サステナブル・ブランド ジャパン | Sustainable Brands Japan のサイトです。ページの先頭です。

サステナブル・ブランド ジャパン | Sustainable Brands Japan のサイト

ブランドが社会とつながる、持続可能な未来へ  「サステナブル・ブランド ジャパン」 提携メディア:SB.com(Sustainable Life Media, Inc.)
コミュニティ・ニュース

地域の社会課題解決へ学校の枠超え高校生が議論 ――第3回SB Student Ambassador ① 四国・北陸・東北ブロック大会

  • Twitter
  • Facebook
サステナブル・ブランド ジャパン編集局
全国各地の会場で地域の高校生と企業の担当者らの笑顔がはじけた(10月15日、郡山市の日本大学工学部で開かれた「SA東北大会」より)

サステナブル・ブランド ジャパンは9月から11月にかけ、SB Student Ambassador(SA)ブロック大会を全国9地域で開催した。毎年2月に行われる「サステナブル・ブランド国際会議」に全国の高校生を招待する、日本旅行との共催プログラムの事前学習の場として設けているもので、3回目となる今年は、前年の4地域から9地域へと拡大、参加した高校生も194校1253人と大きく増えた。各大会では、それぞれの地域の特色に合わせたテーマ設定がなされ、同じ地域の高校生同士、学校の枠を超えて地元企業や自治体の取り組みを学び、新たなアイデアや課題解決について活発に議論する光景が見られた。この日の学びをもとに各校は来年2月14・15日の「SB国際会議2023東京・丸の内」への出場権を懸けて論文作成に挑む。ここでは各ブロック大会の様子を4回に分けて紹介する。まずは四国・北陸・東北の3大会編。

基調講演「プロギングで世界を変える」 27歳の起業家が提案するSDGs

SA大会のオープニングは、高校生と同じZ世代を代表するオピニオンリーダーの基調講演から始まる。四国・北陸・東北大会では、「君たちは世界を変える力がある」というタイトルを掲げ、一般社団法人プロギングジャパンの常田英一朗代表理事が語りかけた。

プロギングとは、スウェーデン生まれの、ジョギングをしながらごみ拾いをするフィットネスのこと。アウトドア好きの家庭に生まれ育った常田氏は、滋賀大学のワンダーフォーゲル部に入部し、国内外の山や岩場などを巡る中で、自然界にポイ捨てされているごみの問題を解決できないかと思うように。そこで注目したのがプロギングだったという。

海外では個人が自主的に行うプロギングを、常田氏は日本人が気軽に始められるようにアップデートし、休日のアクティビティやレクリエーションとしてイベント化。現在は企業や行政などと連携して、観光やトレーニングをしながらのプロギング、マインドフルネスのためのプロギング、ごみ拾いを競争するプロギング運動会などを企画し、全国に広めていこうと取り組んでいる。

プロギングジャパンの活動のモットーは「ポジティブな力で足元から世界を変える」。環境問題やSDGs、社会貢献に取り組もうとは敢えて言わない。一緒に走る楽しさ、健康的であること、新たな出会いがあることなどを伝えることで、多くの人を巻き込み、「やっているうちにいつのまにか街がきれいになる」ことを目指す。

活動資金はイベントのほかに、環境に配慮した製品を販売するオンラインショップの売上や寄付から得ているそうで、常田氏は、高校生が仕事の内側についてよく理解できるように、企業や行政から請け負うイベント1件あたりの単価など収入源についても詳しく説明。その上で団体を経営する重要な心構えとして「関わる全ての人にとって良いイベントになるように取り組むこと」を挙げ、参加者や協賛企業・団体の思いや狙いを理解し、それを達成することが大事だと強調した。

最後に、SDGsを実現するために個人がすぐにできることとして「ちょっとした思いやりを持とう」と呼び掛け。蝶の羽ばたきが遠く離れた場所で竜巻を生み出す可能性があるように、わずかな変化が大きな変化につながることを意味する「バタフライ効果」を例に、「ちょっとした思いやりの連鎖こそがSDGsの実現につながる。皆さんがここに来て、何かを考えている時点で、世界を動かしていると言える。自信を持ってほしい」と締めくくった。

