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ブランドが社会とつながる、持続可能な未来へ  「サステナブル・ブランド ジャパン」 提携メディア:SB.com(Sustainable Life Media, Inc.)

一歩先を行くサステナブル・ブランドはいま何を考えているか――サステナブル・ブランド国際会議2020横浜【Day2】

パタゴニアのヴィンセント・スタンリー氏

「グッド・ライフの実現」をテーマに、「ビジネス」「地域創生」「次世代教育」の3本柱で開催したサステナブル・ブランド国際会議2020横浜。2日目の基調講演には、米パタゴニアで経営哲学の責任者を務めるヴィンセント・スタンリー氏やブリヂストンの津谷正明CEO兼取締役会長をはじめ、サントリーホールディングス、アスクル、イオン、日産、渋谷教育学園、横浜市、バンクーバー市など企業・自治体ブランドが登壇をした。

「物事は、生物共同体の統合性、安定性、そして美しさを保つ傾向にあるとき、正しい」――。ヴィンセント・スタンリー氏は初めに、米国の生態学者で自然保護主義者アルド・レオポルド氏の言葉を紹介した。人間と自然(土地)は生態学的に平等であるという「土地倫理」を提唱した人物だ。

「現代の人々の暮らしや仕事は全体性を欠き、分裂している。生物共同体の統合性、安定性、美しさを保つ現代の暮らしをどうつくっていけばいいだろうか」とスタンリー氏は参加者らに問いかけた。

「課題を前に心の底から謙虚な気持ちを持つこと。そして、製品やサービスを生み出すためにどんな方法で、どんなことが結果として起きているのか理解しようと努めること。そしてわれわれが生み出す害を減らすために変わろうとすることが必要だ」

そう話し、パタゴニアがどのようにビジネスを転換し、ミッション「私たちは、故郷である地球を救うためにビジネスを営む」を掲げる企業になったのかを語った。

ブリヂストンの津谷正明CEOは、現代に通じ、多くの企業にいま求められている考え方として、創業者石橋正二郎氏の理念を紹介した。

「単に営利を主眼とする事業は必ず永続性なく滅亡するものであるが、社会、国家を益する事業は永遠に繁栄すべきことを確信する」

「絶えず時世の変化を洞察し、時勢に一歩先んじ、よりよい製品を創造して社会の進歩発展に役立つよう心がける」

「われわれの社会にはさまざまな課題がある。しかし人類も世界も日本も、そしてブリヂストンも、課題を一つひとつ乗り越え、その中で改善をしながら解決策を見つけてきた。地べたを走るタイヤという製品をつくるブリヂストンはこれまで、消費者のみなさんとコミュニケーションをとる経験が少なかった。しかし、これからは社会のみなさんと一緒になって社会的課題を解決していきたい」と呼びかけ、真のグローバル企業になるために協創を目指す意思を示した。

国際広告祭カンヌライオンズのSDGs部門で審査員を務めるサステナブル・コミュニケーション/マーケティングの専門家トーマス・コルスター氏は、「ブランドはパーパスを語りすぎているのではないか」と話した。同氏の出身地であり、世界的に持続可能な国として知られるデンマークのスーパーでは、地球や社会に配慮していると書かれた商品が多く並んでいるという。しかしそうしたコミュニケーションは、時代や社会に本当に求められているのか。

「ブランドがパーパスや『こんな良いことに取り組んでいる』と語れば語るほど、消費者は信用しなくなってきている。65%の人々がパーパスを掲げるブランドの商品を買いたいと答えながらも、実際にはそうしたブランドから商品を買うのはわずか26%しかいないのはなぜだろうか――。グッド・ライフを実現するヒーローはブランドではない。顧客をヒーローにすることが求められている」

では、ブランドが消費者と一緒にグッド・ライフを実現するにはどうすればいいか。先進的な取り組みを行う企業としてパネルセッションに登壇したのは、福本ともみ・サントリーホールディングス執行役員 コーポレートサステナビリティ推進本部長、木村美代子・アスクル取締役 BtoCカンパニーCOO兼CMO、三宅香・イオン執行役 環境・社会貢献・PR・IR担当だ。サントリーは商品に欠かせない「水」をテーマにしたコミュニケーション、アスクルはLOHACOでのデザインとサステナビリティを軸にした新たな商品展開、イオンは30年前から取り組むマイバック持参運動やご当地WAONによる寄付活動などについて話した。

日産の大神希保日本事業広報渉外部担当部長は、「電気自動車(EV)を活用した災害支援」をテーマに、「EVの普及が進むと、二酸化炭素の排出量を削減できるだけでなく、『走る蓄電池』として社会インフラの一部を担えるようになる。1台のEVで3日間分の避難所で必要な電力を補える」と説明。昨年、千葉県を襲った台風15号に50台以上のEVを投入した災害支援事例を紹介した。

日本屈指の進学校を運営する渋谷教育学園の田村哲夫理事長はSDGs達成のための教育「ESD」についてこう話した。

「ESDの基盤には基本的人権の尊重がある。若い方々は、基本的人権は当たり前にあるものと思うかもしれないが、これは1000年近い歴史の中でつくり上げられた思想。ESDの大きなテーマは、「自分」というものを突き詰めて考えること。子どもたちには『当事者意識を持ち、すべてに対して自分のこととして考えることだ』と教えている。何を信じていいか、何を目標としていいか悩ましい時代を生きる日本や欧米諸国の若者にとって、SDGsは一つの目標となる」

この日、さまざまな企業や団体、自治体のリーダーがテーマごとに集結するブレイクアウトセッションのほかに、自治体と企業の連携による新たな地域創生を考える「未来まちづくりフォーラム」、開催地・横浜をテーマに企業・団体が共創について語り合う「横浜トラック」、高校生や大学生、教員を対象にした次世代教育プログラムも同時開催した。

2006年に米国で誕生したサステナブル・ブランド。日本では、2016年に「サステナブル・ブランド ジャパン」の活動が始まり、サステナブル・ブランド国際会議の国内での開催は今回で4回目。過去3回は東京で開催してきた。横浜市で開催した今回は、日本を代表する大都市の中で持続可能な横浜の地域づくりを積極的に行う地元企業や団体、自治体の協力により、地域性を帯びた日本に根ざしたカンファレンスとなった。サステナブル・ブランド ジャパンは今後、サステナブル・ブランドを目指す企業や団体、自治体が集まるプラットフォームであるだけでなく、社会にインパクトをもたらすアイデアやビジネスを生み出すプラットフォームとして活動をさらに進化させていく。