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欧州で加速するネットゼロへの移行①英金融イニシアティブ「バンカーズ・フォー・ネット・ゼロ」

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英国の銀行でネットゼロへの移行を促進する動きが起きている。銀行や企業、監督機関が参画するイニシアティブ「バンカーズ・フォー・ネット・ゼロ(B4NZ)」は今秋のCOP26に向け、同国の銀行のネットゼロに関するコミットメントの草案を策定した。同イニシアティブは銀行が滞りなく顧客を支援し、ネットゼロへの移行を促進し、英国が掲げる気候変動目標の達成を目指すものだ。今回のコミットメントは、気候変動への取り組みとしてこれまでで最も野心的なものと言える。銀行に対し、二酸化炭素の排出量を実質ゼロにするネットゼロ達成の明確な期日を決めさせ、化石燃料への投融資から撤退させ、ゼロエミッションへの移行を加速させるための介入を積極的に主張するよう促すものだ。(翻訳=梅原洋陽)

バンカーズ・フォー・ネット・ゼロ、超党派の議員からなるAll Party Parliamentary Group(APPG)on Fair Business Banking、シンクタンクのVolans、Re:Patternは、英グラスゴーで開催されるCOP26に先立ち、共同で政策提言を行うための野心的な作業プログラムを発表した。同プログラムは、銀行が世界規模のネットゼロへの移行に積極的に融資する環境をつくり出すことを目指している。英国の銀行が参加を約束したことに加えて、プロジェクトはネットゼロへの移行を促進する上で金融機関が直面する規制や法的な課題といった根本的な部分まで初めて視野に入れたものでもある。さらにCOP26の金融連合調整メカニズム(Finance Coalition Coordination Mechanism/FCCM)では、国際的な産業のキーパーソン、連合、NGOが金融・気候変動政策の専門知識を持ち寄り、国連のRace to Zero(レース・トゥ・ゼロ)キャンペーンの下で取り組みを調整した。同キャンペーンは12月初め、金融サービス関連のCEOに行動を呼びかけている。

バンカーズ・フォー・ネット・ゼロが英国の銀行のコミットメントの枠組みを調整している「FCCM」は、気候変動対策のために金融機関を動員するグローバル・コミュニティを支援する目的で設立された国際的な連合だ。CDPとWWFが主導するこの連合には、PRI(国連責任投資原則)、UKSIF(英国社会的責任投資フォーラム)、IIGCC(欧州機関投資家団体)、そしてMake My Money Matterといった組織も参加している。

「世界的にネットゼロへの移行を加速させることが急務となっている。この移行において、銀行は社会的、財務的なリスクと機会を管理する重要な役割を担っている」と語るのは、Volansのルイス・ローパーCEO。同社はトリプルボトムライン」の概念を提唱したジョン・エルキントン氏が創設者に名を連ねる企業だ。

「バンカーズ・フォー・ネット・ゼロは、銀行と企業同士の理解を深め、長期的な関係性に変化をもたらすことで行動を促し、ネットゼロの促進を阻む障壁を取り除くことを目指している。世界の資本の流れに構造的変化をもたらす野心的なネットゼロ公約を掲げるために、FCCMと共に取り組めることは光栄だ」

バークレイズ、トリオドス、ClearBank、Ecology Building Society、ハンデルスバンケン、Tideの代表者による運営委員会、さらにUNEP金融イニシアティブ、COP26のチャンピオンチーム、Impact Investment Instituteの代表者が指針を示し、政策を見直し、野心的なネットゼロ目標に挑戦する。

バンカーズ・フォー・ネット・ゼロの新しい、業界初のコミットメントの枠組みは、遅くとも2050年までにネットゼロを達成することを銀行に約束させる。関連団体のステークホルダーとの協議は継続中だ。

バンカーズ・フォー・ネット・ゼロによると、今後数カ月間、規制や政策の助けを借りて、銀行が果たしうる役割を明確にする手助けを続けるという。銀行の役割に焦点を当て、銀行とさらに広範囲のビジネスコミュニティとの関係において、ネットゼロが何を意味するのかについて一貫した議論を行うことで、銀行業が経済と社会全体をネットゼロにするという重要な役割を担えるようにしていくことを目指している。