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真のダイバーシティを考える

第31回:Z世代を巻き込む―SBバンコクで突き付けられた課題

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SB-J コラムニスト・山岡 仁美

過日、「サステナブルブランド国際会議2018バンコク」に参加が適いました。そのレポートは、早くも本サイトにアップ済みです。

「生命の根源を実感したSBバンコク開催」

総じてのレポートではなく、HR(ヒューマンリソース)領域を専門とする私にとって、響いたもののひとつにバンコクにおけるZ世代(1990年代後半~2000年生まれ)のパワーが挙げられます。もっとも、タイの国民平均年齢は39歳、私たち日本よりも10歳以上若いので、その分、ミレニアルやZ世代の割合も高くなると考えられますが、それだけではないことが実感できます。

市街地から程近い、バンコクの空気を浄化する保護地区「バーン・カチャオの森」の会場では、出展ブースや運営スタッフに、多くのZ世代が活躍をしていました。入口で、ランチ時に、ワークショップで、さらには登壇でも、そのパワーは絶大でした。

彼らを突き動かすものは何か?と考察すれば、もちろん、タイでは日本以上に、水・食糧・住宅事情・教育など、ともすると劣悪な環境と紙一重で、命のあり方に直面せずにはいられず、社会課題意識に対峙することが醸成されやすいことがうかがえます。しかしそれ以上に、メディア、特にSNSによるソーシャルコミュニケーションの影響が大きいのです。

今、第4次テクノロジー革命の真っただ中と言われています。それは、言わずと知れたAI、IoT、ビッグデータなどの台頭ですが、その影響力は、統計や分析・情報処理などの観点よりも、それらにより、社会や人のつながり方や形成、つまりはソーシャルコミュニケーションが変わって来ているということでしょう。

実際に、「サステナブルブランド国際会議2018バンコク」でのスピーカーのひとり、アレックス・レンデル氏は、持続可能な発展を促進するためのタイ政府観光局の大使でもありますが、タレント・俳優で、かつSNSのフォロワー数が100万人を超える人気者です。

彼は、天然資源の長期的な保存ソリューションの鍵は、誰もが参加できる形での学びの場と信じ、2015年にEEC(環境教育センタータイ)を共同設立。ユネスコのストックホルム宣言によって最初に導入された環境教育の理念を重んじながら、俳優としての公的な存在を活用し、家庭や環境の違い・貧富の差・障害の有無などのバイアスをなくし、多くの子どもたちに持続可能な自然とのかかわりの体感を提供し続けました。

そして、野生動物及び自然保護、環境保全をソーシャルウェーブ化し、合わせて、関わった多くの子どもたちのモチベーションアップやポテンシャルの顕在化を実現しているのです。アレックスは今、海洋生物の保護や農民市場のプラスチックの使用を減らすというテーマ、また、より若い世代の自然保護者を認定することに注力しています。彼のソーシャルウェーブ化の鍵は、まさにメディア、特にSNSによるものなのです。

持続可能を実現するには、バックキャスト(未来に目標を設定し、そこから現在すべきことを考える方法)が欠かせません。バックキャストは、Z世代を巻き込めるか否かで成否が分かれます。そのためには、日本で言えば学校制度や教育の改革も必要でしょう。しかし、何にしても、SNSを駆使する力が求められます。なぜなら、すでにソーシャルコミュニケーションが変わって来ているのだから。

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山岡 仁美
山岡 仁美(やまおか・ひとみ)

グロウス・カンパニー+ 代表取締役
航空会社勤務を経て、人材派遣会社の研修企画担当に。その後、人材育成への意欲から、大手メーカー系列のコンサルティング会社に移り、人材育成に関する開発・販促・広報などのマネジャー職から企業研修部門の統括部長までを務める。1000社ほどのコンサルに携わった後、独立。ビジネスフィールドの豊富なキャリアで様々な人材や組織づくりと関わり続け、自身の出産・育児との両立での管理職・起業などの経験から、多様性を活かす着眼点が持ち味である。 コンサルタント、研修講師、講演と多方面で活躍中。そのテーマは「課題解決」「リーダーシップ」「アサーション」「ネゴシエーション」「キャリアデザイン」「ダイバーシティ」「リスクマネジメント」など幅広い。

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