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サステナブル・ブランドの作り方

第7回:「冬に暖かい部屋でアイスクリーム」がサステナブルな理由

SB-J コラムニスト・足立 直樹

こんにちは、サステナブルビジネス・プロデューサーの足立です。

今回は、2017年最初の記事になります。今年は3月にいよいよ日本でサステナブル・ブランド会議が開催され、日本のサステナブル・ブランディング元年となりそうですね。この連載でもますます強力な事例を紹介していきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いします!

さて、なるべくエネルギーを使わないようにとは思っても、こう寒くなるとやはり暖房のスイッチを入れてしまいますよね。最近はエアコンの性能が良くなってきたので、夏よりもむしろ冬の方が電気代が高くて…と、頭を、そして心を痛めている方も多いかもしれません。

かと言って、あまり暖房をケチって風邪をひいたりしたら目も当てられませんし…。けれど私自身は、実は昨年の夏からは、クーラーもヒーターも、あまり遠慮なく使っています。

と言っても、環境に配慮するのをやめたのではありません。そうではなくて、昨年の春から電力自由化になりましたので、自宅の電気を、再生可能エネルギーだけを提供する電力会社に早速切り替えたのです。

なので、我が家ではどれだけ電気を使っても、CO2の排出に関して後ろめたく感じなくて済むのです!地球環境に良いことはもちろんですが、精神衛生的に良いことこの上ありません。モデル計算によると電気代もお得になる場合が多いようです。

もしあなたのお宅はまだでしたら、再生可能エネルギーを提供する電気会社への切り替えを検討することをぜひお勧めしたいと思います。そして、再生可能エネルギーによる電力で暖かくなった部屋で冷たいアイスクリームを食べる、そんな以前だったら後ろめたかったことも、オツな冬の楽しみになりそうです。

なので、今回はアイスクリーム会社を取り上げたいと思います。もちろん環境にも配慮したアイスクリーム会社です。

まずは以下の動画をご覧ください。

ご存知の方も多いかもしれませんが、このベン&ジェリーズというアイスクリーム会社は、製品における使命、経済的使命、社会的使命という3つの使命を掲げ、明確な価値観の元に事業を行っている会社です。

具体的に説明しますと、原料はなるべく地域の高品質の原材料を使用し、フェアトレードや動物福祉にも配慮しています。製造過程においては、温室効果ガスを削減したり、廃棄物の有効活用しています。そして地域コミュニティ活動や社会課題の解決への働きかけなどを通じて、地元への恩返しにも力を入れているのです。まさに、サステナブルなビジネスです。

そして社会課題解決の一貫として今行っているのが、この動画で紹介されている「ベン&ジェリーズでんき」です。詳細はリンク(http://www.benjerry.jp/denki)を参照していただきたいと思いますが、再生可能エネルギーへのシフトを推進するために、再生可能エネルギーを「見える化」するプロジェクトと言ったらいいでしょうか。

電力自由化で再生可能エネルギーにシフトすると言っても、実際に経験していただくと分かるのですが、何か自分の周りで具体的に目に見える変化が起こるわけではありません。「○月○日から電力会社が切り替わります」というお知らせが届くだけで、その日以降も、今までと同じです。日が暮れたら電気が弱くなったり、今日は風が強いから暖房がパワフルになるとか、そんなことはもちろんありません。

なので、せっかく再生可能エネルギーの電力会社に切り替えても、そのことを実感しにくいのが現実なのですね。そこでベン&ジェリーズでは、再生可能エネルギーを作っている現場に出かけて、そこで発電したての電気を直接バッテリーに貯めて、そのバッテリーを表参道の店舗に持ち運び、そのバッテリーから直接また電気を取りだし、お客さまにスマホのチャージをしてもらうということをしているのです。

このバッテリーに貯まっている電気は、どこそこの○×エネルギーですよ。それを今あなたは使っているんですよ。このようにして、本来は見えない再生可能エネルギーを「見える化」したわけですね。

「産地」で「まじりっけのない」「きれいな」エネルギーを「直摘み」して、それをお客さまに直接届ける。ベン&ジェリーズのビジネスモデルを模した、なかなか気が利いたやり方ではないでしょうか。

そしてさらに注目して欲しいのは、自分たちが業務で使うエネルギーを再生可能エネルギーに切り替えるだけでなく、そのことをお客さまにも呼びかけることで、さらに変化を拡大しようとしているところです。

アイスクリーム会社が再生可能エネルギーへの切り換えを訴えたり、持続可能な社会を作ろうと呼びかけるなんて、普通に考えたらちょっとミスマッチに思われるかもしれません。けれども、それが自分たちの価値観と一致するのであれば、それをしっかりと行なうということなのです。

さらにベン&ジェリーズはこの考えに賛同してくれる方を増やすために、TwitterやFacebookなどでの話題作りも仕掛けています。社内で使用する電力を再生可能エネルギーに切り替えましたということに比べて(もちろんそれだけでも素晴らしいことですが)、もっと大きな波及効果があったことは間違いないでしょう。そして、だからやっぱりベン&ジェリーズのアイスクリームを応援しようと考えるお客さまも増えるのではないでしょうか。

さて私もこの原稿を書き上げたので、再生可能エネルギーで暖かくした部屋の中で、ベン&ジェリーズのアイスクリームを食べて一息つくことにしましょう。

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足立 直樹
足立 直樹 (あだち・なおき)

サステナブル・ビジネス・プロデューサー。株式会社レスポンスアビリティ代表取締役。一般社団法人企業と生物多様性イニシアティブ理事・事務局長。東京大学・同大学院で生態学を学び、博士(理学)。国立環境研究所とマレーシア国立森林研究所(FRIM)で熱帯林の研究に従事した後、独立。2006年にレスポンスアビリティを設立し現在に至る。2008年からは企業と生物多様性イニシアティブ(JBIB)事務局長も兼務。

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