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ブランドが社会とつながる、持続可能な未来へ  「サステナブル・ブランド ジャパン」 提携メディア:SB.com(Sustainable Life Media, Inc.)

サステナブル・イノベーション都市を目指す横浜の挑戦

左からファシリテーターの太刀川氏、熊谷氏、髙木氏

サステナブル・ブランド国際会議2020の舞台は神奈川県・横浜市。人口370万人を超える大都市のサステナビリティの現在地、そして未来目標はどこにあるのか。横浜を拠点に世界規模の活躍を見せるソーシャルデザイナーの太刀川英輔氏をファシリテーターに迎え、横浜市の経済局から髙木秀昭氏、空間デザインを専門とするランドスケープデザイナーの熊谷玄氏が登壇。いずれもすでに創造的な実践を続けるトップランナーたちを迎えたトークセッションに注目が集まった。(やなぎさわまどか)

ファシリテーター
NOSIGNER 代表 太刀川 英輔氏
パネリスト
横浜市 経済局 新産業創造課長 髙木 秀昭
スタジオ・ゲンクマガイ 代表 熊谷 玄

髙木氏は、みなとみらいや関内を中心に高まりを見せるオープンイノベーション推進の傾向と効果、および、積極的かつ計画的な企業誘致の実績などを紹介した。以前から問題視されている、横浜市の高齢化と生産年齢人口の減少を見据えたIoT戦略など、広義のサステナビリティをまちづくりに生かす同市の姿勢が見受けられた。また、組織や職域を超えた協力体制を推進する「イノベーション都市・横浜」では、ファシリテーターの太刀川氏によるロゴマーク・コンセプトのデザイン「YOXO(よくぞ)」が採択されたことにも触れた。YOXOは「YOKOHAMA CROSS OVER」の略で、垣根を超えた新たなクロスオーバーを生み出し、イノベーション都市へと進化させたいという願いが込められている。幅広い対象に向けたイノベーションスクールの実施など、新たなムーブメントの始まりを感じさせた。

続いて、「人が暮らす風景をつくっている」と話す熊谷氏は、横浜を「一部の都市部と、それ以外の郊外で構成される」と表現し、両者に共に求められている環境設計について実績を紹介した。都市部では、ゲリラ豪雨や大雨を効果的に受け入れる地下設計をし、植物の蒸散作用を促し水が循環するグリーンインフラを備えた公園を、郊外では昭和40年代に建てられた団地の再生など、人々がより文化的で快適に暮らせる環境を多く手がける。高齢化だけでなく、貧困、独居、いじめ、教育格差といった根深い社会問題を意識し、文化やアートに触れる機会を日常的に共有しあうことで課題解決に取り組む活動に、会場からも拍手が上がった。

「みんなが最大限のポテンシャルを発揮できれば、今より未来は良くなると信じている」と話す太刀川氏は、それぞれの場所でそれぞれの人が適切な方法で社会に関わるための理由と手段にこそ「デザインの力」が必要だと説く。横浜を中心としたさまざまな活動実績を紹介すると共に、クリエーターとして、行政や団体とそれぞれのスキルや価値を持ち合って行う本質的なサステナビリティへの挑戦を紹介した。

パネルディスカッションでも3者は、さまざまな領域を超えた協力の重要性について触れていた。各自がただまっすぐに改善と進化を重ねるだけでなく、立場の違いを越えて重ね合うことで強固なレジリエンスを確立できるかどうか――。サステナブル・イノベーションによって社会課題を乗り越える、モデルシティへの挑戦は始まっている。

やなぎさわまどか

神奈川県出身。ナチュラリストの母により幼少時代から自然食や発酵食品で育つ。高校在学中から留学など度々の単身海外生活を経験。都内のコンサルティング企業に勤務中、東日本大震災で帰宅難民を経験したことをきっかけに暮らし方を段階的にシフトする。現在は横浜から県内の山間部に移り、食や環境に関する取材執筆、編集、翻訳通訳のマネジメントなど。