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ブランドが社会とつながる、持続可能な未来へ  「サステナブル・ブランド ジャパン」 提携メディア:SB.com(Sustainable Life Media, Inc.)
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第1回サステナブル・ブランド調査、トヨタや良品計画が上位 SDGs認知度は58.1%に

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サステナブル・ブランド ジャパン編集局

サステナブル・ブランド ジャパンは24日、全国の9000人を対象に、国内17業種180社の持続可能な環境・社会への取り組みとブランドイメージを調査した「ジャパン・サステナブルブランド・インデックス(Japan Sustainable Brands Index:JSBI)」を発表した。持続可能な取り組みを行っているブランドとして認知されている企業の上位5社には、トヨタ自動車、良品計画、日立製作所、住友林業、ライオンが入った。調査を率いた青木茂樹・駒澤大学経営学部市場戦略学科教授は「持続可能な社会をつくるには、価格競争を超えた軸で企業が評価される必要がある。調査から、消費者が企業のどこを評価し、なにを求めているのかが判明した。この結果をサステナビリティを念頭においた企業経営に生かしてもらいたい」と語る。(サステナブル・ブランド ジャパン編集局)

持続可能な社会に移行する上で、企業ブランドが果たす役割は大きい。ブランドとは経営や企業文化、コミュニケーション、商品・サービスなど企業活動全般を指し、企業には今、そのブランド力を用いて、持続可能な消費行動を促し、率先して社会を変えていくことが求められている。調査・コンサルタント会社グローブスキャンなどが直近の2017年に行った国際的ブランド調査によると、消費者の65%は持続可能な製品を買いたいと考えながらも、実際に買う人は26%に過ぎないという。思いと行動のギャップを埋める行動や製品・仕組みづくりが、企業ブランドに求められている。これまでは、消費者が求めていないから持続可能な商品はつくれない、売れないという姿勢の企業も少なくなかったが、地球環境の悪化が目に見えて深刻化する中、将来的にもそうした姿勢は通用しなくなっている。

こうした流れを背景に、企業の持続可能な取り組みを消費者視点から見直し、消費者が企業に対して持つ認識が消費行動や推奨行動にどのような影響を及ぼすかを調べる目的で行われたのが今回の調査だ。180社に限定した試行調査だが、全国47都道府県の18―79歳の男女9000人にインターネット調査したデータをまとめた。SDGs(持続可能な開発目標)に貢献しているイメージのある企業を調べた「SDGs貢献イメージ」と、SDGs17目標(質問数30)に照らし合わせて企業のサステナビリティの取り組みを評価した「SDGs評価」をそれぞれ偏差値化し総合得点を出した。上位50社は以下の通り。

業種別で最も高かったのは「素材・化学・機械」「薬品・医療用品」、最も低かったのは「金融・保険」「出版・教育・印刷」だった。

では消費者は企業の何を評価し、持続可能な取り組みをしているというイメージを持つのだろうか。調査では、顧客と企業ブランドの感情的つながり「カスタマー・エンゲージメント」の観点から上位50社を分析した。エンゲージメントを構成するのは(企業活動への)参加、評判(推奨・応援)、パーパス、社会性、環境性(エコ)、ブランド、労働環境の7要素。それぞれの要素につき2―5つの質問をした。結果として、社会性と環境性が特に大きく影響しており、次いで評判・応援、参加、労働環境、ブランド、パーパスの順番で影響があることが分かった。

今回、SDGsの認知度も同時に調査した。2018年の独自調査で9.3%だった認知度は、今回の調査を実施した2020年12月末時点で58.1%に達した。

サステナブル・ブランド国際会議のアカデミックプロデューサーも務める青木教授は調査についてこう話している。

「消費者が企業の持続可能な環境・社会に向けた取り組みをどう評価しているかを知ることは、自社の取り組みが十分かどうかを改めて考える上でも重要だ。SDGsやサステナビリティへの取り組みが求められ、関心が高まる中、社会の構成員である企業がそれを無視するわけにはいかない。CSRだけでなくマーケティングやコミュニケーションなど企業活動全般において取り組んでいく必要がある。さらに、自社の持続可能な取り組みを適切な方法で伝えることは重要なことだ。企業は長らく価格や機能といった手を付けやすいものに重点をおいた競争戦略をとってきたが、持続可能な環境・社会・経済をつくることに重点をおいた戦略へと変わっていく必要がある。真に持続可能な取り組みによって選ばれる企業ブランドを増やす上でも、今回の調査は役に立つ。経営者層が各部署をまとめていくためにも数値化された指標は生かされるだろう」

調査・分析結果は、本日2月24日から明日まで開催する「サステナブル・ブランド国際会議2021横浜」でも発表する。JSBIの調査は今後も対象企業を増やし、調査手法を再考しながら、有用な指標として確立を目指していく方針だ。

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