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ブランドが社会とつながる、持続可能な未来へ  「サステナブル・ブランド ジャパン」 提携メディア:SB.com(Sustainable Life Media, Inc.)
コミュニティ・ニュース

日本企業は10年後、20年後の市場を見据え、未来志向でSXを:SB国際会議特別企画「BRANDS FOR GOOD+ SUMMIT」(3)

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サステナブル・ブランド ジャパン編集局

環境や社会に配慮した商品の選択肢が豊富にある欧米と違い、まだまだ遅れている日本では企業がサステナブルな商品の市場をどう育てていけばいいのか――。サステナブル・ブランド ジャパンが11月29日、企業がマーケティングを通して生活者の行動変容を促すことを目的に日本でローンチした、米国発のイニシアチブ「Brands for Good」。その発足記念サミットでは、日中米英の4カ国1万2000人を対象にしたサステナビリティに関する消費者調査の結果をもとに、日本企業のパーパスブランディングを解きほぐすセッションも行われた。(廣末智子)

SESSION3「パーパスをブランディングに生かす――日本企業が見落としがちなポイント」

パネリスト:
間宮孝治・PwCサステナビリティ合同会社 サステナビリティ・センター・オブ・エクセレンス・マネージャー
足立直樹・SB国際会議サステナビリティ・プロデューサー

日本のZ世代の10%、ミレニアル世代の5%はダイバーシティが最大の関心事

調査は今年10月、PwC Japanグループが発表したもので、Z世代やミレニアル世代は、「自身の国内の問題」として労働者の人権やダイバーシティへの関心が高い傾向にあることが判明。日本も例外ではなく、ジェンダーをはじめとするダイバーシティを最大の関心事とした割合はベビーブーム世代の2%に対し、ミレニアル世代は5%、Z世代は10%に上った。

間宮氏

そこから何が読み取れるのか。PwCサステナビリティ合同会社の間宮孝治氏は、「Z世代やミレニアル世代が市場を牽引することは日本企業も当然認識しているはず」とした上で、「まだ市場が成熟していないから、といった理由で足踏みするのではなく、今すぐにそうした商品が生み出せなくとも、10年後、20年後の市場を見据えて移行していくことが必要だ」と提起した。

足立氏

移行の事例として、間宮氏は、オランダのチョコレートメーカーが、児童労働に関わっていないと明言するのでなく、現状まだ残っている可能性もあることを踏まえ、いついつまでになくすということを「可愛いパッケージ」で伝えることで、若い世代の共感を得ていると紹介。足立氏も「大事なのは方向性を示すこと。問題を解決できたので買ってください、ではなく、問題を一緒に解決していきましょう、と消費者に誘いかけることだ」と応じた。

一方、過去1年にサステナブルな商品を「購入したことがあり、今後も継続したい」と答えた国別の割合は、中国(70%)英国(65%)米国(57%)が比較的高い数値であるのに対して、日本は24%だった。さらに、日本での、サステナブルな商品の購入経験がない人の理由の上位は「価格が高すぎる」(30.7%)、「身近に売っていない」(19.2%)「商品の選択肢、種類が少ない」(13.6%)と、アクセシビリティ(利用しやすさ)の問題が大きいことが明らかになった。

これについて間宮氏は、例えば欧州ではNGOや小売、食品メーカー、IT企業などが協業し、食品の生産過程の環境負荷を示すラベルを開発するなど、消費者が快適にサステナブルな消費ができるための環境づくりが進んでいることを指摘。日本でも「メーカーと小売が手を取り合い、サステナビリティ市場を育てていく」必要性に言及した。

さらに議論は、Z世代を中心にサステナビリティ市場を牽引する層に追従する形で、自分からは動かないがトレンドがあれば乗ってみよう、という“ライトグリーン層”に働きかけるには、企業がどう動けばいいのかという観点で展開。

最後に日本企業がパーパスを策定するポイントについて、間宮氏は「将来の消費者像を捉えた、長期視点の言葉になっているかどうか。ミッションやパーパスを起点に一足飛びにSX(サステナビリティ・トランスフォーメーション)を起こそうとすると大変だが、未来志向で一つずつ足がかりをつかんでいけばいい」、足立氏は「今まさにビジネスの変革が求められているなかで、新しい製品やサービスをパーパスに合わせて整理していくことから始めてもいいのではないか」などと述べ、セッションを終えた。