●四国大会 =9月24日、四国学院大学にて開催、10校68人参加=

今年のSAのスタートを切った四国大会は9月24日、香川県善通寺市にある四国学院大学で行われ、10校68人が参加した。最初に後援団体を代表して、四国ツーリズム創造機構事業推進本部長の桑村琢氏が、同機構が四国を持続可能な観光地としてブランド化することに取り組んでいることを説明。参加者に「共に“サステナブル・アイランド”四国を目指そう」と呼びかけた。

JR 四国の新居氏

続いて同じく後援団体の四国旅客鉄道(JR四国)総合企画本部担当部長の新居準也氏​が、四国は全国に先駆けて人口減少が進み、1990年から2020年の30年間で約50万人減少したこと、この間に高速道路の整備・延伸も進んだことで、鉄道を運営する同社は厳しい状況にあることを報告。世界的には、鉄道などの公共交通はCO2排出量を削減するための有効手段として注目されている背景もあり、今後は、交通事業者が競争ではなく協調し、スマートフォン一つで四国内の全モビリティが利用できるMaaS(次世代移動サービス)を実現するなど、サステナブルな地域公共交通に取り組んでいくとした。

SA午後の部は、各地域でSDGs目標の実現を意識して事業に取り組む企業が数社、講演を行うのが特徴。四国大会には、土木構造物の点検・調査・設計などを行うインフラマネジメント(高知市)と、ソフトウェア開発などのオフィスパートナー(同)、ボイラーなどの製造販売大手の三浦工業(松山市)の3社が登壇し、高校生はそれぞれ自分の関心があるテーマを一つ選んで受講した。

運を味方にし、新しいことに積極的に取り組むには

インフラマネジメントの坂元陽祐代表

このうちインフラマネジメントの坂元陽祐代表は、「地方発ビジネス」をテーマに講演。大学卒業後に大手建設会社に入社し、大学院で学んだ後の2009年に同社を興した自身の経験を振り返りながら、高校生に人との出会いやチャンスの大切さをアピールした。ビジネスにおいて重要な“運”を呼び込むためには、常に明るいイメージを持ってポジティブシンキングを行い、どんどん新たなことにチャレンジし続けて周囲を巻き込み、積極的に行動することだという。

明るく清潔なオフィス環境を整備することで、一般の人が土木業界に抱きやすい「怖い」「汚い」といったイメージを払拭。従業員が働きやすく、モチベーションの向上につながる経営に取り組み、今年は経産省の「健康経営優良法人2022」にも認定された。坂元氏は「収益を上げ、社会(地域)に必要とされ続ける会社であろうとすることで、SDGsは自ずと推進されていく」と力を込め、地域に必要とされる存在であることの重要性を強調した。

学生と地元企業が交流する無料カフェを開設 県内就職者の増加を目指す

オフィスパートナーの田村勝介代表

一方、オフィスパートナーの田村勝介代表は、高校時代から起業を考え、礼儀作法や営業力を身に付けるために、ホテルのフロント業務で10年、OA機器販売会社で8年働いた後、2014年に同社を創業した。「生まれ育った故郷が廃れることなく、発展してほしいという地域への思い」が自身を突き動かしたという。

社名の通り、オフィスのパートナーとして事務機器から空調、ソフトウェア開発に至るまで一貫したサービスを提供する同社がいま力を入れるのは、高知県内でインターンシップや就職をする大学生が減る中、県内に定着する大学生を増やす目的で立ち上げた企業と学生のマッチング事業だ。

具体的には大学生が無料で使えるカフェである学生空間「One step」を設置し、年間を通して交流会や事業説明会などを開催し、企業に触れる機会を増すことに取り組んでいる。運営費用は地元企業のスポンサー料によって賄われているという。田村氏は人口減少と地域の未来についてこう話した。

「人口が減少するから地域が廃れていく、マイナスイメージになるというのは、これからの時代においては変わるのではないか。事業を行う中で思うのは、人が少ない中でも効率を上げていけば地域は発展していくということ。皆さんのような次世代が中心になり考えていくことではないだろうか」

