• 公開日:2016.07.28
  • 最終更新日: 2025.03.21
仏領ポリネシアにサステナブルなリゾート、研究施設も
    • クローディアー真理

    高級リゾート施設「ザ・ブランド」は環境に配慮し、エネルギー・飲料水など循環型のシステムにして人気を得ている

    仏領ポリネシアの、サステナブルな高級リゾート施設「ザ・ブランド」がオープン2周年を迎えた。持続可能性に関心が高い、米国、ブラジル、フランスの富裕層を中心に人気を集めている。俳優の故マーロン・ブランドが所有するテティアロア環礁にあり、彼の構想を形にした。リゾート内には自然環境関連の研究施設、「エコステーション」もある。

    テティアロア環礁内のオネタヒ島に位置するザ・ブランドは、従来の高級リゾートとは一線を画し、ほぼカーボン・ニュートラルで、 自給自足が可能。米国グリーンビル協会が、環境に配慮した建築物に与える認証、リーダーシップ・イン・エナジー・アンド・エンバイロメンタル・デザインの最高位、プラチナを獲得する世界で初めてのリゾートとなるのも間近といわれている。

    他のリゾートに先駆け、低温の深層水をくみ上げ、リゾート内の気温を下げる、深層水冷房システムを取り入れ、エネルギー需要を7割近く削減。太陽パネルで3分の2を、残りを地元のココナツオイルを用いたバイオ燃料で発電し、亜鉛臭素電池を使って、双方で得られたエネルギーをフレキシブルに活用する。

    飲料水には脱塩した海水、トイレや洗濯には雨水を用い、下水は植物や細菌を取り入れて浄化した上で、灌水として役立てられる。廃棄物は、完備されたリサイクル施設で分別・処理され、生ゴミはバイオダイジェスターでオーガニック肥料に変換。レストランで出す有機野菜の栽培に利用する。

    「エコステーション」では、世界中から科学者を集め、同環礁を含めた熱帯の島々がサステナブルに発展する方法を模索する。ジカ熱を媒介する蚊のコントロール策を編み出したり成果を上げている。

    地元の人々、宿泊客への教育にも熱心だ。サンゴ礁の学習と研究者同様の手法で行なう調査、ウミガメの観察・計測、環礁の生態系を学ぶクルーズ、サステナブルなリゾート運営の舞台裏見学などを行っている。

    written by

    クローディアー真理

    ニュージーランド在住ジャーナリスト。環境、ソーシャル・ビジネス/イノベーションや起業を含めたビジネス、教育、テクノロジー、ボランティア、先住民マオリ、LGBTなどが得意かつ主な執筆分野。日本では約8年間にわたり、編集者として多くの海外取材をこなす。1998年にニュージーランドに移住。以後、地元日本語誌2誌の編集・制作などの職務を経て、現在に至る。Global Press所属。

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