国籍の壁を越え持続可能性を社内浸透させるには
SB 2018 Tokyo
左から、ファシリテーターの鈴木氏、ブリヂストンの佐々木氏、カシオ計算機の木村氏、カルビーの二宮氏、電通の間宮氏
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「企業は社員の国籍・言葉の壁を越えてどう持続可能性を共通認識してもらうか」のセッションでは、日本を代表する企業のCSR担当者、関連部署に従事するパネリスト4者が、自社での取り組みを踏まえたプレゼンテーションを行った。(オルタナ編集部=中島洋樹)
ブリヂストンの佐々木恭子CSR・環境戦略企画推進部ユニットリーダーは、社是である「最高の品質で社会に貢献」を企業理念として全世界に展開しているが、やり方は日本の本社がすべて決めるのではなく、それぞれの国・地域・事業に合わせ模索し実行していると述べ、画一的な進め方よりも、状況に即した臨機応変さの重要性を示唆した。
続いて、カシオ計算機CSR推進部CSR推進室の木村則昭室長は、「CSRという共通言語で会話できる社員を増やすこと」が大事だと切り出した。それが、「社会や企業のCSR課題を認識できる社員を増やすこと」につながり、「課題を認識することにより、立ち居振る舞いが変わる」という結果につながる。そして、外国籍の社員に対しても日本人社員と同様のCSR教育を行い、自国に持ち帰って浸透させることにより、共通認識がはかれるのではないかと持論を展開した。
カルビー社会貢献委員会の二宮かおる委員長は、「商売は人助け」という創業者のモットーを、従業員に常日頃から意識するよう働きかけており、役員数人のグループで全事業所・工場・支店を回り、全ての従業員に役員自身から直接メッセージを伝えていると自社の取り組みについて説明。役員から直接従業員に対して直接語りかけることにより、「従業員はより自分自身の問題として受け取るようになる」と効果について語った。
最後に、電通 新!ソーシャル・デザイン・エンジン ライター/プランナーの間宮孝治氏は、「サステナビリティという言葉は、人によってさまざまな受け取り方をされる可能性がある」と問題提起し、「共通認識は、できるだけ簡潔にわかりやすくスピード感を持って伝えることが重要ではないか」と自身の経験から受講者にアドバイスを送った。
4者のプレゼンテーションを受けて、本セッションのファシリテーターを務めた国際社会経済研究所の鈴木均顧問は、「それぞれの会社の企業理念は、SDGsと関連づけて共通認識の展開をはかっていくことが可能である場合が多い。しかし、企業理念は創業当時からの時代変遷で現在の社員に馴染むのが難しい場合もある。企業理念を生かし、いかにその時々で社員に共通認識を浸透させるか、会社・事業・地域を考慮した方法を模索する必要があるのではないか。その一つとしてボランティア活動等の体験・体感を交える方法を提案したい」とセッションを締めくくった。