
サステナブル・ブランド ジャパンの公式ユースコミュニティ「nest」が、第5期(2026年4月〜2027年3月)の新規メンバー募集を開始した。次世代の自由な感性を起点に、“ありたい未来”の姿を発想・発信していく本コミュニティ。今回は、プログラム全体をけん引する岡田羽湖プロデューサーと村瀬悠ブランドディレクターに、これまでの手応えや第5期にかける熱い思いを、ざっくばらんに語り合ってもらった。
本気の「自己探究」が土台
――まずは第4期を振り返って、率直な手応えはいかがでしたか。
岡田羽湖プロデューサー(以下・岡田):メンバーの変化を目の前で感じられて、とても達成感のある期でした。プログラム外の時間にわざわざ「nestに入って本当によかった」と伝えてくれるメンバーもいて、私たちが意図していた「一人ひとりの個と向き合う」というスタンスが伝わったのかなと感じています。
村瀬悠ブランドディレクター(以下・村瀬):第4期は「自己探究」という軸にかなり振り切りました。これまで関わってきたコミュニティ運営を振り返ると、興味を持って入ってきたのに、しんどくなって辞めてしまう同世代をたくさん見てきたんです。せっかく意志があったのに、もったいないなと。継続的に関わり続けるためには、自分が本当に何をやりたいのか、何に向いているのかを見極める「自分らしさ」への着眼が絶対に必要だという仮説がありました。
岡田:サステナビリティって、あくまで社会を良くするため、そして自己実現するための手段の一つなんじゃないかと思うんですよね。自分にとって「楽しい」とか「心地よい」とか、行動する理由が無いと続けられないから、いきなり大きな社会課題に向き合う前に、まずは自分のことを知っていくことが必要。

――なぜ・何に・どう取り組むかを探究することで、無理なく続けていけると。
岡田:自己探究の結果、メンバーから「自分は『サステナビリティ』に関心がないことが分かりました」と言われたこともありましたが、私もその気持ちはよく分かります。社会課題を真正面から扱わないと「課題に向き合っていない」と感じてしまうこともあるかもしれないけど、自分に心地よい関わり方で向き合えばいい。
村瀬:その話、メンバーとの1on1でも話題になりました。「自分らしさってなんですか?」ってツッコミを受けながら(笑)、社会から求められていることと、自分のやりたいことの重なるベン図の部分を一緒に探していきましたね。第4期の途中では、あるチームが「このテーマ、やっぱり自分たちは興味ないかも」と気付いて、思い切って振り出しに戻ったこともありましたが、終わってみると、「違うと思ったらそのまま進まないことが、一番の学びだった」とアンケートに書いてあって。
岡田:「自分たちの軸を大事にして、方向性を切り替えた」という経験が、彼らにとって大きな財産になっていたんですよね。
村瀬:その自己理解があったからこそ、サステナブル・ブランド国際会議での活動報告も、企業の方々が驚くほどレベルが高く、筋の通ったものになったんだと思います。
岡田:当日のセッション、立ち見の人までいるのはびっくりしたよね。
村瀬:企業からの反響は今までないくらい多かった。深い自己理解を土台にして、社会課題探究も深まったと感じます。
「学生ならではの目線」をSBコミュニティの価値に

――素晴らしい成果ですね。一方で、第4期を通じて見えた課題や改善点はありますか。
岡田:メンバーにとっても運営側にとっても、さまざまな意味で「難しすぎたかな」という感触はあります。当初から「私たちが(nestプロデュースチームから)いなくなっても続くパッケージを作ろう」と意気込んで、企画の考え方やフレームワークなど、いろんな理論を詰め込んだんです。その結果、インプット量が多くて、私たちの準備もとても大変でしたし、メンバーもそれを自分たちのクエストに落とし込むのに必死でした。

