
サンメッセ、Sinc、岐阜信用金庫は5月8日、「地域のサステナビリティ推進と地域ブランディングに関する共創パートナー連携協定」を締結した。脱炭素や人権対応など、大企業から取引先への要請が強まる中、対応を迫られる地域の中小企業をどう支えるかが地域経済の重要課題となっている。3者は、サンメッセのクリエイティブ・情報発信力、Sincのブランディング支援機能、岐阜信用金庫の地域ネットワークと金融機能を掛け合わせ、地域企業の非財務価値の可視化と発信を後押しすることで、新たな地域経済の循環創出を目指す。
大企業の脱炭素・人権対応の波が地域企業に
連携の背景にあるのは、サステナビリティを巡る投資・取引環境の急速な変化だ。GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の国連責任投資原則(PRI)署名以降、ESG投資は世界で重要性を増し、機関投資家は非財務情報を前提に投資判断を行うようになった。日本のサステナブル投資残高も2024年には約626兆円に達し、運用資産全体の63.5%を占めている。
こうした流れを受け、SBT(科学的根拠に基づく目標)を取得する日本企業は2000社超で世界最多となり、5年で約20倍に拡大。欧州では人権デューデリジェンスの法制化も進む。大企業はサプライチェーン全体での脱炭素や人権対応を求められており、その「圧力」はそのまま地域の中小企業へと及んでいる。
「ぎふしん未来TALK」で価値を見える化
一方、地域の中小企業の多くは、自社の取り組みや価値を社会に向けて適切に発信する機会や手法を持たない。脱炭素対応や情報開示への投資余力も限られる中、地域の金融機関がサステナビリティ・リンク・ローンやポジティブ・インパクト・ファイナンス(PIF)、脱炭素コンサルティングといった新たな金融サービスで「受け皿」となる役割が期待されている。
岐阜信用金庫は、地域に密着する金融機関として地域企業の成長支援や地域活性化に取り組んできた。今回の協定では、その金融機能とネットワークに、Sincのブランディング支援、サンメッセのクリエイティブ・情報発信力を掛け合わせ、地域企業のサステナビリティ推進と企業価値向上を一体的に支援する。

連携の中核となるのが、新たに立ち上げる情報発信プロジェクト「ぎふしん未来TALK」だ。ウェブサイトや冊子を通じて、地域企業の強みや思い、サステナビリティの取り組みを整理し、ストーリーとして社会に届ける。
サンメッセが運営する岐阜県SDGsプラットフォーム「Re:touch(リ・タッチ)」とのメディア連携により、編集力と発信力を高め、認知拡大・人材育成、コミュニティ形成、成功事例創出、ブランディングという4つのインパクトを地域に生み出すことを目指す。中小企業の統合報告・情報開示モデルの確立や、補助金×金融×ブランディングの成功スキーム開発など、全国に展開可能なケーススタディの構築も視野に入れるという。
岐阜、そして東海地方をさらに盛り上げる
連携内容は(1)地域企業のカーボンニュートラルを含むサステナビリティの推進、(2)主に中小企業の非財務面の企業情報の広報支援、(3)サステナビリティ、企業価値向上、地域企業連携の成功事例創出、(4)地域企業のサステナビリティおよびCSRの取り組みの域外発信、(5)その他必要な事項――の5項目。
3者は今後、本プロジェクトを一過性の情報発信にとどめず、企業のサステナビリティや社会的インパクトを可視化する仕組みへと発展させ、中小企業のサステナビリティレポートやインパクトレポートの作成・発信を支援する方針だ。地域企業の非財務価値を適切に評価・共有する基盤を構築することで、金融機関の伴走支援や投融資判断、取引機会の創出、人材確保にもつなげ、地域経済全体の持続的成長への貢献を目指す。
関係者が出席する中、岐阜市の岐阜信用金庫G’s Dreamで5月8日、協定締結式が開催された。
協定締結後、サンメッセ代表取締役社長/Sinc代表取締役社長兼CEOの田中信康氏は「サステナビリティは、これから日本の企業が生き残っていくために必要不可欠なキーワード。地域をリードする岐阜信用金庫さまと連携し、焦らずも急いで、皆さまに成果として実感いただける取り組みを進めたい」とあいさつ。岐阜信用金庫理事長の好岡政宏氏は「2020年にSDGs宣言を行い、脱炭素経営を中心に取り組んできたが、まだ道半ば。今回の連携を機に、サンメッセさま、Sincさまのお力も借りながら、岐阜の地域、そして東海地方をさらに盛り上げていきたい」と力を込めた。
| 岐阜県SDGsプラットフォーム「Re:touch」 https://www.retouch-sdgs.jp/ |
眞崎 裕史 (まっさき・ひろし)
サステナブル・ブランド ジャパン編集局 デスク・記者
地方紙記者として12年間、地域の話題などを取材。フリーランスのライター・編集者を経て、2025年春からサステナブル・ブランド ジャパン編集局に所属。「誰もが生きやすい社会へ」のテーマを胸に、幅広く取材活動を行う。









