
2月18日、19日に開催の「サステナブル・ブランド国際会議 2026 東京・丸の内」に合わせ、サステナビリティをテーマにした展覧会「あわいのゆくえ 自然と人が結び直してきた関係のかたち」がGOOD DESIGN Marunouchiで開かれている。サステナブル・ブランド ジャパンの主催で、博展がプロデュース。4回目となる今回は、素材や技術、人の営みの変遷を手がかりに、自然と人の関係性を捉え直し、サステナビリティをひもとく意欲的な展示となっている。入場無料で、2月25日まで。
サステナビリティの根底にある視点
サステナビリティという言葉を耳にする時、脱炭素の数値目標や資源循環の仕組みといった、定量的な側面や指標が強調されがちだ。しかし本展では、それらの根底にある、人と環境がどのような関係を築き、紡いでいくのかという視点を提示する。
展示は、自然と共にある「共存」、営みとして続く「共生」、そして環境と人が共に価値を生み出す「共創」の3部で構成されている。
ディレクションを担当した博展のアートディレクター、矢野吉昭氏は「広い視点で、もう一度サステナブルについて考えてもらえるような構成にした」と説明。その上で「懐古主義ではないが、かつて人は、自然と関わらざるを得ない状況から深い関係性を築いてきた。その歴史をひもとくことで、現代において多様な関係性の結び方が生まれてきていることを示したかった」と、展示の狙いを語る。
コーヒー抽出かすで作ったゴルフティー

会場を彩るのは、最先端の技術や思想を持って「自然との関係」を再定義する10の企業・団体の作品だ。
秋田県立大学が出展した「やわらかい木」は、しなやかに曲がり、人の動きや空間に適応する特性を持たせた新しい木質素材。チヨダ工業は「木の組織を滑らせて金型で成形する」という全く新しい成形技術を紹介した。

また、ドウシシャは自然のような心地良い風を作る扇風機・サーキュレーター「kamomefan」を出展。自然界や生物の仕組みに学ぶバイオミミクリー(生物模倣)の考え方をもとに、渡り鳥であるカモメの羽根形状を参考に設計した。ごみと人の暮らしを結び直すものづくりを行うfabula(ファーブラ)は、コーヒー抽出かすから作ったゴルフティーなどを紹介している。

これらの展示に共通するのは、自然を一方的に利用するのではなく、自然の力や性質を尊重しながら、新しい価値を共に生み出す「共創」の姿勢だ。
「サステナブル」を取り戻す試み
多彩な展示群を前に、本展のプロデューサーを務めた博展サステナビリティ推進部の部長、鈴木亮介氏は現代のサステナビリティを取り巻く状況に鋭い視点を向ける。
「サステナブルというと、どうしても数字や指標で良し悪しが判断されやすい。もちろんそれは重要だが、一度、定量的なものを抜きにして歴史をたどることで、重要なヒントが見えてくるのではないかと考えた。あらためて感じたのは、自然とのつながりは本来身近にあるのに、今の時代、それが見えにくくなっているということだ」
鈴木氏は、私たちが使い慣れた「サステナブル」や「イノベーション」という言葉が、時として思考の壁になっているのではないかと指摘する。「言葉を当てはめることで距離が生まれ、思考が停止してしまうこともある。今回の展示は、見えにくくなっていた自然と人との関係性を捉え直し、『サステナブル』をもう一度自分たちの手に取り戻す試みでもある」と話し、来場を呼びかける。

初日に来場した大学生は、サステナブルファッションに興味があって立ち寄ったという。衣服製造過程におけるテキスタイルの廃棄削減を目指すSynflux(シンフラックス)の展示に感心しながら、「土を使った3Dプリンターなど、全く知らない世界もあった」と熱心に見入っていた。
2月19日の来場者には、「サステナブル・ブランド国際会議 2026 東京・丸の内」の会場内にあるネットワーキング・交流エリア「Activation Hub(アクティベーション・ハブ)」へ入場できるパス引換券がプレゼントされる。
| 「あわいのゆくえ 自然と人が結び直してきた関係のかたち」 会期: 2026年2月16日(月)〜25日(水)11:00-20:00(最終日は18:00まで) 会場: GOOD DESIGN Marunouchi(東京都千代田区丸の内3-4-1 新国際ビル1F) 入場: 無料 主催: サステナブル・ブランド ジャパン(株式会社Sinc) 協力:公益財団法人日本デザイン振興会 プロデュース・企画デザイン・制作・運営:博展 |
眞崎 裕史 (まっさき・ひろし)
サステナブル・ブランド ジャパン編集局 デスク・記者
地方紙記者として12年間、地域の話題などを取材。フリーランスのライター・編集者を経て、2025年春からサステナブル・ブランド ジャパン編集局に所属。「誰もが生きやすい社会へ」のテーマを胸に、幅広く取材活動を行う。









