|
ミレニアル世代が求める上司像は、「自身のスキルや強みを発展させ最大限に伸ばしてくれる存在」だ Image Credit:ITU Pictures
『ミレニアル世代の人材に適応するために、組織と人事部は大きく変化を遂げる必要がある』
かつて世論調査企業ギャラップのジム・クリフトン会長が、米ワシントンDCで開催された全米人材マネジメント協会主催の会合で講演を行い、若い世代のための職場づくりについて語っていました。
ギャラップの調査によると、ミレニアル世代はエンゲージメントの高い従業員の割合が他の世代と比較して僅差ではあるものの低いという結果が出ています(28.9%、全体では31%)。ギャラップは、エンゲージメントの高い従業員を「仕事と職場に積極的に関与する熱意ある人材」と定義しています。つまり、エンゲージメントが低い志向の従業員世代を迎えるということは、企業・組織として、その発展が危ぶまれることになりかねません。
今後、企業・組織はもとより、社会を支えるのはミレニアル世代へと移行している中、私たち先人や企業・組織を牽引する立場の経営陣には、大きな社会問題や経営課題としてエンゲージメントのあり方やその仕掛け・仕組みのパラダイムシフトが求められます。
クリフトン会長は、64歳。彼自身はベビーブーマーですが、こうも述べていました「ミレニアル世代は、私の世代より優れた働き手になると思う」
しかし、ミレニアル世代をエンゲージさせるためには、既定路線の制度や施策でも、旧式の組織や人のマネジメントでもなく、新たな戦略が必要であることは言うまでもありません。
そのためには適切な環境をつくる必要があります。ミレニアル世代をエンゲージさせるためには、いわゆる「リフレッシュルームとエスプレッソマシン」のようなソフトな福利厚生だけではうまくいかないものです。
この若い世代の働き手は、企業や社会に貢献してその価値を高めることを望んでいます。職場の居心地や満足だけでは十分ではなく、彼らはより高い志を抱き、自身の可能性を知りたがっているのです。
もちろん、「コマンド&コントロール(指揮統制)」の管理手法はもはや過去のもの。彼らが求める上司像は、「自身のスキルや強みを発展させ最大限に伸ばしてくれる存在」です。それはともすると、自分目線でわがままな思考と思われがちですが、そうではありません。彼らは、自分の力や強みを企業や社会の価値を高める明確な貢献へと発揮したいのです。
例えば、エネルギー再生や人権問題、貧困国や紛争国の支援、日本で身近な例では、東北や熊本などの被災地支援に、どれだけのミレ二アル世代が自ら関わったことか、その志は実に頼もしいものです。
「年次業績評価は、この世代には通用しない」とクリフトン会長の言葉は続きました。「年次評価の問題点は、常に過去を指向していること。年に一度では、目標を与えて指導を行うことはできない。少なくとも週に一度は対話の機会を設けるべき」
そう、私たち先人や企業・組織を牽引する立場の経営陣や企業・組織は、未来に向けて価値を高めるべく思考し、それを語り体現すること。それが目の前に迫った必須のミニマム・パラダイムシフトなのです。