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英政府、年金基金に気候変動リスク情報の開示を要求

米国サステナブル・ブランド編集部

英国下院環境監査委員会(EAC)は、国内の代表的な年金基金に対し、気候変動が年金貯蓄にもたらすリスク情報の開示を求めている。これは、気候変動リスクに関連する受託者義務に対する誤解が、受託者の間に広まっていることを察知した労働年金省の働きかけによるものだ。(翻訳:クローディアー真理)

英国大学退職年金基金、BTペンションスキーム、RBSグループ・ペンションファンドなど、運用資産5、550憶ポンド(約83兆円)の25の年金基金に対し、気候変動リスクに関する9つの質問に答えるよう、EACは書面で通達を送った。

気候変動が原因で、保険会社、化石燃料関連企業、電力会社など各産業を取り巻く状況が変わり、変革を迫られる中、年金基金についても、どの組織が気候変動による金融リスクから、人々の年金を守っているかを把握する必要があるためだ。これらの回答をもとに、EACはFSB(金融安定理事会)の気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の提言をどのように実行していくかを決めることにしている。

年金基金の資産運用を行うアセットオーナーの受託義務に、「受益者の最も関心のある行動をとること」がある。これを正しく実践している例も多い一方で、「短期間のうちに高い投資収益を追求すること」と誤って解釈しているケースも見受けられ、サステナビリティをはじめ、気候変動がもたらすリスクや機会など、長い目で見て考慮すべき事柄を無視する結果になってしまっている。

昨年オーストラリアのコモンウェルス銀行(CBA)が提訴されたのは、まさにこれが原因だ。2016年年次報告書で気候変動による事業リスクの適切な開示を怠り、財政状態・業績に関しての「真実かつ公正な見解」を把握することができなかったとして株主に訴えられた。

「将来起こりうる気候変動リスクを、現段階で年金基金は考慮すべき。年金貯蓄を始めたばかりの若い世代にとって、定年を迎え、年金を受給するのは45年先かもしれない。45年という長い年月の間に、気候変動リスクが増大することは避けられないだろう。そこでEACは年金基金がこうしたリスクを考えに入れた上で、財務意思の決定を行っているかを調べている」と、EACの委員長を務めるメアリー・クリー議員は語る。

年金基金への質問状の送付は、11月からEACが開始した、グリーン・ファイナンスに関する調査の一環だ。現在、EACは、英国国内で気候変動が及ぼす財務リスクの開示を促す、国際的な提言をどのように形にしていくかを模索している。それに伴い、議員のための年金基金にも同様の情報の提出が求められている。