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ブランドが社会とつながる、持続可能な未来へ  「サステナブル・ブランド ジャパン」 提携メディア:SB.com(Sustainable Life Media, Inc.)

2024年の世界を“前向き”に捉えるために知っておきたい10のトレンド

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Phillip Haid & Caleigh Farrell
Image credit: photo nic on Unsplash

2023年は金融・社会・地球の不確実性が浮き彫りになった厳しい1年だった。また、戦いや対立の年でもあった。ウクライナやガザでは戦争が続いており、左派と右派の争い、気候変動対策やESGにおいても対立が起きている。24時間更新されるニュースのヘッドラインにさっと目を通すだけでも、世界の情勢を悲観し、未来に不安を感じるだろう。(翻訳・編集=小松はるか)

だが、こうしたニュースが世界の出来事のほんの一部でしかないとしたらどうだろうか。ニュースやSNSで紹介されるに値しながらも報じられていない、世界を変えるニュースが無限にあるとしたらどうだろうか。

良い話は売れないという「メディア神話」はよく知られている。しかし、『Goodable』 『Good News Network』 『Future Crunch』 『Reasons to be Cheerful』のようにポジティブなニュースを伝えるプラットフォームが誕生しており、そうした神話は古くなっている。人々は希望をもてるストーリーを切望しており、それが確かに人を幸せにすることは証明されている。

そこで、ソーシャル・インパクト・マーケティング代理店「Public」(カナダ・トロント)が、前年の2023年を特徴づけるテーマを振り返り、2024年がどんな1年になりそうかを予想しながら、世界が歩む2024年を前向きに捉えるための10のトレンドを紹介する。

1. 経済は回復し始めている

世界のパンデミックやエネルギー価格の急騰が起きた後、世界のサプライチェーンは最終的に安定し、業界の需要を満たすまでに回復している。消費者にとってはまだ心地よい状況ではないが、インフレは抑制され、2024年の株価は記録的な高さになると予測されている。

2. 気候変動対策は増え、グリーンウォッシュは減っている

エクアドルはアマゾンの一部で原油掘削を停止した。ポルトガルは1週間のほとんどを再生可能エネルギーで賄い、パリは都市中心部への車の乗り入れを禁止し、英国ではリワイルディング(再野生化)が旋風を巻き起こしている。また、COP28は最終的に(しぶしぶ)化石燃料からの脱却を発表した。その間、グリーンウォッシュが法廷で争われてきた。ナイキやキューリグ、フォルクスワーゲン、一部の大手航空会社などの企業・ブランドが、消費者をだました、または誤解を招くサステナビリティの主張をしているとして批判の的となった。これは、製品に緑色の葉っぱのマークを貼り付け、サステナブルだと主張する業界の後進企業を目にして、疲労を募らせてきたソーシャルインパクトの専門家にとっては素晴らしいニュースとなった。

3. 企業はジェンダーギャップを埋めるために前進を見せた

米国では、フルタイムで働く女性とフルタイムで働く男性の賃金格差が過去最小になっている(ただし、同一賃金を実現するにはまだすべきことがある) 。英国では、企業が役員の女性比率を40%にするという目標を2年以上前倒しで達成した。

4. 多くのブランドが、公平に扱われるべきコミュニティに真のアライシップを示した

2023年のプライド月間では、バドライト(ビールブランド)やターゲット(米国小売り大手)が、小規模ながら影響力のある政治・宗教右派による圧力で、取り組みが挫折する様子を世界の人々が目の当たりにした。しかし、多くの企業は逆の行動をとった。ウォルマートやボディショップ、ザ・ノース・フェイス、ザ・ベイといったブランドは難局にうまく対処した。難しい状況にあっても、LGBTQ+コミュニティを支援し、真のアライシップが必要であるという考えを貫いた。

5. 医療の黄金時代に突入した

私たちはヘルス・イノベーションの驚異的時代に突入している。例えば、2023年だけでも、アルツハイマーや多くのがんの治療において飛躍的進歩を目撃した。肥満治療薬のオゼンピックとウゴービが、肥満(米国における予防可能な死因の最大リスク要因)治療に参入する一方、世界の国々は記録的な数の病気を撲滅した。エイズは死の病ではなくなり、ポリオも根絶間際にある。奇跡的な嚢胞(のうほう)性線維症治療も可能になった。

