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ニュージーランド

NZ生まれ米国育ちの靴企業、「エシカル」で攻勢へ

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オールバーズの靴は、『タイム』誌で「世界で最も履きやすい靴」と絶賛された
© Allbirds

米国カリフォルニア州に本拠を置くスニーカーブランドの「オールバーズ」(Allbirds)が、「エシカル」を武器に事業拡大を始めた。環境・倫理認証を受けたウールや、サトウキビなどの天然素材を中心にした靴作りが特徴だ。同社はオンライン販売が中心だが、売上高は1億ドル(約110憶円)に達し、近く英国ロンドンに3店舗目を開く。このほど5000万ドル(約56憶円)を資金調達し、さらなる店舗数の拡大や環境負荷を抑えた素材の研究開発に充てる。(クローディアー真理)

2014年にニュージーランドで、クラウドファンディングを経て、靴作りを始めたオールバーズがまず最初に靴に取り入れた天然素材がウールだ。メリノ種の羊毛メリノウールの認証である「ZQメリノ」を取得したウールの繊維を用いている。これは動物福祉、環境保全、地域社会貢献を行っていなくては取得できない。製造時に必要な電力も、通常のスニーカー製造時より60%減で済む。

ニューヨーク店の店内。壁には靴に用いられているサステナブルな素材の説明がある
© Allbirds

2つ目の素材が、木の繊維を利用した素材、テンセル・リヨセルだ。原料となるユーカリは南アフリカ産で、施肥を最低限に抑え、灌漑に頼らず、雨水で育てられたもの。コットンなどと比べた場合、必要な水の量は95%カットでき、カーボンフットプリントも半減させることができる。素材となる木は、森林の環境保全と地域社会の利益にかなう、サステナブルな木材に与えられるFSC認証を得たものだ。

また同社は、素材の独自開発も行っている。サトウキビでできた「スウィートフォーム」がそれ。サトウキビは成長が早く、再生しやすい上、CO2を多く吸収することで知られる。雨水で育成されたブラジル南部産のものを用いている。作物や森林のサステナブルな管理を監視するNPO団体、プロフォーレストの厳格な基準を満たしている。

スニーカーで始まった、オールバーズの商品は今年8月にはビーチサンダルに拡大。9月下旬には、ニュージーランド航空とのコラボレーションで、同社のビジネスクラス用にウール製のアイマスクを発表した。11月に入ってからは、それを自社の商品ラインナップに加え、販売している。

オールバーズは今年Bコーポレーションに認定された。共同創立者、ティム・ブラウン最高経営責任者は「私たちのゴールは、誰もが利用できる、エシカルな素材を開発し、サステナブルで、環境に負担をかけない商品を共に作っていくこと」と、ニュージーランドのテレビニュース番組、『ニュースハブ』で語っている。

ニュージーランド航空とのコラボから始まったアイマスク。他企業と組むことにも積極的なオールバーズ
© Air New Zealand
クローディアー真理

ニュージーランド在住ジャーナリスト。環境、ソーシャル・ビジネス/イノベーションや起業を含めたビジネス、教育、テクノロジー、ボランティア、先住民マオリ、LGBTなどが得意かつ主な執筆分野。日本では約8年間にわたり、編集者として多くの海外取材をこなす。1998年にニュージーランドに移住。以後、地元日本語誌2誌の編集・制作などの職務を経て、現在に至る。Global Press所属。