• 公開日:2026.01.05
メガソーラー支援廃止の“衝撃”で、2026年に起きること
  • 北村 和也
再生可能エネルギーの拡充を進める上で、森林破壊につながらない形での環境配慮が欠かせない (Photo: Qurren / CC BY-SA 3.0、Wikimedia Commonsより)

年も押し詰まった2025年の12月中旬、メガソーラーへの支援廃止というニュースが、自民党の提言という形で飛び込んできた。行き過ぎた再生可能エネルギー開発への批判が広がる中、一方で日本の脱炭素化停滞の危惧も聞こえてくる。本稿では、支援廃止などの分析と今後2026年に起きることを先取りしてみたい。

周到に準備された『支援廃止』の自民党提言

12月16日に示された提言は、正式には「大規模太陽光発電事業の地域共生・規律強化に関する提言」と名付けられている。タイトルに見えるように、メガソーラーへの風当たりが強いことを念頭にした内容となっている。

自民党政務調査会がまとめたその前文には、前提として「わが国が古来より育んできた美しい国土を保全すること」とある。いかにも「日本の国土が外国製の太陽光パネルで埋め尽くされることに猛反対」とする現在の総理大臣の言葉を反映している。

以下にその冒頭部分を転載しよう。


自民党「大規模太陽光発電事業の地域共生・規律強化に関する提言」の冒頭部分 出典:自由民主党


なんともアナログチックさを交えた前文ではあるが、内容はごく実務的である。

1. 不適切事案に対する法的規制強化
2. 地域の取り組みとの連携強化
3. 地域共生型への支援重点化

この3つのポイントで、それぞれ施策が提案されている。

1と2は、規制を列挙したもので、既存の環境影響評価法(環境アセスメント)などいくつかの関連法の強化をうたっている。新規の規制でも発電施設設置に関するゾーニングや太陽光パネルの適正な廃棄やリサイクルの整備に触れていて、筆者の目から見ても妥当な提案が多い。

この後触れる「3.地域共生型への支援重点化」では、屋根置き支援などすでに経済産業省の有識者会議などで提案済みや決定済みの施策が並んでいる。今回の提言は、決して“自民党案”というレベルのものではなく、事務方とすり合わせ済みのほぼ決定政策であることが読み取れる。実際に、1週間後の23日に関係閣僚会議が開かれ、「大規模太陽光発電事業(メガソーラー)に関する対策パッケージ」として決定された。中身は項目建てを含め、提言とほとんど同じである。さすがに、「美しい国土」云々(うんぬん)の表現は消えているが。

新規太陽光のFIT/FIP支援の廃止と、法律違反の電源の調達禁止

支援重点化とはよくできた言い回しで、支援を止めるというショッキングなイメージを、「移す」という言葉で和らげている。

実際のところは、これまで日本の再生エネ電源の拡大で、量の面で最も寄与してきた太陽光発電に対するFIT(固定価格買取制度)とFIP(フィードインプレミアム制度)による支援を打ち切る内容である。文面には検討とあるが、廃止は必至となる。実施は2027年度以降で、いわゆる野立ての新規設置に限る措置だ。一方、重点の移し先は屋根置きである。特に、日本製が強調されるペロブスカイト太陽電池など、薄型軽量の太陽電池への期待が非常に強い。

もう一つの重要な点は、政府や自治体の電力調達指針の変更である。

供給の契約に関して法令違反の電源を避けると明記した。問題を起こした発電所からの電気は売りにくくなる。これもすでに環境省が、環境配慮契約法の基本方針改訂で先取りしている。

「大規模太陽光発電事業に関する対策パッケージ」の内容 出典:大規模太陽光発電事業に関する関係閣僚会議決定

支援廃止などに対しては、なぜ太陽光発電だけが狙い撃ちになっているのか、悪い開発の是正と支援制度は別物として扱うべきではないか、などの疑問点も多々ある。何より、“美しい国土を汚した”のは果たしてメガソーラーだけなのか、と2011年の事故を胸に刻む“突っ込み”も当然であろう。一方で、支援制度の一定の役割は終えたと現実的に見る地域の発電事業者も少なくない。今後は、FITからFIPへと移行する「FIP転」などの扱いの詳細や具体的な屋根置き支援策などに関心が移っていくであろう。

FIT/FIP支援の駆け込みと再生エネ電源の確保が熾烈(しれつ)に

では、これらの決定を受けて、2026年以降、再生エネ、脱炭素を巡るビジネスはどう展開していくのであろうか。

前述したように、提言での施策の多くはすでに有識者会議などで示され、入札制度の変更のように来年3月の閣議決定まで予定されているケースもある。支援策を含めいずれも2026年度の冒頭から、もしくは周知期間が必要なものは2027年度からの実施が見込まれている。

このため、FIT/FIPの支援は来年2026年度しかない。いつまでに何をしておけば使えるのか、ドタバタの駆け込みが見込まれる。屋根置きのポテンシャルの盛り上がりが予想されることはすでに書いたが、一方で薄型軽量の太陽電池はそう簡単には大量投入できるところまで来ていない。当面は従来型での競争が行われる。

需要側の動きも忘れてはならない。

今回の公共施設への調達方法の変更(法令違反電源の回避など)に加え、企業が脱炭素に向けて最重要視するGHGプロトコルの改定なども進む。需要側の脱炭素電源の要求は強くなる一方である。もし、今回の政府方針の変更が、再生エネ電力の不足につながるとなれば、電源の取り合いの激化は必至となる。

一点、特に気になるのは、再生エネを巡る雰囲気がネガティブになることである。FIT/FIP支援廃止が、サポートの必要がなくなったという、いわば“FIT/FIPからの卒業”としてなら良い。しかし、自民党提言の流れのように、けしからん開発に対するペナルティに見えないか危惧をする。すでにFIT制度などの支援への非難や温暖化対策そのものを否定するSNSでは、今回の措置を大歓迎し、はやし立てる言説も飛び交っている。

実際には、欧米や新興国などでは、ほぼすべてで太陽光発電を中心に再生エネが急拡大している。一方、日本の再生エネは現状で停滞している。第7次エネルギー基本計画(エネ基)の達成さえ難しいとされる時に、ブレーキに見える方策が適切なのかは問われてよい。

提言やパッケージでは拡大策も並ぶが、具体的にどのような効果があり、数字として脱炭素にどう貢献できるかなどの総括的な道筋ははっきりしない。「世界の中で咲き誇る日本」を目指すのであれば、まずは、日本の温暖化防止への本気度が試される。

written by

北村 和也(きたむら・かずや)

日本再生可能エネルギー総合研究所代表、日本再生エネリンク代表取締役、埼玉大学社会変革研究センター・脱炭素推進部門 客員教授

民放テレビ局で報道取材、環境関連番組などを制作した後、1998年にドイツに留学。帰国後、バイオマス関係のベンチャービジネスなどに携わる。2011年に日本再生可能エネルギー総合研究所、2013年に日本再生エネリンクを設立。2019年、地域活性エネルギーリンク協議会の代表理事に就任。エネルギージャーナリストとして講演や執筆、エネルギー関係のテレビ番組の構成、制作を手がけ、再生エネ普及のための情報収集と発信を行う。また再生エネや脱炭素化に関する民間企業へのコンサルティングや自治体のアドバイザーとなるほか、地域や自治体新電力の設立や事業支援など地域活性化のサポートを行う。

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