• 公開日:2016.10.19
  • 最終更新日: 2025.03.21
化石燃料・原発への投融資、大手銀が独占-NGO調査
    • 環境ライター・箕輪 弥生

    化石燃料・原発関連企業に投融資している銀行はどこか?国際NGOによる初の調査結果が公開されている

    国際環境NGO「350.org」は、日本の金融機関137社による化石燃料・原発関連企業への投融資状況について調査し、結果を公表した。その結果61社の金融機関が2011年から2016年4月までに行った化石燃料企業への投融資額は約11兆円にのぼり、このうち95%は10社の大手金融機関で占められているという。原発関連企業に対しても約2兆円の投融資を行い、上位10社はそれらの金融機関とほぼ重なることがわかった。

    世界では、化石燃料への投資からの撤退(ダイベストメント)の動きが加速しているが、日本ではいまだ投融資(融資、株式・債券の引き受け)が続いていることが国際NGO「350org.」の調査で明らかになった。

    調査では、化石燃料と原発関連企業の計23社に対して、どんな金融機関がどの程度投融資を行っているかを、金融データベースを用いて特定した。調査対象は国内の主要金融機関137社である。

    その結果、化石燃料への融資または株式や債権の引き受けが多かった上位6社は、みずほ、三菱UFJ、三井住友の各フィナンシャルグループ、三井住友トラスト・ホールディングス、野村ホールディングス、大和証券グループであった。

    原発関連への投融資に関しても、同様の金融機関が上位6位を占めた。同調査では、これらの企業への投融資が確認されなかった金融機関47社も示した。このような調査が行われ、結果が報告されたのは同NGOによるものが始めてである。

    調査に関して同NGOの古野真 日本支部代表は「気候変動の問題に対してよりよいお金の流れに変えるためには、実際にどんな流れがあるかを知ることが大事だ」と話す。しかし、多くの人は自分が利用している銀行がどこに投資をしているのか知らないのが現状である。「その流れを明らかにし、個人の預貯金も社会に貢献できるように変えていくために調査を行った」と古野氏は説明する。

    同NGOでは、この結果を受け、9月から環境に負荷をかけない銀行を選ぶことで地球温暖化の防止に貢献しようという「My Bank My Future キャンペーン」を行っている。

    written by

    箕輪 弥生 (みのわ・やよい)

    環境ライター・ジャーナリスト、NPO法人「そらべあ基金」理事。

    東京の下町生まれ、立教大学卒。広告代理店を経てマーケティングプランナーとして独立。その後、持続可能なビジネスや社会の仕組み、生態系への関心がつのり環境分野へシフト。自然エネルギーや循環型ライフスタイルなどを中心に、幅広く環境関連の記事や書籍の執筆、編集を行う。 著書に「地球のために今日から始めるエコシフト15」(文化出版局)「エネルギーシフトに向けて 節電・省エネの知恵123」「環境生活のススメ」(飛鳥新社)「LOHASで行こう!」(ソニーマガジンズ)ほか。自身も雨水や太陽熱、自然素材を使ったエコハウスに住む。JFEJ(日本環境ジャーナリストの会)会員。 http://gogreen.hippy.jp/

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