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エシカルな「鉱物・金属調達」は方針の徹底が課題

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国内のNGOらで運営するエシカルケータイキャンペーン実行委員会は20日、「エシカルな鉱物・金属調達に関する公開質問状」の結果を発表した。調達における環境・社会への配慮などを調査したもので、メーカーや商社、流通業など146社に聞き36社から回答があった。鉱物・金属の調達方針を策定しているのは34社だが、一次、二次、その先のサプライヤーにまでどれだけ方針を徹底させていくかが今後の課題となる。(辻 陽一郎)

エシカルケータイキャンペーンウェブサイト

責任ある鉱物調達では特に、「紛争鉱物」に対する方針を掲げる企業が増えている。コンゴ民主共和国や周辺国で採取された紛争鉱物が武装勢力の資金源となっている懸念があるためだ。

米国のドッド・フランク法では、コンゴなどで調達した4種の鉱物資源の使用状況と供給元を開示することが義務づけられている。今回の調査でも「調達方針で対象となる社会・環境問題はなにか」の問いに対して、「武装勢力の資金源となるなど、紛争に関連していないか」をすべての企業が定めていると答えた。

ほとんどの企業が調達方針を策定し、紛争鉱物への対応も進んでいる。一方で、「野生生物や生物多様性への悪影響」や「先住民族の生活・土地・文化侵害」に関して方針を定めている企業は半数ほどにとどまった。アジア太平洋資料センター(PARC)の田中滋事務局長は、「紛争鉱物にはほぼ対応している。それ以外の鉱物や社会問題に方針を持つことが求められている」と話した。

サプライチェーン上での方針徹底についても課題がみられた。「一次取引先への通達事項として依頼」しているのは28社ある。だが、サプライヤーとの契約書に調達方針を組み入れているのは8社。合意書を交わしているのは6社と低調だ。「サプライヤーに求めること」では、二次以下のサプライヤーに対して調達方針を遵守すると答えたのは18社だった。

田中氏は「サプライチェーンの先までコミットメントを求めていくことがサプライチェーンマネジメントとして重要」と指摘する。

公開質問状は今回で4回目。2010年の調査では17社しか回答がなかったが回を重ねるごとに増え、今回は過去最高の36社となった。回答した企業は、日立製作所や富士フィルム、三菱商事RtMジャパンなど。最終製品製造企業が最も多く、自動車関連企業からの回答はなかった。回答内容は未回答企業名も含め、エシカルケータイキャンペーンのウェブサイトで公開される。

辻 陽一郎 (つじ・よういちろう)

オルタナ特約記者、NPO新聞代表。フリーライターとして、NPO・NGOやボランティア、ソーシャルベンチャー、企業のCSRなどを中心に取材。

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