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ブランドが消費者の行動を変えるための3つの約束――コーアン・スカジニア Founder/CEO of Sustainable Brands Worldwide

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「#BrandsforGood」はサステナブル・ブランドのコミュニティ内で立ち上げられた、世界の企業が協創する先導的な取り組みだ。サステナブル・ブランドの創設者、コーアン・スカジニア Founder/CEO of Sustainable Brands Worldwideは、サステナブル・ブランドとは一体何か、いま企業に求められていることとは何か、そして#BrandsforGoodの参画企業がどのような行動を起こそうとしているのかを語った。(サステナブル・ブランド ジャパン編集局=沖本啓一)

サステナブル・ブランドの定義とは

サステナブル・ブランドとは何か。スカジニアFounder/CEOは「ブランドとはタグラインやロゴマークではありません。皆さん自身の人格であって、皆さんの行動であって、何を第一に考えるか、世界に対するコミュニケーションです」と説明する。そして「サステナビリティとは、人類と自然を改めてつなぎ、未来の世代をつくっていこうという意志です」と話す。

さらにあらゆるブランドは経済的な側面からシステムに影響を与えることができ、かつビジネスのリソースを生かすことでサプライチェーン全体の行動を変えること、つまりビジネスモデルを定義することができる。さらに消費者の需要を新たに生み出し、その行動を変えることができる。「つまり、(ブランドに携わる)皆さんは未来を変革することができる立場にいるのです」――。サステナブル・ブランド国際会議2020横浜(以下、本会議)の基調講演で、スカジニアFounder/CEOは会場にそう呼びかけた。

今年度の本会議のテーマは「Delivering the Good Life (グッド・ライフの実現)」。漠然とした潮流ではなく、一人ひとりの考えや行動によって「より良い社会」を具現化することが求められている時代だ。

「気候危機や生物多様性の喪失、格差の拡大。世界には課題が山積し、私たちは孤立しているようにも思えます。しかし私たちは、協力することが未来向かって正しく進む唯一の方法であることを知っています」

企業だけでなく自治体やNGO、参加した個人が何を考え、どう行動するのか。それを再考し、より良い未来を実現するための連携を促すことが、まさに本会議の開催意図の大きな要因だ。

グッド・ライフの実現のために協創を

スカジニアFounder/CEOは「特にマーケティングという側面で、社会的な意思を示すことが必要です」と言う。サステナブル・ブランドではこれまでの3年間、「グッド・ライフ」をテーマに据え、社会の価値観の変化や、それにどう対応するのか、ブランドという視点で考えてきた。若い世代を中心に世界中で持続可能性への意識が高まっている。ステータスやお金では「グッド・ライフ」を実現できないと考える人が増えている。幸せを見出す新しい価値観が生まれ、そこにはチャンスと義務がある、とスカジニアFounder/CEOは説明する。

「それを皆さんにまず知ってもらい、エンゲージメントを始め、信頼できるコミュニティをつくり、企業がコミットメントして変革をリードする。そこから『協創』が生まれます」

持続可能な社会へリードするブランドの力

米国を拠点に15年間活動してきたサステナブル・ブランドは2019年、新たなイニシアチブ「#BrandsforGood」を発表した。P&Gやペプシコなどの消費財メーカー、小売のターゲット、広告代理店の電通イージス、世界的ビジュアル・マガジン『ナショナル・ジオグラフィック』などが参画している。これらの企業は、消費者の生活や行動を変革する上で重要な役割を果たしている。#BrandsforGoodに参画する企業が約束するのは、

・環境と社会へのパーパスを、ブランド・プロミスや製品、エクスペリエンスの中心に埋め込む
・マーケティングやコミュニケーション力、ブランドの影響力を活用して、消費者に「持続可能な生活にアクセスすること」や「意欲的でやりがいのある生活」を届ける
・行動を転換するため、そして人々と私たちが共有する地球やコミュニティにプラスの影響を与えるために、協力してマーケティングの分野を変革する

の3つだ。さらに#BrandsforGoodでは社会に影響を及ぼす消費者の主要で重要な9つの行動を特定し、「気候変動への対応」「天然資源を守る」「強靭な社会をつくる」という分類で整理した(The Nine Sustainable Behaviors)。#BrandsforGoodはブランドが影響力を発揮し、消費者を変え、社会をより良い方向に先導するリーダーシップを発揮するための、協創のイニシアチブだ。

日本も変わり始めている

サステナブル・ブランドは13の国で活動を展開し、各国で年に1回の国際会議を開催している。本会議の参加者数は速報値で3300人以上。国内での初開催から4年を経て世界で最大規模となった。

「若者を中心に社会課題への意識が高くなった」ということがよく言われるようになっただけでなく、国内の企業からは初めて、花王がサステナブル・ブランドのグローバルコミュニティに参画するなど、近年、日本の企業や社会のあり方そのものも変わり始めている。

「今日、皆さんがここ(本会議)に来た理由は、一人ひとりが社会、そして未来を変えるという役割を認識しているからだと思います。日本だけでなく世界中で手を携えて、子どもたちのために素晴らしい未来をぜひつくり上げていきましょう」とスカジニアFounder/CEOは締めくくった。

沖本 啓一(おきもと・けいいち)

フリーランス記者。2017年頃から持続可能性をテーマに各所で執筆。好きな食べ物は鯖の味噌煮。