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音楽プロデューサーが体感型のサステナブル農場オープン

左から中井徳太郎・環境省総合環境政策統括官、小林武史・KURKKU代表、渡辺芳邦・木更津市長、高橋郁郎・住友林業役員(記者発表会=3日)

音楽プロデューサー・小林武史氏が代表を務めるKURKKU(クルック:東京・渋谷)は10月に、千葉県・木更津で体感型のサステナブル農場をオープンする。「KURKKU FIELDS(クルックフィールズ)」と名付けたこの農場は30haの広大な敷地で、太陽光発電を利用し、認証を取得した有機農業や平飼いでの養鶏、畜産にも挑戦。ビオトープや森林散策が可能な遊歩道を併設する一方で、コンサートも開催できる音楽スペースを設けるなど来場者が楽しみながら自然と循環を体感できる施設を目指す。(サステナブル・ブランド ジャパン編集局=沖本啓一)

サザンオールスターズやMr.Childrenなどのアーティストを手がけた音楽プロデューサー、小林武史氏はこれまで、同じく世界的な音楽家の坂本龍一氏らとサステナブルな社会をテーマとした非営利団体「ap bank」を立ちあげるなど持続可能な世界を実現する活動に注力してきた。2005年には経済的な側面も織り込んで活動を広げるため、レストランなどの実店舗を伴うKURKKU社の展開を開始。2010年に農業生産法人「耕す。」を立ち上げ、一次産業としての農業にも着手した。

今秋のオープンが発表された農場「KURKKU FIELDS」では、「耕す。」で培った農業のノウハウや人材を生かし、事業をさらに発展させ一般の来場者を呼び込む「サステナブル ファーム&パーク」として公開する。通称「オーガニックなまちづくり条例」を施行している木更津市と協議を繰り返し、地域の社会課題も織り込みながら30haの広大な土地をどうサステナブルに生かし、人と自然の調和を実現するか、練り上げた。3日に行われた記者発表には環境省の中井徳太郎氏も登壇し「(環境省が推し進める)地域循環共生圏を具現化したような取り組み」と話した。

農場内の循環のイメージ

コンセプトは「人と農と食とアート 自然の協奏曲」

KURKKU FIELDSのコンセプトは「人と農と食とアート 自然の協奏曲」だという。場内は「FARM」「EAT」「ART」「PLAY&STAY」「NATURE」「ENERGY」のテーマを持つ6つのエリアから成る。

FARMエリアでは2万坪にもな­­る畑で有機JAS認証を取得。また平飼いの養鶏、水牛の畜産も行い、ここで採れた野菜や卵、チーズなどはEATエリアで味わうことができる。場外には木更津市と共同で運営する食肉処理工場を持ち、地元で駆除された害獣の猪などをジビエとして提供するなど、「一貫した生産体制を完備している」という。

有機栽培農場
飼育されている水牛。できたてのモッツァレラチーズを味わえる機会はめったにない
農場全体

PLAY&STAYエリアでは、見晴らしの良い広々とした草原や、料理教室や企業研修を想定した多目的に利用できる「フラック棟」、音楽をはじめとしたイベントに利用できるスペースなどを設ける。NATUREエリアでは多くの野鳥や天然記念物のモリアオガエルも生息するという多様な生態系を残した。そしてエネルギーエリアには2MWの発電量を持つ大規模なソーラーファームやバイオジフィルター(植物や微生物を利用する水質浄化システム)なども備える。

近隣で駆除された害獣はジビエ料理に。臭みはまったくない
ARTエリアに展示される草間彌生氏の作品。太陽光を利用している
2MWを発電するソーラーパネル

場内にある主要な4棟の建物を施工したのは住友林業。廃棄物を抑制する工法を採用し、古材を再利用するなど、洗練された外観と環境への取り組みを両立させた。

有機的な表情を持つ建築「シフォン」の外壁は左官職人の久住有生氏が仕上げる予定だという
食肉を扱う「シャルキュトリー」。店頭販売のほか、場内ダイニングのメニューとしても味わえる

「命のつながりに飛び込む」農場

「KURKKU FIELDS」は決して単なるテーマパークとは言えない「本気の取り組み」の集大成とも言える農場になっているようだ。小林武史氏は「ずっと(持続可能性への)活動を続けてきて、やっとこの農場ができるタイミング、時代になりました」と話す。

「リーマンショックのときには、やはりオーガニック製品の売り上げは落ちました。しかしだからといって環境や循環(型の経済)を諦めることはできなかった。もっと皆さんに共振させていく方法を考え、太陽光からの循環や、土や微生物といった命のつながりに飛び込むべきだと感じました」(小林氏)

「東日本大震災を経て人間が自然の一部だということに立ち返ったときに出合ったのは、アート」と音楽家の小林氏は自身の根源を話す。社会的な活動の一環として取り組む「Reborn―Art Festival」のテーマ「いのちのてざわり」に言及し、循環型社会への思いを「KURKKU FIELDSは『いのちのてざわり』を毎日感じられる場所だと思っています」と表現した。時代を捉えヒットを生み出してきた才能は今後、サステナブルを掲げる農場から社会へ向けてどのような発信を行うのだろうか。

KURKKU FIELDS
千葉県木更津市矢那2503
第1期オープン日:10月5日(土) 9:00-
営業時間:9:00-17:00 祝日以外の火・水曜定休
入場料:平日無料 休日大人1000円、子ども500円、未就学児無料

8月3日から先行体験ツアー(要予約・有料)
詳細はこちらから

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沖本 啓一(おきもと・けいいち)

Sustainable Brands Japan 編集局。フリーランスで活動後、持続可能性というテーマに出会い地に足を着ける。好きな食べ物は鯖の味噌煮。