• 公開日:2016.11.22
ナイジェリアで続く幼児の栄養危機――支援金不足が深刻化
    • 小松遥香

    重度の急性栄養不良に陥り、セーブ・ザ・チルドレンの施設で治療を受ける1歳の女児

    イスラム過激派ボコ・ハラムの本拠地であるナイジェリア北東部で、幼児の急性栄養不良が続いている。国際NGOのセーブ・ザ・チルドレンは、このままでは1日に約200人の幼児が亡くなると警告する。同地域への人道支援の資金は底を尽きる状況で、12月初めにジュネーブで開催される国連ハイレベル支援会合で資金調達を呼びかける予定。しかし支援資金の調達率はこれまで38%と低く、国家レベルの支援だけでは危機を回避できない情勢だ。

    セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンの田代範子・広報担当によると、同NGOは6月から10月にかけ、同地域にある国内避難民が暮らす地域で子どもの栄養状態を定期的に調査してきた。調査期間中、5歳未満の子どもの急性栄養不良の割合は40~50%と一定のままだった。多くの子どもが肺炎やマラリアを併発していると言う。国連によると、このままでは1年で7万5千人の子どもが死亡する可能性がある。

    同NGOのベン・フット・ナイジェリア事務所代表は、国際社会に対し同地域で起きている人道危機の規模に注目するよう促し、「同地域への人道支援資金の3分の2は欧米諸国からで、他国からの資金援助が求められる」と声明を出している。

    ナイジェリア北東部では2009年にボコ・ハラムによる政府への武装闘争が始まって以来、住む場所を追われる人は後を絶たず、飢餓が広がっている。同組織の闘争によるこれまでの死者数は2万人以上で、260万人が避難民となっている。

    シンクタンクの経済平和研究所(シドニー)は11月16日、2016年の国際テロリズム指数(Global Terrorism Index)を発表した。そのなかでボコ・ハラムについて、同組織への軍事作戦で本拠地でのテロは減ったものの、カメルーンやチャドなど周辺国へのテロと影響力を拡大していると指摘する。

    国家レベルでの援助資金額やその内容は、歴史や地理的な関係性の影響を受けたり、各国の得意分野によって決まる傾向にある。単純に、日本政府もさらに援助すべきだという議論はできない。

    しかし国際社会が持続可能な開発目標(SDGs)を掲げる理由は、国家レベルで解決できないことを市民や企業と一緒になり対処するためだ。紛争地帯への援助は資金だけでなく物理的に困難が多く、長きにわたり見過ごされがちな問題だ。こうした問題にどう対処できるかがこれからの国際社会に問われている。

    written by

    小松 遥香(こまつ・はるか)

    オルタナ編集部

    アメリカ、スペインで紛争解決・開発学を学ぶ。趣味は、大相撲観戦と美味しいものを食べること。

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