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アマゾンのジェフ・ベゾスCEO、気候変動対策で1.1兆円規模の基金設立

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米国サステナブル・ブランド編集局
Image:Amazon

気候変動に関して沈黙を貫いていた米アマゾンのジェフ・ベゾスCEOは先月、100億ドル(約1兆1000億円)の個人資産を用いて、「ベゾス・アース・ファンド(Bezos Earth Fund)」を立ち上げるとインスタグラムで発表した。ベゾスCEOは気候変動について「人類にとって最大の脅威」と語る。しかし、世間やアマゾンの社員はこれを十分だとは考えていない。アマゾンが石油・ガス企業や気候変動を否定するシンクタンク、政策への支援を続けていることなどを理由として挙げて、「片方の手で奪っているものを、もう片方の手で与えることは不可能だろう」と懸念を示す。(翻訳=梅原洋陽)

米誌『フォーブス』によると世界一の富豪であるベゾス氏は、気候変動問題に対して行動をあまり起こしてこなかった。そのため、これまでにアマゾンの熱心な社員が公然と同氏を非難したり、抗議デモを行ったりしてきた。(参照̻)

ベゾス氏が動き始めたきっかけは、昨年9月に発表した気候変動対策のための誓約「クライメート・プレッジ(Climate Pledge)」だ。このコミットメントは、パリ協定の目標を、10年前倒しし2040年までに達成することを目指すもの。アマゾンは国連気候変動枠組み条約の前事務局長クリスティアナ・フィゲレス氏と共同で立ち上げたイニシアティブ「グローバル・オプティミズム(Global Optimism)」に最初に参画した企業だ。同イニシアティブは、2040年までに事業全体でネット・ゼロカーボンにすることを参画企業に求めている。クライメイト・プレッジ設立の際、ベゾス氏はアマゾンについて「この問題の中心にいます。われわれは会社の規模と影響力を利用して、変化を起こして行きます」と宣言した。

今回、ベゾス氏が個人的に気候変動に関心があることが明らかとなった。ベゾス氏は新たな基金をこのように説明している。「このグローバルなイニシアティブでは、科学者、活動家やNGOを支援していきます。自然を保護できる可能性を持つあらゆる活動をサポートします」と。ビル・ゲイツ氏のような他の慈善活動家もサステナブルな解決策に多額の寄付をしているが、ベゾス・アース・ファンドは個人による寄付としては知られている限りでは最大のものだと米誌『クロニクル・オブ・フィランソロピー』が伝えている。

アマゾンの従業員らは、ベゾス氏があまりに何もしてこなかったために、独自の団体「Amazon Employees for Climate Justice(気候の公平性を求めるアマゾン従業員)」を結成しており、ベゾス氏の発表にTwitterでコメントした。

ベゾス氏の慈善的な行為は素晴らしいが「片方の手で奪っているものを、もう片方の手で与えることは不可能だろう」と非難し、いくつかの適格な質問も投げかけた。「アマゾンは、地球を破壊している石油やガス会社の支援をいつ止めるのでしょうか。いつ気候変動を否定するシンクタンクへの出資や、気候対策を否定する政策を支援するのを止めるのでしょうか」。

サステナブル・ブランドのナレッジ・インサイト部門のディレクターであるディミター・ヴラホフ氏は「良い取り組みではあるでしょうが、アマゾンは100億ドルの慈善行為で償える以上のダメージを与えています。より大きな取り組みに期待し、100億ドルが効果的な解決策に使われることを期待したいです」とコメントした。

ヴラホフ氏のコメントにあるように、バンク・オブ・アメリカやブラックロック、ゴールドマン・サックス、JPモルガン・チェースそして、世界銀行などの世界最大規模の金融機関も気候変動への取り組みに何十億ドルも費やしているが、実際の取り組みの内容、そしてその成果をいつ見ることができるのかは分からない。