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ウナギ消費、事実を知れば2人に1人が行動を変える

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国際環境NGOグリーンピース・ジャパンはウナギを食べる成人を対象に「ウナギの消費に関する意識調査」を実施し、その結果を公表した。それによると、ニホンウナギが絶滅危惧種であることは回答者1086人のうち約4割、シラスウナギに密漁など不正取引の可能性があることは7割以上が知らなかった。しかし、こうした事実を知った回答者の約半数は食べることをやめるなど消費を再考すると回答し、ウナギの実態を巡る周知の重要性が浮かび上がっている。(瀬戸内千代)

調査対象はウナギを食べる20~69歳の約1000人。天然ウナギの脂がのってくる11月にアンケート調査を行い、結果を冬の「土用の丑の日」を控えた1月11日に公表した。

IUCN(国際自然保護連合)は2014年にニホンウナギを絶滅危惧種に指定している。調査によると、絶滅危惧種であることの認知率は、年齢が上がるほど高かった。

絶滅危惧種の認知・認知後の変化(グリーンピース・ジャパン提供)

ニホンウナギの稚魚(シラスウナギ)の半数に密漁など不正取引の可能性があることを初めて知った人は回答者の7割にのぼったが、その半数以上が「食べるのをやめる」または「食べる量を減らす」ことを検討したいと答えた。

一方、調査で秋冬が本来の旬であることを伝えると、約6割が知らなかった上に、知った後でも過半数が夏の土用の丑の日にウナギが食べたいと答えた。日本のウナギ消費量は、夏の「土用の丑の日」商戦にあおられるように、例年7月に突出して伸びる。

ニホンウナギが生息する国々の研究者を束ねた「東アジア鰻学会」の塚本勝巳会長は、「美味なるが故に私たちはウナギの大量消費をやめられず、高価なるが故に乱獲や不正な経済行為が後を絶たないことが問題」と述べている。

ニホンウナギ稚魚の密漁の認知・認知後の変化(グリーンピース・ジャパン提供)

今年の冬の「土用の丑の日」は1月21日と2月2日。スーパーマーケットなどが旬のウナギを多めに売り出すかもしれない。しかし「ウナギを守るために販売者ができること」の自由回答欄に「余って廃棄になるほど作らない」と書いた回答者がいたように、絶滅や密漁に加担するリスクを知って買い控える消費者が一定数いることは、今回の調査からも明らかだ。

瀬戸内 千代 (せとうち・ちよ)

海洋ジャーナリスト。雑誌「オルタナ」編集委員、ウェブマガジン「greenz」シニアライター。1997年筑波大学生物学類卒、理科実験器具メーカーを経て、2007年に環境ライターとして独立。自治体環境局メールマガジン、行政の自然エネルギーポータルサイトの取材記事など担当。2015年、東京都市大学環境学部編著「BLUE EARTH COLLEGE ようこそ、「地球経済大学」へ。」(東急エージェンシー)の編集に協力。