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ブランドが社会とつながる、持続可能な未来へ  「サステナブル・ブランド ジャパン」 提携メディア:SB.com(Sustainable Brands, PBC)

都市のブランド価値は風景ではなく「グッドライフ」

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SB2019Tokyo

セッション「Good LifeをLife Scapeからリ・デザインする」

建物などのランドスケープではなく「グッドライフ」に取り組むことが都市のブランド価値になる。「バンクーバーは世界で最もグリーンな都市を目指し様々な取り組みを行うことで、7000人の雇用や3兆円を超えるブランド価値を生んでいる」と、駒澤大学経営学部の青木茂樹教授はその事例をあげた。「Good LifeをLife Scapeからリ・デザインする」のセッションでは、住まい・食・メディアという「ライフ」に近い事業を行う3者が議論した。(辻陽一郎)

東京都町田市から神奈川県相模原市のエリアを中心に、カフェや居酒屋など34店舗を展開するキープ・ウィルダイニングの保志真人社長が掲げるのが「GOOD LIFE BUSO」だ。BUSO(武相)は武蔵・相模エリアのこと。同エリアのアイデンティティがないことを課題に感じ、まちづくり企業として取り組みを始めた。

保志社長は「まちが良くなれば事業もよくなる。都内はシティライフ、湘南はスローライフ。武相エリアは自分らしく生きられるグッドライフの代名詞にしたい」と語った。

培ってきた外食でのノウハウを生かしながら、地場産業活性化やインキュベーションプロジェクトなどに取り組む事業展開を始めている。今年1月にはシェアハウスを完成し、7月には起業家や学生が集まれるインキュベーション型のコアワーキングオフィスをオープン予定だ。

「これらを活用することで、住宅費を抑えることができれば、自分の興味のある事業に挑戦できるようになる」と保志社長は語った。

レッドオーシャン(競争の激しい市場)の不動産業界で、「暮らしをリノベーションする」と、新たな価値を示すのがグッドルームだ。無垢材を使ったリノベーションハウスを手掛ける。

一般的に家はリフォームしても経年劣化していくが、「無垢材など年をとれる素材を使うことで『経年美化』して年々味わいが出てくる」と、メディア事業部の佐藤志穂取締役は語る。消費者も変わってきており、無垢材のフローリングの居心地が良いとナチュラルリノベーションに価値を感じる人が増えているという。

同社のリノベの特徴は、パッケージ化して一律に良いものを提供すること。「リノベ物件も増えているが、オーナーのこだわりが出てしまうなど一部の人にしか受け入れられない世界だった。パッケージ化すればたくさんの人に自然な暮らしを取り入れた住まいを提供できる」(佐藤取締役)。

マガジンハウス コロカル事業部の及川卓也部長/編集長は、従来のメディアだけでなく地方自治体の地域ブランド作りなども手がけている。

岐阜県飛騨市の移住定住事業では、ライター講座などを行い編集部をつくっている。「価値を発見し表現するのが編集の役割。目線をどう持つか、視点を提供してみんなで考えていく」と及川部長はいう。

グッドルームもオウンドメディアを作り、ライターが五感を活かした物件紹介記事やストーリーを発信することで多くの共感を集めている。一人ひとりが情報発信することで、グッドライフのブランド価値づくりにもつながっていく。

辻 陽一郎 (つじ・よういちろう)

オルタナ特約記者、NPO新聞代表。フリーライターとして、NPO・NGOやボランティア、ソーシャルベンチャー、企業のCSRなどを中心に取材。

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