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高校生の視点で社会課題を解決し、未来を切り開く ーー第3回SB Student Ambassador 全国大会

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SB Student Ambassador

サステナブル・ブランド ジャパン編集局

SDGsの達成に向けて、次世代を担う高校生たちは、企業や自治体と連携してどのような貢献ができるのか――。今年2月に開かれた3回目となる「SB Student Ambassador」の全国大会には、過去最多となる111校が応募。全国9カ所で開催されたブロック大会への参加を経て、論文で選考された15校から58人が参加した。高校生たちは自分たちが暮らす地域や日本社会、世界が抱える課題解決に向け、若者らしいユニークで鋭い視点から、さまざまなアイデアを披露した。(眞崎裕史)

空き家や過疎化、足元の問題に目を向ける

“SB Student Ambassador”たちは2日間の国際会議中、自身に関心のあるセッションを聴講し、学びを深めて成果発表会に臨んだ。プレゼンテーションの持ち時間は、各校5分ずつ。緊張した様子でマイクを握った。

「会議発足以来、四国初出場!」と元気に切り出したのは、大手前丸亀高等学校(丸亀市)。四国の活性化を目指して、JR四国を使ったツアーを企画した。宿泊先のキャンプ場で間伐体験を行い、回収したごみと間伐材でバイオマス燃料を作り、電車の燃料に利用するプランを提案した。

雲雀丘学園高等学校(宝塚市)は、シャッターが閉まった店舗の並ぶ地元商店街に目を向けた。人通りを増やす方法として、空き店舗を学生寮にリフォームする構想を提案。地域活性化や資源の有効活用、充実した学習環境などにつながるとして、「僕たちが目指すのは学生と商店街の共生です」と訴えた。

増加する空き家の問題に対し、長屋利用の可能性に注目したのは大阪学芸中等教育学校(大阪市)だ。「空き家ファーム&カフェ」と題し、空き家となった長屋で野菜を栽培・出荷。隣接する長屋では、地域住民が交流するカフェを運営する。「大阪の社会を持続可能なものとしていくことが、世界の持続可能性にも貢献する。この提案がその小さな一歩になれば」と力を込めた。

足元に目を向け、都市と地方の格差、あるいは過疎化など、地域が抱える課題に挑戦した学校も多かった。

郁文館高等学校(東京都文京区)は、交通手段が船しかない長崎県上五島の現状を紹介した。大胆にも、「水面があればどこでも離発着可能」な水上飛行機を提案。医療格差など同様の課題を抱える離島は存在するとし、「水上飛行機と離島でイノベーションを起こす」と宣言し、「私たちと共同で、水上飛行機による課題解決を研究していただけないでしょうか」と企業や自治体に呼びかけた。

「厄介者」を「味方」に、ユニークな提案続々

地域課題に取り組みながらも、高校生の視線はグローバルに向かう。地球温暖化やエネルギー問題でも、ユニークな提案が相次いだ。

日本有数の豪雪地帯にある北海道岩見沢農業高等学校(岩見沢市)は、雪景色の写真を見せてプレゼンを始めた。地域の「厄介者」である雪と、道内でトップクラスの稲の作付面積を誇る岩見沢で、現状ほとんどが産業廃棄物になってしまう籾殻の見方を変えて、「味方」にすると強調。具体的には雪山を造成、そこに断熱材として籾殻を被覆し、野菜の収穫時期を調整する。籾殻はハウスの暖房燃料などにも活用する。自然エネルギーによる野菜の周年栽培が可能となるほか、ビッグデータも取り入れ、農作業の効率化なども実現できるとした。
「北の国から、地球にやさしいカーボンニュートラルな周年栽培体系を確立することができ、食糧生産と環境保全の両面を担っていく」(岩見沢農業高等学校)

宮崎第一高等学校(宮崎市)も環境問題を取り上げた。方言での寸言を交え、飼育頭数の増加で大量発生している家畜の糞に着目。現在主流のパームオイルによる石鹸に代わって、家畜の糞由来の油を使った、環境に良い固形石鹸を提案した。

東北高等学校(仙台市)はブロック大会で学んだ「身近で手に入れられるものでSDGsに貢献できる」との考え方から、エネルギーに関連して高校生自身に注目した。人の動きなどから出るエネルギーを電力に変える「振動発電」を提案。クラス対抗発電競争などで、楽しみながら学校全体でSDGsに取り組むほか、地域全体を巻き込んだ動きをつくると説明した。

移動手段として車が欠かせない地方は少なくない。一方で、そこには環境問題と高齢化という地域課題が横たわる。

富山県立高岡南高等学校(高岡市)は、地域が誇るアルミ産業と、次世代エネルギーといわれる水素を利用した提案を行った。廃アルミの処理から水素が発生。その水素で発電し、電気自動車を走らせる。この発電過程でCO2は排出されない。また、スクールバスに水素を利用し、若い世代の関心を喚起。アプリを使った予約制バスで、高齢者ドライバーの免許返納を進める。「環境問題を解決する上で、我慢を強いて現状から引き算するのではなく、今あるものを掛け合わせて新しい選択肢を生み出すことが重要になってくる」とプレゼンを結んだ。

発表した高校生たちは、スマートフォンとともに育った世代だ。スマホアプリを使ったアイデアも多かった。

「今よりエコレールマークを広げて、世の中をエコフレンドリーでグリーンな社会にしようと考えている」とアピールしたのは、白鵬女子高等学校(横浜市)。「エコレールマーク」は、CO2排出量の少ない貨物鉄道で輸送されたことを示すもので、身近なスナック菓子などにも表示された商品がある。そのマークの認知度をもっと上げ、普及に役立てようと、「エコール」と名付けたアプリを提案。エコレールマークの商品を買ったらポイントが貯まる仕組みで、消費者はお得に買い物しながらCO2削減へ貢献できる。

