• 公開日:2023.12.28
「持続可能な調達」に取り組む生協とセイコーエプソン、杉本商店が第24回グリーン購入大賞を受賞
  • 松島 香織

杉本商店のシイタケパウダーを持って笑顔を向ける福祉施設の皆さん

環境配慮型製品やサービスの普及・拡大に取り組む団体を評価する「グリーン購入大賞」の2023年度の受賞企業がこのほど決定した。サプライチェーンとの積極的なコミュニケーションや地域での新たな資源循環に取り組んだ、日本生活協同組合連合会、セイコーエプソン、杉本商店(宮崎県高千穂町)が大賞を受賞。また今年度は、行政・民間団体部門、大企業部門、中小企業部門のほか、持続可能な食料システムの維持・発展に寄与する「農林水産特別部門」を設立。フェアトレードやアニマルウェルフェアなど、さまざまな取り組みが評価され、イオントップバリュやモスフードサービスなど10団体が受賞した。(松島香織)

グリーン購入ネットワーク(GPN)の主催で、今年で24回目。持続可能な調達(消費と生産)を通じて、温室効果ガス削減等の環境保全や社会課題の解決につながる優秀事例を毎年この時期に表彰しており、受賞者には自身の取り組みの発信や普及が期待されている。12日に開かれた表彰式で、審査委員長を務めたGPN会長の梅田靖氏は、挨拶で「受賞事例の成果のみならず、成果に至るプロセスや関係者との連携などエッセンスをつかみとっていただき、自らの取り組みに生かしてほしい」と会場に呼びかけた。

基本方針に基づく原材料調達からエシカルな消費者行動へ

大賞・環境大臣賞 日本生活協同組合連合会(行政・民間団体部門)

日本生活協同組合連合会は、2018 年の「コープSDGs 行動宣言」に基づき、2021 年にコープ商品「責任ある調達基本方針」を策定。本方針では、環境や人権等に配慮して生産された農林畜水産物等の取り扱いの拡大や、生産者・NGO との協力関係の構築など6 項目を掲げた。また同年から、社会・環境に配慮した原材料を使ったコープ商品を「コープサステナブル」とシリーズ化して販売し、商品は200 品を超え、消費者である生協組合員への認知向上と、エシカルな買い物行動の促進につなげた。同連合会 常務理事 運営組織担当の二村睦子氏は、「全国の生協組合員は3000万人、事業規模は3兆円を超えており、私たちの社会的役割と責任は極めて大きいと考えている。改めてその役割を自覚し、責任を果たすためにも、全国の生協組合員、そして会場の皆さまなど多くの方と力を合わせ、持続可能な社会と環境の実現に取り組んでいきたい」と抱負を語った。

CSR 調達でサプライヤーと共に発展を目指す

大賞・経済産業大臣賞 セイコーエプソン(大企業部門)

セイコーエプソンは、サステナビリティの重要テーマとして「責任あるサプライチェーンの実現」を位置づけ、グループを横断したCSR 調達検討委員会を設置している。また、サプライヤーにCSR 行動規範を含めたガイドラインの説明会など行い、さらに外部信用調査機関の情報に基づく間接評価や、サプライヤーが自己チェックする直接評価などで構成された「サプライヤー評価プログラム」の活用を推進。評価結果を踏まえて、継続的な改善を支援している。「サプライヤー評価プログラムは、評価が目的でなく、改善まで支援し見守ることが重要。変化する社会要請を的確にキャッチし、自社だけでなく、サプライチェーン全体に展開していきたい」と同社 常務執行役員 生産企画本部長の渡辺潤一氏は力強く話した。

地域とともに「ここでしか作れない」シイタケを世界へ発信

大賞・農林水産大臣賞 杉本商店(農林水産特別部門)

