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スウェーデンのテック企業、製品のCO2排出量を簡単に計算できる無料ツール開発

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スウェーデンのインパクト・テック「Doconomy(ドコノミー)」は、企業向けに、商品のカーボンフットプリント(二酸化炭素排出量)を迅速かつ正確に計算できるツール「2030 Calculator」の無料提供を始めた。これにより、企業はタグなどにカーボンフットプリントを掲載することで他ブランドとの差別化を図れ、市場においても二酸化炭素の排出量削減の後押しになる。ドコノミーはすでに、購入した商品のカーボンフットプリントが上限に達するとクレジットカード自体の利用が制限されるカード「DO Black」とアプリ「DO」を立ち上げ、気候変動問題の解決に向けた取り組みを行っている。(翻訳=梅原洋陽)

これまでカーボンフットプリントの計算は複雑で、コストや時間のかかるものだった。製品ごとのライフサイクルアセスメント(LCA)を計算するのに数週間かかり、とくに中小企業が行うのは難しかった。

製品が及ぼす全体的影響を測定する試みは、あらゆる分野で行われてきた。LCAに加え、製品に用いられる水、化学物質、さらに社会面でのフットプリントまで計算するツールや方法が開発されてきた。しかし大抵のものはコストが高く、複雑で、計測や一般化が難しかった。

一方、「2030 Calculator」は、製品名や総重量、パッケージの有無などの情報を入力すること、結果が数分でわかる上にコストがかからない。企業にとっては透明性をより高め、消費者がより地球環境への負荷の少ない製品を選ぶ動機付けを行う手助けになる。以下の動画では、スウェーデンの3社が「2030 Calculator」のデモンストレーションを行なっている。

The 2030 Calculator by Doconomy - Beta testing by 3 Swedish brands from Doconomy / DO on Vimeo.

ドコノミーのイノベーション責任者であるヨハン・ピール氏は、透明性を高めることで、新たなブランド・ロイヤリティを作り出すことができる、と述べる。そして、品質や価格に加えて、カーボンフットプリントに基づき、製品を比較できることで、消費者の行動に大きな変化がもたらされると言う。

ベータ版「2030 Calculator」は、300以上の影響力指標の炭素排出量データを使用しており、現在はアパレル業向けに最適化されている。ドコノミーによると、食品・飲料品や家具、家電製品を含む製品の計算も近日中に可能になるとのことだ。この無料の計算ツールによって、公表されているデータから、製品の開発から出荷までの排出量の計算を行うことが可能になる。

「ビジネスは、地球がより豊かに発展するのを助ける重要な役割を果たさなければならない」と話すのは、米クレジットカード大手マスターカードのサステナビリティ担当責任者クリスティーナ・クロベルダンツ氏だ。同社は2019年にドコノミーと提携し、カーボンフットプリントを追跡し、削減できる無料モバイルバンキングサービス「DO」を開発し、顧客にカーボン・オフセットを促している。

「われわれはカーボンフットプリントの削減を可能にする製品、サービス、体験を生み出し、ドコノミーのような組織と連携することに注力している。二酸化炭素の排出によってもたらされる影響を補うだけでなく、地球のためにより良い選択を行うことを目指している」

気候変動枠組条約(UNFCCC)の協賛パートナーでもあるドコノミーは、世界的な気候変動への影響について認知を拡大する一環として「2030 Calculator」を発表した。また、 このツールはドコノミーによる包括的な環境負荷透明化プログラム「プラネット・ローヤルティ(Planet Loyalty)」の一つでもある。これは、カーボンラベルを意識的消費の基盤として確立することを目的としたプログラムだ。

「2030 Calculator」は、サステナビリティ、データ、気候変動インパクトといった分野の第一人者、LCAコンサルティングの2050やEYなどと共同で開発され、非財務諸表の保証業務に関する国際基準ISAE3000の認証を受けている。

今回開発された計算ツールは、LCAに完全に取って代わるものではないが、独立した第三者機関によるテスト結果では高い精度を示しており、誰でも信頼性の高い計算ができるようになっている。

ドコノミーは、「2030 Calculator」を利用して製品のカーボンフットプリントを計算し、データを共有し、最も正確かつ無料で利用できるカーボンフットプリント計算機を共同開発する企業や機関を募集している。