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ナイキと三井不動産が新しいスポーツパーク:年齢性別・障がいに関わらず利用可能

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オープニングイベントで行われた車いすの3on3バスケ

ナイキジャパングループと三井不動産レジデンシャルは共同で、年齢性別、障がいの有無に関わらず全ての人が楽めるよう、インクルーシブデザインを取り入れた新しいスポーツ施設「TOKYO SPORT PLAYGROUND SPORT × ART」を、10月10日東京・豊洲にオープンさせた。台風接近のため13日に延期されたオープニングイベントを取材すると、誰もがストレスなく利用でき、かつ運動への興味を刺激するさまざまな工夫が随所に凝らされていることが分かり、スポーツ施設の新しいあり方として注目されそうだ。(写真・文 いからしひろき)

無料のプレイグラウンドが豊洲に登場

場所は新交通ゆりかもめ新豊洲駅から歩いてすぐ。約7000平方メートルの広大な敷地に、ランニングトラック、バスケットコート、多目的広場、アスレチック、テラス、スケートコートの6つのエリアがあり、それぞれ固有の名称と歴代のナイキの人気シューズの色や柄からインスピレーションを得た個性的なデザインが施されている。背後にそびえるのは晴海の高層マンション群。すっかり日が落ち、明かりの付いた無数の窓がイルミネーションのようだ。運動場というより、都心のアミューズメントパークに来た印象である。

まるでテーマパーク(NIKEプレスリリースサイトより)
各エリアはナイキの歴代の人気シューズをコンセプトにデザインされている(NIKEプレスリリースサイトより)

この立派な施設は、アプリから事前登録すれば、誰でも無料で使える。夜は9時まで営業。コロナ禍で会食の機会が減っている今、仕事帰りに利用する人も多そうだ。土日祝は午前10時から開園。一般開放日は当日の登録でも利用できるそうなので、散歩がてら訪ねてみるのも悪くない。混雑などはアプリで管理しつつ、開かれた空間を目指していることが伺える。

夜景を見ながら汗をかくなんて最高!

なぜナイキと三井不動産レジデンシャルは、こうした施設を作ったのか。ナイキジャパン広報のワッセルマン・ダヴィッドさんに聞いた。

「東京は世界の大都市と比べてスポーツをする場所が少ないという現状があります。そのような環境の中、若い世代のスポーツ機会が減っており、子供の体力、運動能力も年々低下しています。そこで私たちは、子供から大人まで遊び心をもってスポーツに参加できる場を提供することで、スポーツの日常化という課題に取り組みたいと考えました」

ポイントは「子供から大人まで」と「遊び心」だ。

施設の説明をするナイキジャパン広報のワッセルマン・ダヴィッドさん

施設全体にインクルーシブデザインを採用

「子供から大人まで」とは、つまり「インクルーシブ」であること。本施設は年齢・性別、スポーツの経験やスキル、障がいの有無に関係なく、全てのアスリートがストレスなくスポーツを楽しめる環境であることをモットーとしている。オレゴン州ポートランドのインクルーシブ・プレイグラウンドのデザインをサポートする非営利団体「ハーパーズ・プレイグラウンド」とナイキが共同でデザインした。

ちなみにナイキの共同設立者ビル・バウワーマンは「If you have a body,You are an ATHLETE(身体さえあれば誰もがアスリートである)という言葉を残している。インクルージョンは、同社のDNAだ。

インクルーシブデザインは随所に見られる。まず施設内に段差が一切ない。傾斜角度5%未満のバリアフリーである。車いすやベビーカーの利用者でも公園の隅々まで行くことができる。例えばパーク内すべてのエリアが一望できる「エアマックス テラス」も、頂上までのルートをヘアピンカーブのように迂回させることで誰でも無理なく登ることができる設計だ。

さらにスケートボード場である「SBダンク スケートプラザ」の地中心にある回転遊具「インクルーシブ・ホイール」は、車いすでも利用できるようなっており、体が不自由でもスケートボードの迫力を間近で体感できる。

「エアマックス テラスは」はゆるい傾斜なので車いすや足の不自由な方でも楽に頂上に登ることができる
車いすのまま遊べる「インクルーシブ・ホイール」

施設内にある計6カ所のトイレは男女の区別がない「ジェンダーレストイレ」。多様な性への配慮がうかがえる。すべて車いす対応、バリアフリーの多機能トイレで、さらに車いすに対応したシャワールームも2カ所設置されている。

トイレはすべてジェンダーレスの多機能トイレ
中も広々している

環境配慮の面でも特筆すべきことがいくつかある。ランニングトラックをはじめ、バスケットコート、広場などのフロア素材には、ナイキ製品の製造工程で発生する廃材や使用済み製品を再利用した「Nike Grind(ナイキグラインド)」を採用している。同社製シューズのソールにも使われている素材で、二酸化炭素排出の抑制に寄与するだけでなく、適度なクッション性が転倒等による怪我の防止にも役立っている。

ナイキ製品の廃材などを再利用した素材「ナイキ グラインド」はクッション性にも優れる
ラウンジスペースの内装材、いすやテーブル、小物にも廃材や産業廃棄物の木材パレットが再利用されている。
施設内に自動販売機はなく、水分補給には無料の給水機を利用可能。ただし紙コップは無いのでマイボトルを持参しよう。

多彩な遊び心で「スポーツを好きになって」

前記した各エリアの歴代ナイキシューズ・インスパイア・デザインや、車いすのまま利用できる回転遊具、傾斜のあるランニングトラックなど「遊び心」を取り入れた設備や仕掛けにも深い理由がある。

傾斜があるユニークなランニングトラック「コルテッツ トラック」
木や岩などの自然素材も遊び道具として配置
子供も大人も一緒に楽しめる

ダヴィッドさんは「スポーツができる場所といっても、面白くなければ二度と来てはくれないでしょう。それではスポーツの日常化には繋がりません。とにかく好きになって、また来たいと思うような『刺激的』な施設にしたいというのがコンセプトとしてあります」とその意図を話す。

今後、アプリを中心としたデジタル・エコシステムを活用して、パークや近隣地域だけでなく、さまざまなコミュニティや利用者が、一緒になってスポーツ体験をできるプログラムやイベントを提供していく予定だという。

この場所ですべての人々が垣根なくスポーツを楽しめる「未来」が実現するかもしれない。今後の取り組みにも注目だ。

上級者も満足!

TOKYO SPORT PLAYGROUND SPORT × ART

入場無料・事前予約制

平日 15:00 〜 21:00 (最終受付 20:00)
祝休日 10:00 〜 21:00 (最終受付 20:00)
※イベント実施時、年末年始は営業時間が異なる場合や、終日・一部貸切日の場合あり。

アクセス:
ゆりかもめ「新豊洲」駅 北口より徒歩2分 
※北口にエレベーター有

東京メトロ有楽町線「豊洲」駅 7番出口より徒歩13分
※7番出口にエレベーター有

予約状況・事前登録など詳細は公式HPへ

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いからし ひろき

ライター・構成作家。旅・食・酒が得意分野だが、2児の父であることから育児や環境問題にも興味あり。著書に「開運酒場」「東京もっこり散歩」(いずれも自由国民社)がある。