• 公開日:2019.09.12
アマゾン社員1000人、会社に気候変動対策の強化求め「気候マーチ」に参加
  • 小松 遥香

米アマゾンの社員1006人はこのほど、同社に気候変動への取り組みを強化するよう求め、今月20日に世界117カ国で行われる抗議デモ「グローバル気候マーチ」に参加すると発表した。世界の若者が主導する同マーチは、23日からニューヨークで始まる国連気候行動サミット2019を前に、各国政府に対し気候変動対策の加速を求めるもの。日本でも18都道府県で開催される。アマゾンの社員らは、2030年までに二酸化炭素(CO2)の排出量を実質ゼロにする「ゼロエミッション」の達成などを求めている。(サステナブル・ブランド ジャパン=小松遥香)

スウェーデンの16歳、環境活動家のグレタ・トゥーンベリさんが昨年8月、たった一人で始めた「気候のための学校ストライキ」。若者たちを中心に世界に広がった活動が、大人たちを動かそうとしている。

アマゾンの社員らが組織する団体は9日、グローバル気候マーチへの参加をブログプラットフォーム「Medium」で明かした。声明文のほかに約2分間の動画も投稿し、一部の社員らは顔と名前を公表し、参加理由を語っている。

「気候変動はすべての人に影響を及ぼすものだが、最初に被害を受けるのは社会で最も脆弱な人々だ」――ヨシ

「私たちは気候変動の取り組みにおいてもリーダーであるべき。誰かの後について行くんじゃなくて」――アレックス

「アマゾンはカーボンフットプリントに関して透明性を高めるべき」――サミール

「アマゾンなら迅速かつ大胆な取り組みができるはずだ。気候危機を回避するために、世界の人々もアマゾンが大きな一歩を踏み出すことを望んでいる」――ボビー

動画には、米国で気候マーチを行う若者の団体、国際NGO「350.org」創設者のビル・マッキベン氏、世界中のアマゾンで著書が販売され『ブランドなんかいらない』『ショック・ドクトリン』で知られるカナダ人ジャーナリストのナオミ・クライン氏も登場し、9月20日に行われる気候マーチへの参加を呼びかけている。

社員らは、「真のリーダーシップを発揮すべき」としてアマゾンに対して3つの取り組みを求めている。

1.2030年までにゼロエミッションを達成する。
  まずアマゾンが最も環境負荷を与えているコミュニティで電気自動車を走らせる。

2.石油やガスの採取を加速させている石炭火力事業を行う企業へのアマゾン ウェブ サービスの提供をゼロにする。

3.気候変動を否定するロビイストや政治家への資金提供をゼロにする。

アマゾンは今年2月、顧客への商品配達において発生するCO2の排出量を実質ゼロにする「シップメント・ゼロ」という方針を掲げ、2030年までにその50%を達成するという目標を立てた。しかし社員らの団体は、アマゾンの成長率を考えると、2030年に物流で発生するCO2排出量の50%を実質ゼロにしたとしても、現在の排出量と比べると増加するのではないかと指摘している。

社員らの声明は決して悲観的なものではない。社員がアマゾンに求めているのは、世界有数のイノベーション企業として、気候変動の取り組みにおいてもリーディングカンパニーとなり、社員が誇れる企業であってほしいというものだ。社員らは同社CEOのジェフ・ベゾス氏にこう呼びかけている。

「アマゾンには、世界の人々の想像力をかき立て、気候変動を防止するために何ができ、何が必要なのかを再定義する十分な資金と体制がある。9月20日にストライキを行うのは社員のコミットメントの現れだ。私たちの動きにリーダーシップが加わることを求める」

written by

小松 遥香(こまつ・はるか)

アメリカ、スペインで紛争解決・開発学を学ぶ。一般企業で働いた後、出版社に入社。2016年から「持続可能性とビジネス」をテーマに取材するなか、自らも実践しようと、2018年7月から1年間、出身地・高知の食材をつかった週末食堂「こうち食堂 日日是好日」を東京・西日暮里で開く。前Sustainable Brands Japan 編集局デスク。

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