• 公開日:2017.06.13
タイ水産大手、改善求める68万の署名を表彰と勘違い
    • 瀬戸内千代

    「より持続可能なツナを」とタイ・ユニオンに求めたグリーンピースのキャンペーン© Wason Wanichakorn / Greenpeace

    国際環境NGOグリーンピースが6月2日、持続可能なマグロ調達を求めるキャンペーンの一環として、タイのバンコク市内にある水産大手タイ・ユニオン本社までマグロの衣装でリレーを行った。ところが68万筆を超える国際署名を受け取った同社は、「グリーンピースから表彰された」と勘違いして広報。グリーンピースが改めて報道機関向けに声明を発表する珍事となった。(瀬戸内千代)

    タイ・ユニオンは、世界的なツナ缶メーカー。ツナ缶の原料は一般にスズキ目サバ科のマグロやカツオなど、英語でtunaと呼ばれる魚だ。その大量消費は乱獲や、一部では船員の強制労働など人権侵害をも招いている。そこでグリーンピースは、最大手の同社に対して、2年前から「持続可能な調達」の徹底を求めてきた。

    今回は、バンコクの中心地約4キロメートルを20人がリレーし、世界130以上の国と地域から集めた68万超の署名を本社に届けた。それを受けた同社は、「サステナビリティにおけるリーダーシップを表彰された」と自社サイトで広報。ツナをデザインしたオブジェを笑顔で受け取る写真を大きく掲げた。

    確かに同社はグリーンピースとの交渉に同意し、「シーチェンジ」と呼ばれる戦略を立て、サステナビリティに投資するなど前向きな取り組みを進めており、グリーンピースも、それを評価している。しかし一方で、世界のサプライチェーンにおける労働問題への対応など不十分な点が多いと判断して、キャンペーンを継続中だ。

    改善が完了した印象を与える同社の発表に対して、グリーンピースは即座に声明を発表した。それによると、リレーは、グリーンピースと市民がたどってきた同社との交渉までの長い道のりを表わす。同社が「トロフィー」と表現したオブジェは、実際はリレーのバトン。さらなる改善を求める「市民の声の象徴」だという。

    グラハム・フォーブス海洋生態系担当は、タイ・ユニオンの「奇妙な主張」は、顧客とパートナーから信頼を得ることに苦心している証しだろうと理解を示し、「我々はリーダーシップを求めたのであって、まだリーダーと認めたわけではない。言葉通りのリーダーになるかどうか、これからが重要だ」と述べた。

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    瀬戸内千代(せとうち・ちよ)

    海洋ジャーナリスト。雑誌「オルタナ」編集委員、ウェブマガジン「greenz」シニアライター。

    1997年筑波大学生物学類卒、理科実験器具メーカーを経て、2007年に環境ライターとして独立。自治体環境局メールマガジン、行政の自然エネルギーポータルサイトの取材記事など担当。2015年、東京都市大学環境学部編著「BLUE EARTH COLLEGE ようこそ、「地球経済大学」へ。」(東急エージェンシー)の編集に協力。

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