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ブランドが社会とつながる、持続可能な未来へ  「サステナブル・ブランド ジャパン」 提携メディア:SB.com(Sustainable Brands, PBC)

企業と教育現場がともに取り組むキャリア教育

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近年、日本の中学校や高等学校では、社会に出てから活かせる能力の育成が課題となっており、さまざまなプログラムが実施されています。将来、生徒たちが実際に活躍する多くの企業も、この動きに賛同。企業が実際に持つ課題や理念、またビジネスの場で求められる能力などを生徒たちに伝え、育成に役立てる学習プログラムに注目が集まっています。

2019年、日本の高等学校の授業に、新たな科目が加わった。「総合的な探究の時間」というその科目は、2000年から小中高で実施されてきた「総合的な学習の時間」を発展させたものだ。

「総合的な探究の時間」で、生徒たちは与えられたテーマに対して「仮説」を立て、その仮説に対して「追及・調べて」、「表現・まとめる」プロセスを繰り返し行う。そうして考えを深めることで身につく「探求する力」を、社会に出てからの「生きる力」とするのが狙いだ。

日本の教育現場では生徒たちが大人になった後、社会に出てから活かせる能力を育成するキャリア教育が注目されている。では、社会に出て活かせる能力とは何か。それを最もよく知る存在のひとつが、企業である。

企業の側にも、教育現場に携わりたいというニーズはあった。社会の一員としてよりよい未来をつくるためというCSRの観点、将来的に自社で活躍できる人材を育てたいという長期ビジョン、さらには自社の製品・業界への認知・理解の向上など、理由はさまざまだ。

そんな学校と企業それぞれのニーズを結びつけ、生徒たちの能力育成を促進する学習プログラムが、株式会社トゥワイス・リサーチ・インスティチュートの「企業インターンワーク」である。

企業の製品・サービスと生徒の気づき・発想が、学びを変える

「企業インターンワーク」は、協力企業の課題にインターンとして取り組むものだ。企業の理念や歴史、製品や技術について調べながら、課題を解決するためのプランをプレゼンテーションする。協力企業には、朝日新聞社、大塚製薬、森永乳業、ローソン、KDDIなど各業界を牽引するトップ企業が名を連ねている。具体的な事例を見てみよう。

2018年にKDDIが提示したテーマ(プログラムにおいては“指令”と呼ばれる)は、「KDDIと中高生がプロデュースする、スマホ&タブレットの力で学びが変わる“全く新しい学校”を提案すること!」だった。

インターンとなった学生たちがまず行ったのは、学生や保護者たちがスマホ・タブレットにどのようなイメージを持っているかの調査だ。期待と懸念、さらにKDDIがすでに展開しているスケジュール管理システムやビデオ会議システムなどの情報収集。それらをもとに、現役の学生である自分たちの経験から抽出した学びの課題を、どのように解決していけるかを考え、新しい学びと“全く新しい学校”の姿を構築していった。

2018年度のトゥワイス・アウォード※1準グランプリを受賞した明治大学付属明治高校のチームは、この指令に対して、学習の進捗を管理するバーチャルキャラクターのアプリを提案した。学習が進むことで成長していくバーチャルキャラクターは、勉強の愚痴や雑談にも対応してくれる。勉強の目的に「キャラクターを育てる」要素を追加し、適度な気晴らしにも付き合うことで、多くの学生が抱える「集中力が長時間もたない」「コツコツ続けられない」という悩みを解決するのだ。

※1 学習プログラム「TWICE PLAN」に取り組み、大きな成長と成果が見られた生徒に贈られる賞。

社会課題を「自分ごと」と捉えるきっかけづくり

2019年の企業インターンワーク協力企業は7社。提示された“指令”からは、企業が生徒たちに何を学び、もたらしてほしいと望んでいるのかが垣間見えてくる。

朝日新聞社の指令は「社会課題に挑む若者のパートナーになる朝日新聞社の“新メディア”を企画提案すること!」。現代人は新聞以外にも、テレビ、ラジオ、パソコン、タブレットやスマートフォンなど、多様なメディアに囲まれている。そこで朝日新聞社では「朝日新聞デジタル」を中心とする Web メディアに力を入れ、データや SNS を活用した特集記事の配信にも力を入れている。その特集に大きく関わるのが、日本や世界のさまざまな社会課題だ。朝日新聞社の担当者は、「社会課題はSDGsを参考にしてほしい」と生徒たちに語った。近年、学校の授業でもSDGsは頻繁に取り上げられているが、それが実社会でも役立つと後押しする形だ。

また、ローソンの指令は「ローソンが “全てのお客さまレコメンド No.1” になるために、自分の住むマチと店舗がコラボした PR イベントを企画提案すること!」。ローソンは日本全国に約 15,000 の店舗を持ち、毎日約 1,100 万人が来店している。生徒たちにとっても身近な存在だ。だが、ローソンの担当者が改めて伝えたのは、生徒たちもよく知る商品やサービスの情報ではなく、各店舗で行っている電力消費量削減などの環境配慮や、次世代の子どもたちのための募金活動、移動販売・宅配を通じた地域買い物コミュニティづくりといった社会貢献に関する情報だった。“全てのお客さまレコメンド No.1”になるには、社会貢献への対応が欠かせないとローソンが認識していること、社会課題が生徒たちの暮らすマチにもあることを伝えたのだ。

企業インターンワークの総仕上げは、プレゼンテーションだ。ここでは魅力的な企画をつくる力、わかりやすく発表するプレゼン能力、見やすい資料をまとめるスキルなどが重要になる。それらは、社会に出た後の仕事に活かせる重要なものだ。しかしそれ以上に、企業が生徒たちと直接関わり、ともに学びを進めていく中で伝えようとしているのは、企業が何を目的に商品・サービスを企画しているのか、どのような未来を見据えた事業活動をしていているのかである。

「企業インターンワーク」を通じて、生徒たちが自身と社会課題を関係づけ、さらにその解決のために企業が取り組んでいることを知り、興味を持って関わるようになれば、いずれ協力企業のサステナビリティ推進においても、大きな力になることだろう。

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