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スイス

ネスレ、2050年までにCO2排出量を実質ゼロに 植物由来の製品増やす

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スイスのネスレ本社は12日、2050年までに二酸化炭素(CO2)の排出量を実質ゼロにすると発表した。達成に向けて、気候変動に配慮した原材料や植物由来の食品、飲料を増やす方針。さらに農家と協働し、土地を修復し、温室効果ガスの排出を抑える農業を促進していくという。同社は23日から始まる国連気候行動サミット2019を前に、企業が世界の気温上昇を産業革命前から1.5度未満に抑えると誓約する国連グローバルコンパクトの「Business Ambition for 1.5°C」に署名する。(サステナブル・ブランド ジャパン=小松遥香)

ネスレは、気候変動への取り組みにおいてリーダーシップを発揮すると決め、取り組みを加速させると宣言した。同社はパリ協定が採択された2015年12月、気候科学に基づいた温室効果ガスの削減目標であるSBT(Science Based Target)に沿った目標設定を行うことを表明し、RE100に加盟するなどし、それを推進してきた。今後2年間に「1.5度目標」の達成に向けて、期限を定めた計画を策定する方針。1年ごとに進捗を評価していくという。

新たな目標設定について、マーク・シュナイダーCEOはこう話している。

「気候変動は社会が直面している最大の脅威の一つであり、私たちのビジネスの未来にとっても最大のリスクである。気候変動がもたらす最悪の事態を回避するために、私たちに残された時間は少ない。ネスレが世界に持つリソースとノウハウを用いることで、大規模な変化をもたらすことができると考えている」

同社は2050年までにCO2の排出量を実質ゼロにするために、事業を通して新たな取り組みを進めていく。その一例として、気候変動に配慮した原材料や植物由来の食品・飲料などを増やし、環境や栄養バランスに配慮した製品を展開していく方針だ。ネスレはこうした商品への消費者の需要が急速に高まっているとし、その変化に中核戦略も合わせていくという。また包装材も環境に配慮したものへと転換を進めていく。

調達に関しても、農家と協働して、土地を修復し、温室効果ガスの排出を抑える農業を行い、植林や生物多様性の保全を通して、森林保全もこれまでより強化していく考え。また現在、世界の3分の1の工場で再生可能エネルギーを使用しているというネスレだが、工場だけでなく倉庫や物流、オフィスでの使用も進め、同エネルギーの使用率を上げていく。

同社は、気温上昇を1.5度以内に抑えるには産業界、政府、社会全体における変革が必要だとし、すべてのセクターが共に「1.5度目標」への取り組みを加速する法律を制定するよう政府に求めていくという。そうすることで、再生可能エネルギーの市場も拡大し、農業や林業におけるイノベーションも生まれ、CO2の排出量に応じて費用負担を求めるカーボンプライシング(炭素の価格付け)の制定にもつながるだろうとしている。

小松 遥香 (Haruka Komatsu)

アメリカ、スペインで紛争解決・開発学を学ぶ。一般企業で働いた後、出版社に入社。2016年から「持続可能性とビジネス」をテーマに取材するなか、自らも実践しようと、2018年7月から1年間、出身地・高知の食材をつかった週末食堂「こうち食堂 日日是好日」を東京・西日暮里で開く。前Sustainable Brands Japan 編集局デスク。