高千穂の原木シイタケ栽培の様子

1954 年創業の干しシイタケ卸問屋である杉本商店は、地域の生産者から直接シイタケを仕入れているが、国内の干しシイタケ市場が縮小する中で、2017 年から海外市場への進出に挑戦。原木栽培シイタケが「どんな場所で」「どんな人たちによって」作られているかなど情報発信に力を入れた。その結果、2017 年に24 万円だった輸出売上高は、2021 年には4577 万円にまで増え、輸出先は欧米を中心に23 カ国に広がった。また、障害者支援施設との連携でシイタケパウダーや軸を取ったシイタケを製品化するなど、地域活性化につなげている。

杉本商店代表取締役社長の杉本和英氏は、「私たちが当たり前だと思っていた高千穂の原木栽培シイタケの生産方法や栽培風景が、サステナブルな営みとして海外で評価された。この土地の循環型農業や、生産者や福祉施設の方々が商品を作り上げていくストーリーは、どこにも真似ができないこと」だという。さらに「日本にはまだ知られてないダイヤの原石のような産品がたくさんあるはず。弊社の取り組みが、あと一歩足を踏み出すようなきっかけやヒントになり、そういった会社が国内に増えることで、しなやかで強い日本になると考えている」と語った。

上記以外の受賞結果は次の通り。

【大賞】
・国立大学法人 三重大学(行政・民間団体部門)
・株式会社秋川牧園(農林水産特別部門)
・イオントップバリュ株式会社(農林水産特別部門)
・山梨県(農林水産特別部門)
【優秀賞】
・スーパーバッグ株式会社(大企業部門)
・大東建託株式会社(大企業部門)
・株式会社エルコム(中小企業部門)
・サスティナブル・ストーリー株式会社(中小企業部門)
・株式会社折兼(農林水産特別部門)
・株式会社モスフードサービス(農林水産特別部門)

written by

松島 香織(まつしま・かおり)

2016年株式会社オルタナ在職中に、サステナブル・ブランド ジャパン ニュースサイトの立ち上げメンバーとして運営に参画。 2022年12月株式会社博展に入社し、2025年3月までデスク(記者、編集)を務めた。

Related
この記事に関連するニュース

EVは本当に「低迷」しているのか? データで読む世界市場の正しい現在地
2026.06.04
  • ワールドニュース
  • #カーボンニュートラル/脱炭素
猛暑とエネルギー危機にどう挑むか 気候変動から命を守る「緩和と適応」を議論
2026.06.03
  • ニュース
  • #気候変動/気候危機
  • #カーボンニュートラル/脱炭素
脱化石燃料に向け、「全会一致」で停滞する国連枠組みを補完する「有志国」
2026.06.02
  • ワールドニュース
  • #カーボンニュートラル/脱炭素
「環境かコストか」の二項対立を乗り越える 三井化学が捉えた「エコバリュー派」の実像
2026.05.27
  • インタビュー
  • スポンサー記事
Sponsored by 三井化学株式会社
  • #気候変動/気候危機
  • #カーボンニュートラル/脱炭素

News
SB JAPAN 新着記事

世界平均気温、近く観測史上最高を更新か 国連機関が予測、気象予報の基盤整備急ぐ
2026.06.16
  • ワールドニュース
  • #気候変動/気候危機
「水破産」時代に求められるウォーター・スチュワードシップ 企業実践から考える
2026.06.15
  • ニュース
  • #パートナーシップ
  • #気候変動/気候危機
  • #ステークホルダー
「水破産」時代に突入した世界 サプライチェーンに迫る不可逆的な水リスク
2026.06.12
  • ニュース
  • #気候変動/気候危機
  • #生物多様性
パナソニックがAIで挑む介護予防 「デジタル同居」で健康寿命を延ばす
2026.06.11
  • インタビュー
  • スポンサー記事
Sponsored by パナソニック ホールディングス株式会社
  • #DX/デジタル
  • #ウェルビーイング
  • #テクノロジー

Ranking
アクセスランキング

  • TOP
  • ニュース
  • 「持続可能な調達」に取り組む生協とセイコーエプソン、杉本商店が第24回グリーン購入大賞を受賞