少しは楽観的になれただろうか。2024年をポジティブに捉えられる理由がもう5つある。

6. 「コーペティション」が主流になる

企業インパクト連合(企業が連携して重要な社会・環境課題に対する姿勢を示す)は、全盛期に到達していると見られる。連合の署名者として取り組むことは、業界において当たり前のことになっている。また、真にパーパスドリブンな企業は、「コーペティション」に取り組むことで、さらなる一歩を踏み出している。2つの素晴らしい事例を紹介する。ダヴ(ユニリーバ)とナイキは女の子がスポーツを続ける手助けをするために、新たなパートナーシップを結ぶことを発表した。一方、ザ・ノース・フェイス、パタゴニア、アークテリクス、アディダス テレックス、ビボベアフット、サロモン、オスプレー、ウィグルは、アウトドアスポーツの領域でダイバーシティとインクルージョンを推進するためにOUTO(Opening Up The Outdoors)を立ち上げた。

※ 協調(cooperation)と競争(competition)を合わせた造語。競合する企業が人や地球に悪影響をもたらす課題に共に取り組むこと

7. 女性が障害やタブーを打破する

2023年は女性のエンパワーメントが注目を集め、女性の健康問題が注目される機会も生まれた。生理から更年期にいたるまで、会話に変化が生まれ、生涯にわたり女性をサポートする製品を目にするようになっている。例えば、女性の身体の悩みに寄り添う下着ブランド「ニックス(Knix)」や、女優のナオミ・ワッツが立ち上げた更年期の女性のための美容ブランド「ストライプス(Stripes)」などがある。このトレンドは2024年も続いていき、女性ならではの体験にまつわるタブーは崩壊しつづけ、女性の健康や公平性に関する問題はさらに可視化され、議論されていくことが予想される。

8. AIが世の中を良くする力になる

2023年、メディアはAIの脅威を取り上げて不安をあおった。政府はAIの進化を規制するために大騒ぎをし、人々はより警戒心を強めた。AIがもたらす影響を予測する水晶玉を持っている人はいない。しかし2024年は、AIがポジティブな変化をもたらす可能性を示すニュース記事の数が増えるだろう。なぜなら、ビッグデータに重要な問いを投げ、新しいインサイト(顧客心理)を発見し、新しい解決策を実行できるようになるからだ。ジョンソン・エンド・ジョンソンによると、AIは病気の早期発見を手助けし、創薬を加速させている。一方で、進歩のために仕事をする人たちの革命的なプラットフォームの開発も支援する。マイクロソフトのAI for GoodOpenESGがその例だ。

9. ESGが発展する

反ESGの動きやグリーンウォッシュの取り締まりの結果として、また報告書の国際基準や指令の圧力にさらされるなか、ESGは成熟段階に入り、単なる用語の域から脱却すると見ている。2024年のサステナビリティはより保守的になり、インパクト目標・方針は適切な規模になるだろう。さらに、同質性が高まるなかで差別化を図るために、企業はブランドのストーリーテリングと真の変化の両方を加速させる、より具体的に胸を張れる機会の創出に注力していくだろう。企業・ブランドが自らのサステナビリティについて語り出すと、グリーンハッシング(サステナビリティの取り組みに対する沈黙)がグリーンコンフィデンス(サステナビリティの取り組みに対する自信)へと変わっていくだろう。

10. 企業が気候変動に関する約束に真剣に取り組む

過去1年で、気候変動の影響と進行は無視できないものとなった。気候ウィークとCOP28は企業に対して、自社が公約する環境目標に資金を投じるよう行動を呼びかけた。私たちの目には、産業界のリーダーらが、その取り組みを率いる必要性に目覚めたという、希望をもてる年に見えた。非常に困難で大胆な目標と、より緊急で測定可能な勝利のバランスをとりながら、意義あるコミットメントが促進されていくだろう。そう思っているのは我々だけではない。米大手投資ファンドのコールバーグ・クラビス・ロバーツ(KKR)は、報告書「2024グローバル・マクロ・アウトルック」で、脱炭素化の投資機会を推進する重大なテーマに選んでいる。

前向きな視点で今年を見ることができるようになっただろうか。
もしあなたが少し近づいて世界の出来事を見つめたなら、2024年はとても良い1年になるだろう。