• 公開日:2018.03.29
世界の8億人が清潔な水を利用できず――国際NGO報告
  • 小松遥香

浅井戸からくんだ水を運ぶ女の子たち。(タンザニア、ゲイタ州ニャルグス近郊)WaterAid/ Sam Vox

国際NGOウォーターエイドは「世界水の日」の22日、『水の格差――世界の水の状況2018』と題する報告書を発表し、世界の8億4400万人が安全な水の入手に困難をきたしていると指摘した。水の入手が最も困難な国の1位はエリトリア、次いでパプアニューギニア、ウガンダだった。世界的に水資源の枯渇が深刻化する中、安全な水を平等に利用するには、各国政府や水・衛生関連の企業による支援が必要だと同NGOは提言する。(オルタナ編集部=小松 遥香)

8憶4400万人という数は、水源までに往復30分以上かかる場合と衛生的な水が調達できる給水設備があるかどうかを基準に集計した。ウォーターエイドは報告書で、最貧困層が清潔な水を入手できない6つの要因を挙げている。

1.資金不足と政治的に水へのアクセスの取り組み優先度が低い
2.給水サービスを提供・維持できる機関がない
3.有効な税金制度・料金制度がない
4.住む場所と住む権利
(遠隔地や都市計画外の地域で安全な水の入手が困難な場合。企業の地下水くみ上げが規制されていないことで、水量が減少したり、水源が汚染される場合など。)
5.差別
(カーストや階級、健康状態、政治信条、家がない、災害からの避難により、水へのアクセスが阻まれる場合。迷信などにより、コミュニティなどから締め出される場合など。)
6.災害や紛争による避難・退去

こうした要因は、下痢性疾患や感染症など健康問題を引き起こすだけでなく、水汲みに行くまでに危険な目に遭う可能性や、病気になることで収入が十分に得られない、教育を受けられないなど貧困を助長する。

水を利用できる人の割合が最も少ない国 トップ10

安全な水の入手が最も難しい国であるエリトリアは、専制国家であり難民の通り道になっていることなどから政治的に不安定だ。自宅近くで清潔な水を利用できる人口はわずか19%。2位のパプアニューギニアは、気候変動の影響により、海面上昇や異常気象などの問題を抱えている。3位のウガンダは、2006年に内戦が終結したものの現在は経済が停滞し、自宅近くで清潔な水を利用できる割合は38%。さらに隣国の南スーダンで起きた紛争によりアフリカ最大の難民受け入れ国になるなど内政が安定していない。

一方、水の入手が最も改善された国の1位はアフガニスタンだった。2000年には27.1%だった水へのアクセス率が2015年には62.9%に上昇した。その後には、イエメン、ラオス、カンボジアなどが続く。

村の近くにある井戸から水をくむカシ・ラムさん(インド、マディヤ・プラデシュ州)WaterAid/ Ronny Sen

世界的には、自宅や近所で清潔な水を利用できる人の割合は世界人口の約89%。2000年の81%から増加している。しかしその中で、取り残されている弱者の安全な水の入手を阻む課題をいかに解決できるのかーー。

ウォーターエイドジャパン(東京・墨田)の高橋郁さんは、「企業活動が地域の人々の清潔な水へのアクセスに悪い影響を及ぼすことがある。その際、そのような影響に対して最も脆弱なのは、最貧困層や年齢、民族、ジェンダー等によって弱い立場に置かれている人々だ。SDGsが掲げる『誰も取り残さない』を実現するためにも、貧困層、弱い立場に置かれている人々の水へのアクセスに注意を払うことが大切だ」と語る。

written by

小松 遥香(こまつ・はるか)

オルタナ編集部

アメリカ、スペインで紛争解決・開発学を学ぶ。趣味は、大相撲観戦と美味しいものを食べること。

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