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「リ・デザイン」へのプロセスとは:SDGs統合も課題

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パネルディスカッション「Good Societyをリ・デザインする」

「サステナブル・ブランド国際会議2019東京」2日目の基調講演(プレナリー)では、「Good Societyをリ・デザインする」と題するパネルディスカッションが行われた。SB国際会議の今年度の世界共通テーマは「グッドライフの再構築(リ・デザイン)」だ。その具体的なあり方や実現のプロセスはどのようなものなのか。SDGs(持続可能な開発目標)の浸透度調査の結果も踏まえ、異なる立場から3人のパネリストが議論を深めた。(オルタナ編集部)

パネリストは、グローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパン(GCNJ)の有馬利男代表理事、環境省の中井徳太郎総合環境政策統括官、リコー サステナビリティ推進本部の加藤茂夫本部長が登壇。SB TOKYOの足立直樹サステナビリティ・プロデューサーがファシリテーターを務めた。

足立プロデューサーは、2015年のSDGsやパリ協定などをきっかけとして、近年脱炭素化や脱プラスチックの流れが勢いを増していると指摘した上で、「グッドライフをどのようにリ・デザインするか」と問いを投げかけた。

GCNJの有馬代表理事はグッドライフについて、「安心で希望の持てる幸せ感のある社会」と考えていると述べた。またSDGsの認識は大企業を中心に高まってきているものの、実際の経営戦略への統合や中間管理職などへの広がりに課題があり、また中小企業への認知度はまだ不十分だと指摘した。

GCNJとIGES(地球環境戦略研究機関)が2月末に公開した調査結果では、経営層へのSDGsの認知度は2016年の20%が2018年には59%に広がっている。一方、SDGコンパスで定める5つのステップのうち、4「経営へ統合」、5「報告とコミュニケーション」の段階にあると回答した割合は、2016年の13%から2018年の24%と、まだ低い割合に留まっている。

また中小企業経営者へのSDGs認知度について、昨年12月に関東経済産業局が発表したアンケート調査によると、「SDGsについて全く知らない」、「言葉は聞いたことがあるが内容は詳しく知らない」という回答を合わせると、約92%に上る。

有馬代表理事はこうした課題について指摘した上で、さらに「NGOなどの社会組織や行政との連携について、数値が悪くなっている統計もある。こうした動きを上向きに持っていきたい」と述べた。

環境省の中井統括官は、「SDGsやパリ協定で世界の潮目が大きく変わった」と指摘。その流れを受けて日本政府が方針として打ち出した「地域循環共生圏」の概念を紹介した。

「大量生産、大量消費、大量廃棄というあり方を変え、自然の恵みであるエネルギーや食料を自律分散、地産地消で循環させるシステム。SDGsを一人ひとりがボトムアップで捉え、それを統合していくことが必要だ」(中井統括官)。同省はプレイヤーとして、地方銀行や信用金庫とも連携を加速し、SDGsの浸透を図っていくという。

リコーの加藤本部長は、同社が2002年に、経済(Prosperity)、社会(People)、地球環境(Planet)の「3Psバランス」を目指すべき社会の姿として提唱していることを紹介した。

「『やれること』ではなく『やるべきこと』を決めて、バックキャスティング(逆算思考)で事業として進めることが重要。バリューチェーン全体でパートナーとともに取り組んでいく」(加藤本部長)

足立プロデューサーは協働して取り組むことの重要性に触れ、「SB国際会議は単なる学びの場としてだけでなく、出会いやネットワークを強め、ここから新たな協働が始まり、強化されていく場にしたい」と話した。