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障がい者をイノベーターに、農業・福祉・企業が連携

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左からファシリテーターの足立氏、『コトノネ』里見氏、農福連携自然栽培パーティ全国協議会 佐伯氏、カシオ計算機 小林氏、環境省 中井氏

「パートナーと一緒になって障がい者をイノベーターにしていく」。グッドパートナーシップのセッションで、農福連携自然栽培パーティ全国協議会の佐伯康人代表理事が述べた。自然の力だけで育てる「自然栽培」を行う福祉事業所を全国に拡げ、地方にある課題解決に挑んでいる。「障がい者×自然栽培」でつながった立場の異なる4者が登壇した。 (辻 陽一郎)

障害者メディア「コトノネ」の発行人/編集長を務める里見喜久夫氏は、自然栽培パーティを名付けた一人でもある。しばりがなく誰でも出入りしやすい集団名をめざした。3年目で障がい者の福祉事業所が全国100近くなったという。

「福祉は人気ない。農業も人気ない。人気ない同士が組んだのに楽しくなった。楽しい障がい者、楽しい農業。楽しそうにしていると地域の人やいろいろな人が寄ってくる」

地方で増える耕作放棄地や、障がい者の低工賃・限られた仕事内容などの課題に取り組む自然栽培パーティは多様な人たちを巻き込んでいく。

昨年から企業向けに「一反パートナー」の仕組みを導入した。企業が一反あたりの収穫米を出来高にかかわらず55万円で買い取ることで支援する。

第一号はカシオ計算機。同社のCSR推進部の小林誠執行役員部長は「地方にはたくさんの福祉事業所がある。これからは地方の課題を福祉事業所が担う。福祉事業所が持つ可能性を感じた。一緒に新しい社会をつくっていけるのではないか」と意気込んだ。

田植えや稲刈りには社員参加も促している。群馬県前橋市の障害福祉サービス事業所を訪れ、田植えや稲刈りをした。「普段経験できないことができる。社員の視野が広がり、価値観が変わった」。

もう一人のパネリストは、環境省総合環境政策統括官グループの中井徳太郎総合環境政策統括官だ。自然栽培パーティは2016年、環境省が主催する第4回グッドライフアワードの環境大臣賞最優秀賞に選ばれた。

中井氏は「グッドライフアワードはライフスタイルを転換するという認識を広めるためのもの。中央集権型の世界ではなく、これからは自立分散型で一人ひとりが覚醒して、自然の摂理に沿っていくことが必要。役所も究極何を目指すのかを設定すれば大事なことが見えてくる。縦割りどうこうではない。それぞれの役割分担はあるが、手を組んで登ることはできる」と語った。

辻 陽一郎 (つじ・よういちろう)

オルタナ特約記者、NPO新聞代表。フリーライターとして、NPO・NGOやボランティア、ソーシャルベンチャー、企業のCSRなどを中心に取材。

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