する。

同社の木材製品部門の責任者であるラース・フォルケル氏は「建築業のCO2排出量が最大化する主な要因は、鉄やコンクリートなど炭素集約素材への過度な依存だ。巨木を使用した近年の技術革新により、こうした素材からの脱却が進むだろう。今日、われわれは木材を使ってこれまでより高く、強く、軽く、建築することが可能になっている」と語る。

同社は昨年、2050年までに気候変動への影響を低減し、生物多様性の回復に貢献する完全循環型の100%リジェネラティブ(再生可能)な製品・ソリューションを提供する方針を発表している。

低炭素建築を実現する木材キット「Sylva」には、CLT(クロス・ラミネイティド・ティンバー)、LVL(ラミネイティド・ベニア・ランバー)、GLT(グリュード・ラミネイティド・ティンバー)などのプレハブ製品が含まれる。このキットによって、建設工期の短縮、コストの削減、建材のより効率的な利用が可能になる。発注者がカスタムメイドできる壁や床、屋根、階段、梁、柱は、さまざまな形や大きさの建物に合わせて巨木を最大限活用するという。

欧米では教室の過密化が問題になっており、同社はSylvaの最初のターゲットを学校に定めている。英国では小中学校の生徒数が増加しており、今後2年間で1万2000以上の教室を新たに準備する必要があるといわれている。米国でも、2019年の調査で公立学校の小学4年生の60%、中学2年生の66%が過密化した教室で授業を受けていることが分かっている。

全米教育委員会協会(National School Boards Association)は、教室の過密化による課題として、教師の指導に注意を払う能力・学力が低下する、生徒の問題行動が増える、また生徒だけでなく教師の欠席率も高まることなどを指摘する。米英のどちらも、校舎の安全性や健全性の欠如、狭すぎるといった物理的課題を含めた教育環境の悪さが課題とされている。

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