• 公開日:2016.03.22
ANAと富士ゼロックス、フィリピン物資支援で提携

    中古PCを受け取ったフィリピンのギギント大学の生徒たち

    パソコンを提供したのは富士ゼロックス。業務で使用しなくなったノートパソコン10台を、ANAグループの貨物事業を営むANA CargoとOCSが、フィリピンのギギント大学に届けた。大学では日本のNPO法人、情報教育支援研究会によるプログラミング講座などが行われる予定だ。

    ANAと富士ゼロックスという異なる企業同士が連携できたきっかけは、「バーチャルハリウッド」と呼ばれる社員提案の仕組み。ハリウッド映画のように顧客や社会に「感動」を与える企画の実現を目指し、組織・会社の枠を越えたチームで、社員が自発的に活動する取り組みだ。

    1999年に富士ゼロックスが社内活動としてスタートさせた仕組みだったが、共感する企業が現れ、現在は富士ゼロックスとANAを含めた12社と慶應義塾大学大学院による「バーチャルハリウッド協議会」で運営している。

    こうした取り組みのなかで、ANAの「貨物の隙間スペースを社会のために活かしたい」というテーマと、富士ゼロックスの「使われなくなったパソコンを途上国に届けたい」というテーマが合致し、今回のリユースプロジェクトの実現に至った。

    社内で使われなくなったパソコンを途上国に提供するという取り組みは、富士ゼロックスの山口真司氏が1人で始めたプロジェクトだった。山口氏は、かつて青年海外協力隊として派遣されたガーナで、ICTを教えたくても機材が無いため教えられないという悩みに直面していた。

    「最初は一人の思いだけでやっていた活動だが、こうして社外の方とも一緒にできるようになった。こつこつとやってきた甲斐があった」(山口氏)

    ANAが試験的に行った貨物の「隙間スペース」による途上国支援を、継続的な実施につなげるためには、日本でのハンドリング・輸出入通関・現地配送の方法やコストをどうするかなどの課題を検討し、解決していくことが必要となる。

    「どこに何を送れば航空便のメリットが一番発揮できて喜ばれるのかを検証し、うまく続けられる形を探していきたい」とプロジェクト発起人の一人であるANAの日髙佑輔氏は話した。

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