国内のCO2排出量の2%を脱炭素化 ボイラー製造大手の難題への挑戦

三浦工業システム統括部の永渕竜朗統括部長

残す1社の三浦工業はシステム統括部の永渕竜朗統括部長が登壇し、同社の取り組む熱利用分野の脱炭素化の現状について、熱やボイラーの仕組みから噛み砕いて解説した。ボイラーは水を加熱することで蒸気や温水を作り出す機械で、ビルなどの給湯・暖房、化学工場の蒸留工程などで幅広く活用されているが、化石燃料を使って加熱するため脱炭素化が求められている。

永渕氏によると、三浦工業のボイラーからは日本のCO2総排出量の2%に相当する2220万トンが1年間に排出されている。これまでは省エネ・高効率のボイラーを作ることで低炭素化に貢献してきた同社だったが、脱炭素化に対応するため、ビジネスを根本から見直す大きな挑戦に着手しているところであり、2017年には水素を燃料に使ったボイラーを商品化した。
永渕氏は自身について、米国に9年間駐在した経験を持ち、「ポリシーは未来のための仕事をすること。この場で話せることが非常に嬉しい」と語り、高校生に「私たちなら(脱炭素のために)こんなことをやる、という提案をディスカッションを通して聞かせてもらいたい」と呼びかけ、講演を終えた。

その言葉通り、高校生たちはそれぞれに関心のある講演を受講後、5、6人ごとのチームに分かれ、学校の垣根を超えて自由にディスカッション。サステナブル・ブランド ジャパンのユースコミュニティ「nest」の大学生メンバーがメンターとして加わり、幅広い視点からアドバイスを行った。

四国大会に参加した高校生の感想の一部 =アンケートより=

SDGsをしようと思って活動するのではなく、もっといい街にするために活動をすることがSDGsにつながっていくということを学びました(大手前丸亀高校1年)

今までは行動をおこし、何かを変えるためには大勢の人がいなければならないと考えていました。しかし、常田さんの「君には世界を変える力がある」という言葉を聞き、まずは自分から行動を起こすことの大切さを得ることができました(愛媛県立宇和島東高校2年)

今までは自然を守るための活動をしている人の行動を見るとき、「自然が傷ついている画像」などのネガティブなものを通して深刻さを痛感するだけで、実際に取り組もうと感じることは少ないだろうなと感じていたが、ポジティブな観点から、他の人々にアプローチしていくことで、活動に取り組みやすくなることもあると知り、考え方の幅が広がったように感じた。問題を解決するときに、全く違う方向からその問題について考えを広げていくと、新しい発想が生まれるかもしれない (大手前丸亀高校2年)

●東北大会 =10月15日、日本大学工学部にて開催、12校64人参加=

東北大会は10月15日、福島県郡山市にある日本大学工学部で行われ、12校64人の高校生が参加。品川萬里・郡山市長の「生活だけでなく学習もニューノーマルの時代。大会を通して、固定観念にとらわれない新たな発想をして欲しい」という挨拶で幕を開け、地元企業のテーマ別講演には、郡中トラベルと、ノボ ノルディスク ファーマ、福島民報社の3社が登壇した。

“地域づくり会社”としての新聞社 福島民報が取り組むSDGs

福島民報社の角田守良編集局次長兼報道部長(中央)

福島民報社は2011年の東日本大震災後、「地域づくり会社として、日本一住みよいふくしまを実現する」ことを社是に加え、従来の報道機関としての役割を超えて、福島の復興に積極的に携わってきた。2012年には県内の中高生を、感謝と復興の現状を伝え、各地で文化などを学ぶ“復興大使”として国内外に派遣、2016年からは「ふくしま産業賞」を県と共に始めるなど、「人づくり」や「ものづくり」、「健康づくり」に取り組む。

2021年にはSDGs宣言を出し、紙面での情報発信、県内の企業・団体とのコンソーシアム結成などSDGs推進に力を入れる。今年9月には、県民がSDGsの先進事例に触れ、行動につなげるきっかけを提供するために「ふくしまSDGs博」を2日にわたり開催した。同県には今もなお3万3000人の避難者がいる。角田守良編集局次長兼報道部長は「福島をSDGsのトップランナーにするために何をすべきか。その答えを考え、県民が行動に移せる環境を築くのが“地域づくり会社”としての使命だ。県民にとって最高の応援団でありたい」と語った。

