• 公開日:2018.09.20
「報告書、GRI準拠でも開示に偏り」NZの研究者
  • クローディアー真理

研究を率いる、ラモーナ・ジャーフペイカン博士
© University of Auckland

オークランド大学ビジネススクール(ニュージーランド)の研究者らが世界の797社によるサステナビリティ報告書を分析し、その開示情報には偏りがあるとする研究成果を8月下旬、発表した。797企業の全社が「グローバル・レポーティング・イニシアチブ(GRI)・ガイドライン」に準拠していながら、自社にとって都合の良い情報を多く開示する傾向があったという。(クローディアー真理)

© http://homedust.com/ (CC BY 2.0)

分析の対象となったのは、世界の中小・大企業797社の2010~2014年分のサステナビリティ報告書だ。GRIガイドラインに基づくが、91項目すべてに対する情報を開示している企業はなく、各社とも1~40項目に留まる。ヨーロッパやアフリカの企業は社会指標を、オセアニアでは環境指標を重要視し取り上げるという地域的な特徴が見られる。報告書に頻繁に登場する項目には、「雇用者数」「従業員退職率」「正社員に対する福利厚生」などがある。その一方で、「温室効果ガス放出量の削減」「廃棄物の量」「企業活動による水源汚染」などは挙がってこない。

出資者や社会全体が、財務面に加え、環境・倫理面での実績を企業に求める風潮がある。研究を率いるラモーナ・ジャーフペイカン博士は、「企業が報告書で取り上げるのは、情報が収集しやすかったり、功績を示せたりと、自社に有利に働く項目に限られ、報告書の有用性は疑わしい」と指摘する。「自社が、他社より優秀なことを主張する必要があるのはわかるが、現状のままではサステナビリティ報告書の意味が失われている」と言う。こうした報告はほとんどの国で、企業の任意で行われているに過ぎないことも踏まえ、企業がサステナビリティ報告書に最低限記載すべき、世界統一項目を定める必要性を訴える。

今回の発表では、企業がサステナビリティ情報の公開をしているかしていないかに重点が置かれた。研究者チームはさらに、情報開示の程度についても考察を進めることにしている。

© YellowMonkey/Blnguyen (CC BY-SA 4.0)

written by

クローディアー真理

ニュージーランド在住ジャーナリスト。環境、ソーシャル・ビジネス/イノベーションや起業を含めたビジネス、教育、テクノロジー、ボランティア、先住民マオリ、LGBTなどが得意かつ主な執筆分野。日本では約8年間にわたり、編集者として多くの海外取材をこなす。1998年にニュージーランドに移住。以後、地元日本語誌2誌の編集・制作などの職務を経て、現在に至る。Global Press所属。

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