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特集:テクノロジーとサステナビリティ②

ムダのないテイクアウト食品用包装:フィンランド

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テイクアウト食品のプラスチック容器や包装廃棄が問題となるなか、フィンランドのスタートアップ企業「Koepala」は、ムダのないパッケージのソリューションとして、人間工学に基づいた機能的なデザインのパッケージを発表した。デザインはすでに特許取得済みで、欧州を中心としたスタートアップや食品関連のイベントに進出している。(フィンランド=藤原斗希子)

省資源を実現する4つのポイント

包装業界で30年以上の経験や、ケータリング、小売業界における経験を持つスタッフたちが開発に従事。食品包装の廃棄問題や、急速に変化する都市化におけるテイクアウト食品の課題解決に向けて、コスト効率の高い生産技術と機能的かつ人間工学的な設計を用いて開発した。

パッケージの主な特徴は4つだ。

一つ目は、多目的で機能的なデザイン。あらゆるタイプのテイクアウト食品および飲料に対応できること。フタなどの付属品は不要で、保管や物流段階において平らにして運べるような独自の設計が施されている(すべて特許取得済み)。

二つ目は、利便性を重視したデザイン。従来の持ち運び途中における不便さ(例えば、こぼしたりする)などの課題を解決するために、コンテナ型からボウルやカップ型への独自の開封メカニズムを開発した。使用後は平らに畳んで処分、またはリユースできる。

三つ目は、環境負荷軽減の実現。既存の硬質パッケージと比べて廃棄物量が50%削減できる。これにより包装ライフサイクルにおけるCO2排出量も大幅に削減した。廃棄物処理に要する管理の時間と作業量も削減できる。

四つ目は、低コストで投資できること。工場における手動ラインのみならず、充填ラインにも適用できるような設計を開発した。これにより、単一梱包材ソリューションへの転換が実現した。

循環経済との結びつき、各国で評価

Koepalaはもともと、欧州を中心とした賞である「Columbus Trophy」のホスピタリティ・イノベーション・アワードのファイナリストの一社としてノミネートされた。この賞は、製品やサービスだけに焦点をあてるのではなく、その背後にある起業家精神に焦点をあてて審査していることが特徴的である。

その後、オランダや英国を皮切りに食品関連イベントやスタートアップイベントに続々と進出。パッケージに焦点を当てたスタートアップ「Packbridge Challenge」では、「日常の課題解決に貢献する革新的なソリューション。シンプルで、持続可能性のある発明は、これからの拡張性が高い」と評価され2017年の勝者となった。

2018年には、シンガポールで開催されたテクノ・イノベーション展に出展し、ASEAN市場に参入する意欲を見せている。

このような成長を続けているKoepalaは、2018年「フィンランドで最も優れた成長企業トップ100」の1社として選ばれた。成長やスケールアップの可能性、そして何よりも事業活動そのものがサーキュラーエコノミー政策と強く結びついていることが評価された。

食品包装をより持続可能なものにしながら、既存の外食文化をより便利で楽しいものにすることが、同社の目標だ。

6月にフィンランドのヘルシンキで開催されるWCEF2019(第3回世界循環経済フォーラム)にも出展予定。同国が力を入れているサーキュラーエコノミー政策への貢献に対して、さらに意欲的に取り組むとしている。



特集:テクノロジーとサステナビリティ

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藤原斗希子(ふじわら・ときこ)

2013年よりフィンランド在住。専門は、CSR・サステナビリティレポーティングなどの情報開示。移住後は、地元大学のサーキュラーエコノミー・プロジェクトや移民・難民リサーチ・プロジェクト、また環境・社会課題の解決に向けたスタートアップ企業のネットワークに参画している。