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日本でも注目される「サステナビリティ経営」とは

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左から関東学院大学の小山氏、味の素の佐々木氏、花王の柳田氏、リコーの加藤氏

サステナビリティと経営を統合する「サステナビリティ経営」。サステナブル・ブランド国際会議2018東京で開催されたセッション「日本でも注目される『サステナビリティ経営』とは?」に味の素、花王、リコーの3社が登壇し、どのように取り組んでいるか、具体例を挙げながら議論した。(オルタナ編集部=吉田広子)

「一般的に社会の困りごとを解決して利益を生むのがビジネス。では、『サステナビリティ経営』は普通のビジネスと同じなのだろうか。恐らく、同じようでいて何かが違うはず」。セッションの冒頭で、関東学院大学の小山嚴也副学長(経営学部教授)が問いかけた。

味の素グループは、「ASV(味の素グループの社会価値と経済価値の共創)」を掲げ、ASVを2017-19年度の中期経営計画の中心に据えている。

具体的な事例として、ベトナムでの「学校給食プロジェクト」を挙げた。栄養バランスの取れた給食を提案するだけではなく、食べる前に「カルシウムは何に良いのか」「このなかで栄養価が高い食べ物はどれか」など、生徒に問いかけていく仕組みをつくった。現地社員がベトナムの栄養・健康問題に気付き、プロジェクトを立ち上げたという。

味の素の佐々木達哉執行役員経営企画部長は「ASVが中期経営計画に入ったことで、社会課題と自分たちの仕事との関連付けがしやすくなった」と説明する。

消費者が企業を動かす

花王は、詰め替え容器や、すすぎが一回ですむ衣料用液体洗剤アタックNeoの開発など、環境に配慮した製品づくりに取り組んできた。

花王の柳田康一サステナビリティ推進部長は、「いまの教科書にはSDGsが載っている。高校生からパーム油について質問を受けることもある。消費者、特に未来の消費者の価値観変容は企業を動かしていくのではないか」と話す。

リコーの加藤茂夫執行役員サステナビリティ推進本部長は、同社の根底に「『人を愛し、国を愛し、勤めを愛す』という三愛精神がある」という。

都市部と過疎地を結ぶ遠隔授業や高齢者見守り用のベッドセンサーシステムの開発について、「お客様の話を聞いてみたら、新たな『お役立ち』が生まれた。SDGsによって、いままでの技術が別の形で別の価値を生み出すことを発見できた」と説明する。さらに、「サステナビリティに真剣に取り組まなければ、サプライチェーンから外される危機感もある」と続けた。

小山副学長は、「サステナビリティ経営とは、企業にとって気付いていなかったニーズに出合うことであり、社会から見れば気付いていなかったソリューションに出合うことではないか。これによって社会課題は解決し、企業も活性化するのだろう」と締めくくった。

吉田 広子 (よしだ・ひろこ)

株式会社オルタナ オルタナ編集部 オルタナ副編集長
大学卒業後、ロータリー財団国際親善奨学生として米国オレゴン大学に1年間留学(ジャーナリズム)。2007年10月に株式会社オルタナに入社、2011年から現職。

「オルタナ」は2007年に創刊したソーシャル・イノベーション・マガジン。主な取材対象は、企業の環境・CSR/CSV活動、第一次産業、自然エネルギー、ESG(環境・社会・ガバナンス)領域、ダイバーシティ、障がい者雇用、LGBTなど。編集長は森 摂(元日本経済新聞ロサンゼルス支局長)。季刊誌を全国の書店で発売するほか、オルタナ・オンライン、オルタナS(若者とソーシャルを結ぶウェブサイト)、CSRtoday(CSR担当者向けCSRサイト)などのウェブサイトを運営。サステナブル・ブランドジャパンのコンテンツ制作を行う。このほかCSR部員塾、CSR検定を運営。