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アシックス、CO2排出ゼロと1.5℃目標へのコミットメントを表明

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アシックスは24日、2050年までにCO2排出量の実質ゼロを目指すことを表明した。段階的なCO2削減目標は、パリ協定が掲げる「1.5℃目標(産業革命前からの気温上昇を1.5℃未満に抑えるという目標)」のための科学的根拠に基づいて定める。同社はこれまで「2℃目標」に即したCO2削減目標を掲げ、環境課題への取り組みを推進していたが、より意欲的な目標を改めて設定する。表明に伴い国連気候変動枠組み条約(UNFCCC)の「ファッション業界気候行動憲章」に署名するなど、今後の取り組みを加速する。(サステナブル・ブランド ジャパン=沖本啓一)

アシックスはこれまでに、スポーツメーカーとして初めて「Science Based Targets(SBT)イニシアチブ」から、2030年に向けたCO2排出量削減目標の承認を受け、今年6月には「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」提言にも賛同。気候変動への取り組みを積極的に進めてきた。今回のコミットメントではこれまでの取り組みを推し進め、2050年までにCO2排出量を実質ゼロにすることを目指し、削減のペースを速めるためパリ協定の1.5℃目標に即した目標を設定することを表明した。具体的な数値は今後2年を目途に策定する。

また「CO2排出ゼロの社会を構築するためには、より強力なリーダーシップを結集し、今までにないスピードと規模での変革が求められる」として今月10日、国連気候変動枠組み条約(UNFCCC)の「ファッション業界気候行動憲章」に署名した。同憲章は昨年12月に発足し、スポーツ用品業界を含むファッション業界が果たすべき役割として、生産段階や素材の選択などにおける温室効果ガス排出量の削減に加え、消費者との対話など排出量削減の機会創出をあげている。

さらにアシックスは原料自体を着色してから製品化する、環境負荷低減の独自技術「ソリューションダイ」を2020年に全ブランド(「アシックス」、「オニツカタイガー」、「ホグロフス」)のシューズ生産に導入し、全新商品生産量の50%以上にまで拡大させる計画も発表している。これにより、染色工程でのCO2排出量を約45%削減し、水使用量も約33%削減することが可能という。

ソリューションダイの工程(図左:ソリューションダイ 図右:従来)
1.糸の原料に着色料を投入
2.生地は着色された糸によって製造される
生地を染色する従来プロセスと比較して、材料製造時の水使用量とCO2排出量を大幅に削減

同社の廣田康人代表取締役社長COOは「(アシックスは)サステナビリティを企業戦略の根幹に据え、気候変動による深刻な影響の低減に取り組む。今後も引き続き、事業のあらゆる場面でサステナビリティに配慮した取り組みを推進し、持続可能な社会の実現に貢献していく」とコメントを発表している。

沖本 啓一(おきもと・けいいち)

フリーランス記者。2017年頃から持続可能性をテーマに各所で執筆。好きな食べ物は鯖の味噌煮。