新しい時代の旅行会社へ 旅を通じて持続可能な社会を実現する

郡山トラベルMICE事業部の鈴木泉氏

郡山市の旅行会社「郡中トラベル」は旅を通じたSDGs達成のためのソリューションを提供する。企業や自治体向けの旅や研修・セミナーの開催のほか、親子向けの「ふくしま食育体験ツアー」や、サイクリングで観光地を周遊する環境配慮型ツアーも実施。関係・交流人口を増やすためのイベントとしては、地図をもとに指定されたポイントを自転車で巡り得点を集める「サイクルロゲイニング」を開催し、必須のチェックポイントに「東日本大震災・原子力災害伝承館」を含めるなど、事故の風化を防ぎ、風評被害を払拭することにも取り組んでいる。

同社MICE事業部の鈴木泉氏は、近年の修学旅行について「観光地巡りが定番だった旅行から変わり、ものづくりやSDGsに関連したプログラムなど体験的な学びを重視する傾向が高まっている」と説明。そうした傾向にあって、東北や被災した3県は、新型コロナへの感染リスクが低く、震災の教訓を学べる場所として誘致に力を入れた結果、修学旅行の受け入れ件数が伸びているという。

鈴木氏は「観光産業のSDGsへの取り組みは他の産業に比べ遅れている。取り組みも自然環境問題に偏っており、短期的なビジネス上のメリットが活動の基盤となっている」と指摘し、「旅行業を通して長期の視点でSDGsに取り組んでいきたい」と強調した。

世界的なサステナビリティ先進企業はどう取り組んでいるか

ノボ ノルディスク ファーマの山形諒平氏

ノボ ノルディスク ファーマは、日本で唯一、郡山市に生産拠点の工場を置くデンマークの製薬会社だ。サステナビリティの先進企業として知られる同社は「変革を推進し、糖尿病やその他の深刻な慢性疾患を克服する」をパーパスに掲げ、薬を作るだけでなく、心理的・社会的な側面からも疾患を克服するためのサポートを行っている。その一つがサイクリングチーム「チーム ノボ ノルディスク」の支援だ。同社は糖尿病の治療に使われるインスリンのシェア世界1位で、チームは29人全員が1型糖尿病患者。チームの活躍は、糖尿病という病気をきちんと受け止めて治療を適切に継続することが必要な患者にとって大きな励みになっているという。

同社では循環型の生産・供給に積極的に取り組み、すでに全世界の生産拠点を100%再生可能エネルギーで運営する。海外ではインスリンの注入器に使われるプラスチックのアップサイクルも始めているが、国内ではこれからだ。

医療政策・渉外本部サステナビリティマネージャーの山形諒平氏は「できるかどうかでなく、どうやったら目標を達成できるかを考えることが大事」と説いた。同社が、郡山を含む世界40以上の都市で糖尿病の予防に取り組んでいるのは、合併症を引き起こす糖尿病患者の増加は、最終的に国の財政を逼迫する大きな問題と考えているからであり、同社の講演を聞いた高校生たちのディスカッションは「健康的な食事・運動習慣を身に着けて継続するにはどのような個人へのアプローチが必要か」がテーマとなった。

東北大会に参加した高校生の感想の一部 =アンケートより=

走りながらゴミ拾いをするという取り組みを初めて知って面白いと思った。ただゴミ拾いをするのではなく1アイデア加えるともっとSDGsに関心を持てるんじゃないか(八戸工業大学第二高等学校2年)

今までは工学系の講演を聞く機会が多かったため、医療系の講演は初めてでした。だからこそ医療にはどのような問題があるのか知ることができたし、実際に企業ではどのような取り組みをしているのかを知ることができて良かったです。これからは工学と医療を組み合わせるなど工学単体で考えずいろいろな分野と組み合わせ社会に役立つものは何かを考えていきたいです(同)

農業だけではなく、いろんな視点から持続可能なゴールが考えられるんだな、と改めて実感しました。 考え方をより深めることができました(柏木農業高等学校2年)

●北陸大会 =10月22日、金沢大学角間キャンパスにて開催、15校 75人参加=

北陸大会は10月22日、石川県の金沢大学で開催。15校75人が参加した。最初に後援団体を代表して西日本旅客鉄道(JR西日本)経営戦略部環境経営室の大槻幸士担当課長が、線路が流出・浸水した写真を映し出し、鉄道運営にも気候変動による豪雨・豪雪の影響があり、気候変動は「今ここにある危機だ」と話した。同社は現在、約9割の電車を省エネ型車両に置き換え、駅舎にも太陽光パネルを設置している。北陸では2024年に金沢から敦賀まで新幹線が延伸する。大槻氏は「交通サービスはあくまで手段。その背景には地域に暮らすお客さまと経済活動がある。地域の人・事業者と連携して、地域の文化・産品などのコンテンツを生かした体験型旅行商品を提供していく」と力を込めた。

