
サステナブル・ブランド ジャパンのユースコミュニティ「nest」第4期が、活動の集大成となるサステナブル・ブランド国際会議での成果発表を終えた。
nestはサステナビリティに関心を持ち、アクションを起こしたいと考える15歳から25歳の若者が集う共創プラットフォーム。2025年度の第4期は「“自分らしい”社会課題への関わり方を見つける」ことを年間テーマに掲げ、約20人のメンバーが1年間を通じて月に1回程度の定例会に集まり、活動を共にしてきた。
本記事では、2月に開催された「サステナブル・ブランド国際会議 2026 東京・丸の内」の模様を交え、若者たちの熱量あふれる活動の成果をレポートする。
「自分らしさ」を起点に行動を

第4期のプログラムは、自分自身の価値観や感情に向き合う「自己探究」と、社会課題を分析・考察して自分に合ったアプローチを模索する「社会課題探究」の2軸で進行。社会課題解決の第一線で活躍する企業やNPOからのレクチャーを経て、活動のコアとなる「nest Quest(ネストクエスト)」へと移行した。
クエストではメンバーがチームに分かれ、それぞれの関心に基づいた多種多様なプロジェクトを自ら企画・実践した。
国際会議で堂々「nest Quest」成果報告
「サステナブル・ブランド国際会議 2026 東京・丸の内」でのセッション「“自分らしく”社会と関わる — nestが描く次世代共創のこれから」では、全5クエストから3チームの代表者が登壇し、プロジェクトの成果と自身の学びをプレゼンテーションした。
サステナブル商品の「伝え方」に関する実証実験

立教大学2年の小野寺怜南さんは、サステナブル商品があまり選ばれていない現状に着目。アパレルブランドCLOUDYの協力の下、実店舗で「定量的な効果」「自分軸の満足感」「デザインのこだわり」と訴求点を変えた3種類のポップを掲示し、購買行動の変化を検証した。
結果として、売上の10%がアフリカの女性や障がい者を中心とした雇用支援活動費に還元されることを示した「定量的な効果」のポップが売上1位となった。小野寺さんは、「言葉の使い方やデザインをビジネスシーン向けに考える難しさ、学生と社会のギャップに苦戦しました」と実証実験のリアルな苦労を明かしつつ、「悩んでいるならまずはやってみようと言えてしまうような、フットワークの軽さが大切と学んだ」と自身の成長を語った。
教育における「親の子育て観」に着目

かえつ有明高校2年の大垣知也さんが所属したチームは、若者の進路選択において「親は最重要サポーター」であると定義した。親自身の価値観(子育て観)を言語化し、子どもへの接し方を振り返るためのワークショップツール「カードでそだトーク!」を独自制作した。
「自分自身はやりたいことを選べる環境にいたが、家庭によって状況は違う。そこで、進路選択時にあまり目を向けられていない『親』にフォーカスした」と語る大垣さん。nestでの経験を経て「人々を巻き込むリーダー的参謀として、今後もプロジェクトの構造やプロセスを考えることに力を入れたい」と、自らの強みを力強く宣言した。
「勘違いサステナビリティ」に向き合うAIキャラ

立教大学3年の伊東沙彩さんのチームは、一般的に「環境に良い」と認識されている行動が、実は効果が乏しいケースを「勘違いサステナビリティ」と定義した。行動変容のボトルネックが「個人レベルでの損得が無い」ことだと分析し、キャラクターへの愛着を利用したLINE上のAIチャットボット「プラバンちゃん」を開発・実証した。
nestに3年間参加している伊東さんは、「なぜ社会課題が解決できていないのか、その社会自体の構造を考えることに興味がある」と自身の関心の変化を振り返り、「社会の常識を分解する討論者でありたい」と宣言して会場の共感を呼んだ。
一人ひとり異なる「自分らしさ」

国際会議では、nestの特設ブースも展開された。ブース内では、登壇したチームだけでなく、「個人のモヤモヤ」を社会問題化する探究を行ったチームや、体験型サイトを通じて多様な「真の豊かさ」への気付きを提供するチームなど、全クエストの成果が展示された。
さらに壁面には、メンバーそれぞれの「自分らしい社会課題との関わり方」がパネルとして掲出された。「野心的な夢を語るエネルギーオタク」「違和感を磨く編集者」「技術と生活の橋渡しを担う進行役」「人とアイデアの可能性を引き出すゼロイチ人材」など、1年間の活動を経て言語化された多様な個性が並んだ。
会期中は多くの来場者がブースを訪れ、世代や立場の垣根を越えてメンバーたちと直接意見を交わし合う熱気あふれる空間となった。
第5期に向けた新たなビジョン

サステナブル・ブランド国際会議には第4期でプロデューサーを務めた岡田羽湖さんも登壇し、これまでの活動を振り返るとともに、第5期のプログラムも発表された。
岡田さんは「第4期の運営では、社会課題そのものについて学ぶ『外向きの矢印』と、自分自身のモチベーションの源泉を知る『内向きの矢印』の2軸で試行錯誤を繰り返してきました」と今期の歩みを総括。今後の展望として、「誰かから与えられた問いや課題の解決策を考えるだけでなく、次世代が今持ち合わせている感性を大事にし、未来を言葉や形にしていくプログラムを作っていきたい」と語った。
第5期からは「ミライが巣立つ場所」という新たなビジョンを掲げる。年間テーマを「四季が揺らぐ時代のライフデザイン」とし、次世代が自由に発想したありたい未来を、共創パートナー企業・団体とともに実験・実証していくプログラムへと進化する。
現在、nestでは第5期の学生メンバーと、次世代との共創に関心を持つ企業・自治体などの共創パートナーを募集している。
自らのモヤモヤや感性を起点に、社会に新たな価値を提示し続ける若者たち。彼らと共に「ありたい未来」を実装していくnestの活動に、今後もぜひ注目を。
横田 伸治(よこた・しんじ)
サステナブル・ブランド ジャパン編集局 デスク・記者
東京都練馬区出身。毎日新聞社記者、認定NPO法人カタリバ職員を経て、現職。 関心領域は子どもの権利、若者の居場所づくり・社会参画、まちづくりなど。









