• 公開日:2017.02.06
【映画評】情報は疑い、事実を見つめること
    • 松島 香織

    エドワード・スノーデンを取材するグレン・グリーンウォルド(元『ザ・ガーディアン』記者/ニュースサイト『ジ・インターセプト』創立者) (C)2016 All Governments Lie Documentary Productions INC.

    排他的・独断的な発言と政策で米国内を二分させているトランプ大統領。対して、気候変動に取り組み、広島で平和の尊さを訴えたオバマ前大統領はよかった、と思う人が多いのではないだろうか。だが、米国の諜報機関による盗聴に怒ったドイツのメルケル首相に謝罪したのはいったい誰だったのか―。オリバー・ストーン監督が製作総指揮をしたドキュメンタリー「すべての政府は嘘をつく」(2016年、カナダ、配給アップリンク)が3月18日から上映する。(オルタナ編集部=松島 香織)

    映画のタイトルになっている「すべての政府は嘘をつく」と言ったのは、1940年代から80年代に活躍した米国人ジャーナリストのI. F.ストーンだ。地道な調査によって書かれた「週間I. F.ストーン」は「真実を伝える」新聞としてアインシュタインや、マリリン・モンローが愛読していたという。

    マサチューセッツ工科大学のノーム・チョムスキー名誉教授は、「かつては国家が大衆を黙らせるには武力が用いられていました。しかし20世紀初頭になると、イギリスやアメリカのように成熟した自由社会では、武力ではもはや国民を抑えきれないという認識が広がり、メディアを通して国民をコントロールする方法に転換せざるを得なかったのです」と話す。

    大手メディアはホワイトハウスでの発表を鵜吞みにし、そのままの内容を報道した。ストーンはホワイトハウスの記者証を持っていなかったため、独自に調査し事実に基づいて記事を書いた。

    大手メディアと独立系メディアという、この構図は、今も昔も変わらない。

    左から竹下隆一郎・ハフィントンポスト日本版編集長、津田大介さん、岩上安身IWJ代表(2月4日、渋谷アップリンクで)

    国境付近で、200名の死体が白骨化し野ざらしになっていたり、ビニールに入れられて無造作に埋葬されているのが発見された。メキシコからの難民が国境を超えるため、高温の山道を歩いてきて力尽きたからだという。この問題を取材しているフリー・ジャーナリストは「これが『プードルの死体が200匹発見された』というのなら、大手メディアのニュースになるだろう」とつぶやく。

    彼はその地方の当時の判事に責任があると考え、取材を申し込んだが、元判事は「そんなことは誰も問題にしていないじゃないか」と首をすくめてみせた。

    2月4日のプレミア上映後、ジャーナリストの岩上安身IWJ代表、ジャーナリストでメディア・アクティビストの津田大介さん、ハフィントンポスト日本版の竹下隆一郎編集長が登壇した。

    岩上さんはテロ等準備罪に触れ、「将来の見えない社会で不安かもしれないが、『知ること』が何より大事」と話した。津田さんは「いきものがかりの活動中止がNHKのトップニュースになったことがあるが、これは大きなニュースを隠したい時に使う場合があり、意識したほうがいい」、竹下編集長は「社会に対して不満を持っている人が増えてきていて、政治家もそれを気にしている。FBで発信したりネットを上手く活用しているのは自民党だ」等と話した。

    ◆アップリンク渋谷で2/15、2/24劇場プレミア上映
    3/18(土)より本上映スタート
    http://www.uplink.co.jp/movie/2017/47397

    written by

    松島 香織(まつしま・かおり)

    2016年株式会社オルタナ在職中に、サステナブル・ブランド ジャパン ニュースサイトの立ち上げメンバーとして運営に参画。 2022年12月株式会社博展に入社し、2025年3月までデスク(記者、編集)を務めた。

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