田園健康特区・加賀市が進めるスマートシティへの取り組み

石川県加賀市の最高デジタル責任者を務める山内智史氏

石川県加賀市は今年4月に国のデジタル田園健康特区に指定された。スマートシティへの取り組みを紹介したのは、ソニーなどを経て昨年9月から同市最高デジタル責任者を務める山内智史氏だ。6万3000人が暮らす加賀市は現在、「先端技術の導入」と「人材育成」を成長戦略の2本柱に掲げ、DX(デジタルトランスフォーメーション)やQX(量子トランスフォーメーション)、GX(グリーントランスフォーメーション)に取り組んでいる。

人口減少が急速に進み、高齢化率が35%を超える同市は現在、特区の中核事業として「医療版情報銀行」の設立に注力する。健康医療情報を集約し、住民の健康寿命の延伸対策サービスの提供につなげることが目標だ。一方、役所の人手不足を逆手にとり、市民を巻き込みシビックテック(市民×デジタル×ゲーミフィケーション)を使った情報収集にも積極的で、市民にゲーム感覚でマンホールの画像を撮影してもらい、位置情報や損傷を把握する取り組みには高校生も多く参加し、約9500個のマンホールの位置情報が収集できたという。

このほか、インターネット投票システムの実証や市外の高校生なども参加できる起業家育成プログラムなどもあり、山内氏は「市民だけでなく市外の人など加賀市の応援団と街の課題をつなぎ合わせる“企画”を作り、課題を解決していくことが最もサステナブルなスマートシティの姿だ」と語った。

「窓」から考えるサステナビリティ

YKK APサステナビリティ推進部の三浦俊介部長

富山県黒部市に古くから製造拠点を置くYKK AP。サステナビリティ推進部の三浦俊介部長は、企業がビジネスを通してサステナビリティを追求し、人を幸せにするとはどのようなことかを、主力製品である「窓」を事例に説明した。2030年度までに温室効果ガスを46%削減(2013年度比)するには、家庭部門で66%の削減が必要とされている。その鍵となるのが住宅の断熱性能であり、熱の流入口である「窓」だ。国内の住宅ではこれまでアルミ製サッシの窓が普及してきたが、アルミの熱伝導率は樹脂の約1400倍で断熱性能が低い。新築を中心に樹脂製の断熱サッシへの切り替えは進んでいるものの、日本の既存住宅の9割は現行の断熱基準を満たしていないという。その分、電力などを使った温度調整が必要となり、化石燃料消費量やCO2排出量が増えているのが現状だ。

窓による断熱が果たす役割はほかにもある。浴室でのヒートショックによる死傷者や、結露によるカビやダニの発生によって生じるアレルギーなどの発病の低下だ。三浦氏は、断熱性能の高い窓を使うことで「産油国ではなく、地域によりお金を回すことにもなる」と話した。最後に「YKK APは建材で社会を幸せにしたいと真剣に考えている。皆さんが、これからどんなことをして世の中に貢献していこうか考える際のケーススタディーとしてヒントにしてもらいたい」と語りかけた。

北陸大会に参加した高校生の感想の一部 =アンケートより=

常田さんの基調講演が印象に残りました。メリットの裏にあるデメリットの面も考えて行動することで、より良い社会に繋がっていくのだと分かりました。また、自分たちの幸せは自分たちでつくる、できないことはないことを念頭において生活していきたいと思います(星稜高校2年)

加賀市さんが課題をどのように受け止め、どのように政策を考えておられるのかを知れたので良かったです(敦賀高等学校1年)

高校生である自分たちにできないことはないということ、高校生が主となって活動することで地域活性化にもなると思う(大聖寺実業高等学校3年)

本年度行われた「サステナブル・ブランド国際会議 学生招待プログラム 第3回 SB Student Ambassador ブロック大会」の詳細はこちら