地元企業と連携、人と環境が循環する社会広める

循環型社会をテーマにした岡山県立操山高等学校(岡山市)は、竹製家具を製造する地元企業TEORI(倉敷市)の協力を得て、手に麻痺がある人が小さな力でもドアを開けることのできるドアノブの自助具を3Dプリントでデザインし、製品化した。そうした自助具の需要をグラフで示し、高齢化社会の進展によるニーズの高まりを説明。今回は岡山県の事例だが、「それぞれの特産品を用いることで、人と環境とが循環する社会を、日本中、世界中に広めていくことができる」と力説した。

「カンタス航空とアボリジニの共存」とのタイトルで発表したのは、豊島岡女子学園高等学校(東京都豊島区)。開発途上国の現状を学びながら、現地で生産された商品を国内の空港で実際に販売した一村一品マーケットの活動に参加する中で、「働き手になっている子どもたちに選択肢を与えることが、途上国の全体的な問題解決に重要」と考えるようになった。南半球最大手のカンタス航空とアボリジニに着目。カンタス航空の機体や機内にアボリジニのアートを導入することで、アボリジニの伝統文化や観光資源の認知向上などにつながるとした。

「廃棄されてしまう食品を救う」と力を込めたのは、中央大学杉並高等学校(東京都杉並区)だ。世界の食糧支援の量420万トンに対し、日本の食品ロスは、それを上回る522万トンに上る(2020年)。そのうち60万トンがコンビニやスーパーなど食品小売業から発生している。そこで、小売業と消費者をつなぐアプリ「NACROSS(ナクロス)」を開発。スーパーなどは賞味期限切れの商品をアプリに出品し、消費者はネット上で購入の上、店で商品を受け取る。店側は値引きシールを貼る手間がなくなり、消費者は安く購入できる。ウィンウィンの結果、食品ロスの削減が期待できる。

熱っぽい訴え、大人にも多くの気づきを与える

SDGsの目標11「住み続けられるまちづくりを」の実現には、在留外国人や障害者といったマイノリティーの視点も欠かせない。

福井県立武生東高等学校(福井県越前市)は多文化共生社会について提案。越前市は総人口の約6%が外国人で、毎年増え続けている。市のアンケートの結果、在留外国人の半数が「日本語ができない」ことに困っていると判明した。そこで、在留外国人の子どもたちに高校生が勉強や宿題を教えたり、キッチンカーを利用して母国の料理を販売してもらったりするイベントを企画。「国籍に関係なく伸び伸びと暮らせるまちをつくっていくことが、私たちの理想」と訴えた。

関西大学高等部(大阪府高槻市)は「全盲、弱視の人のストレスを少しでも軽減させたい」との思いから、カメラやGPS、超音波センサーを搭載した「メガネ型骨伝導警告安全装置」を提案した。製品開発の前にSNSを通じ、全盲や弱視の人に日常生活で困っていることを聞いた。役場へのヒアリングも経て、障害物を検索して危険を伝える安全装置の開発に至った。

「安心・安全の基盤」である地域コミュニティの課題に取り組んだのは、岐阜県立岐阜高等学校(岐阜市)だ。チャット機能などを備えたアプリ「皆覧板(かいらんばん)」を開発。日常の困りごとを地域内で共有し、困っている人とサポートする人をマッチングする。翻訳機能があり、災害時に情報格差になりやすい外国人の情報源にもなる。さらにアプリを使ってイベントも開催し、交流のきっかけをつくる。「私たち若者が主体となり、誰一人取り残さないコミュニティをつくっていきたい」と力強く誓い、プレゼンを締め括った。

発表は企業からの講評も挟みながら進められた。講評では「どこの学校も一つの課題だけでなく、複数の社会課題を考えていた。次世代を担う高校生のアイデアと着眼点の鋭さに感動した」「ネーミングを見ると、どういうビジネスなのかが分かる。インパクト、ワクワク感を兼ね備えたしっかりしたネーミングだと思った」などの声があった。

最後に主催者側を代表して、日本旅行の舘真・代表取締役常務取締役兼執行役員が「それぞれの学校、地元地域への愛着を強く感じた。どれも高校生ならではの斬新な発想、アイデアに溢れている。さらにはすでに地元の企業とタイアップして、本当に実現するのだという意欲が伝わってきた。非常に素晴らしい」と総評を述べた。

各校の発表は現実性や表現力など4つの観点で採点され、最優秀賞に岩見沢農業高等学校、優秀賞には白鵬女子高等学校と富山県立高岡南高等学校がそれぞれ選ばれた。2時間半に及ぶ発表会で、高校生たちは時に熱っぽく、「社会を変える」提言を行なった。その訴えは、参加した企業や大人たちに、多くの気づきや刺激を与えたに違いない。

サステナブル・ブランド国際会議2023東京・丸の内
SB Student Ambassador 参加校一覧

北海道岩見沢農業高等学校
東北高等学校
富山県立高岡南高等学校
福井県立武生東高等学校
岐阜県立岐阜高等学校
郁文館高等学校
中央大学杉並高等学校
豊島岡女子学園高等学校
白鵬女子高等学校
大阪学芸中等教育学校
関西大学高等部
雲雀丘学園高等学校
岡山県立操山高等学校
大手前丸亀高等学校
宮崎第一高等学校

2023年度も全国9都市で開催決定!
2023年度 サステナブル・ブランド国際会議 学生招待プログラム
第4回 SB Student Ambassador ブロック大会
詳細:https://www.sbsa24.com/

SB Student Ambassador
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「SB Student Ambassadorプログラム」とは、SB国際会議に参加し、高校生の立場から意見を発表するプログラムです。

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