村瀬:おかげでアウトプットのレベルはめちゃくちゃ高かったんですが、一方でふと「これって、学生に無理にやらせなくてもいいのでは」とも思いました。きちんと筋が通っていて評価できるものだけど、それはあくまで大人側の価値基準の中での話。今の学生世代にしか生み出せない独自の価値基準や、もっと自由な発想があるはずなのに、(この方向で進んでいくと)私たちが大人の正解にハメてしまうのではないかという葛藤がありました。
――メンバー自身が持っている価値をもっと引き出したいと。
岡田:nestは単なる学生向けの教育プログラムではなく、マルチセクターが集うSBコミュニティのステークホルダーです。これまではどちらかというと「大人・企業から学ぶ」という方向がありましたが、私はむしろ逆方向を目指したい。nestのメンバーが、企業側に新しい学びや価値を与えられる存在でありたいんです。
村瀬:そのためにnestが提供できる最大の価値こそが、大人にはない「次世代の自由な感性」なんですよね。だから第5期では、大人のロジックに合わせるのではなく、学生ならではの等身大の目線をそのまま生かしていくことにしました。
岡田:第5期は、既存の思考プロセスやナレッジはいったん度外視して、みんなの持つ感性で自由に暴れ倒してほしいです(笑)。もちろん、ただ「自由にやって」は一番難しいので、その感性がしっかり泳げるような設計をするのが私たちの役割です。
村瀬:第5期年間テーマを「四季が揺らぐ時代のライフデザイン」に設定したのもそのためですね。いきなり遠い未来の話をするのではなく、すでに誰もが肌で感じている気候の極端化など、実感できる異変をテーマにすることで、等身大の発想がしやすくなるようにしています。

村瀬:ちょっと余談ですけど、高校生プログラム(Student Ambassador)の発表を聞きに行ったとき、「土砂災害被害を防ぐために、家を空中に持ち上げればいい」って真顔で提案している高校生がいたんですよ。
岡田:あったね(笑)。
村瀬:大人だと「そんなの無理だろ」って真っ先にコストや実現可能性を考えちゃうじゃないですか。だからこそ、大人が思いつかない発想の飛躍ってやっぱり最強ですよね。
プログラムの枠を超え、メンバーの人生に伴走する
――メンバーとの1on1など、一人ひとりと向き合うコミュニティの姿もnestの特長です。
岡田:nestの定例会に参加する時間は生活の中のごく一部ですが、私たちはメンバーを「nestの参加者」としてだけ見るのではなく、メンバーの人生そのものと向き合っているつもりです。第5期からは「メンター」に特化した運営チームもつくり、今よりもさらに深く、メンバーと向き合いたいと思っています。
村瀬:義務感ではなく、本当に好きでメンバーと向き合うからこそ、深い信頼関係が築ける。そうやって何でも話せる風通しの良さが、nestの一番の魅力だと思います。
岡田:実際、オフィシャルで設定している1on1とは別に、「ハコさんと話したいです!」っていきなりオンライン会議のリンクが送られてきたりするもんね。
村瀬:普通にありますね(笑)。

――メンバーとのそうした関係性は、プログラム全体にも生きていきそうです。
村瀬:そうですね。学校の話、家族の話、進路の話など、一見nestに関係ないような対話の中に、その子らしさや前に進むヒントが散りばめられていることもあります。
岡田:進路に悩んでる子に、「とりあえず次の6月までに英検準1級を取りなさい!」って、ただの進路指導の先生みたいになって英語の勉強法を教え込んだこともあったなあ。
村瀬:それは本当にサステナビリティと全然関係ない(笑)。
飾らない、等身大のままで参加して
――最後に、第5期への応募を考えている方へ、メッセージをお願いします。
岡田:「自分って何したらいいんだろう?」という、モヤモヤした余白を持ったまま、ぶつかってきてほしいです。すでに完成された答えは必要ありません。どんな本音が飛び出しても、面白がって真正面から受け止めるメンター陣がそろっているので、勇気を出して飛び込んできてもらえたら。
村瀬:一番大切なキーワードは「等身大」です。大人が期待するような立派な正解を、無理して用意しようとしなくていい。心の内側で感じている違和感や、飾らないありのままの思いを言葉にすることが、意外と世の中を変える力になると本気で信じています。皆さんと一緒に、未来の答えを探しにいけるのを楽しみにしています。
岡田:第4期からの継続メンバーたちも、本当に笑っちゃうくらい等身大で飾らない子たちばかりだよね。コミュニティとしての受け入れ態勢はバッチリ整っているので、安心してぶつかってきてください!

【nest 第5期メンバー募集概要】
| 活動期間:2026年4月〜2027年3月(1年間) 応募資格:2026年4月1日時点で、15歳〜24歳の学生(高校生以上) 参加費:無料 募集人数:10名程度 応募締切:2026年3月15日(日)23:59締切 |
詳細・ご応募はnest公式サイトをご確認ください。
横田 伸治(よこた・しんじ)
サステナブル・ブランド ジャパン編集局 デスク・記者
東京都練馬区出身。毎日新聞社記者、認定NPO法人カタリバ職員を経て、現職。 関心領域は子どもの権利、若者の居場所づくり・社会参画、まちづくりなど。














